霏々

音楽や小説など

2020-01-01から1年間の記事一覧

ハロコン2020夏 Aチーム ライブレポート ~ハロヲタで良かった!~

2020年7月18日(土)に大阪はオリックス劇場にて開催された、「ハロコン2020夏(Aチーム)」に参戦してきました。ライブの正式名称は、「Hello! Project 2020 Summer COVERS ~The Ballad~」ですね。今回のライブはコロナ対策として、総勢52名のハロプロメ…

J. D. サリンジャー「ナインストーリーズ」考察 vol.1 ~前書き・バナナフィッシュにうってつけの日~

さて、私の気に入りの作家であるサリンジャーについて書いてみたいと思います。好きな分だけ記事にまとめるのには抵抗がありましたが、友人がこの「ナインストーリーズ」という本を読んでくれたので、この期にもう一度自分の中で考えをまとめたいと思った次…

遠藤周作「海と毒薬」感想 ~構築と主題~

遠藤周作の「海と毒薬」を読んだので、その感想を書きたいと思います。 海と毒薬 こちらも前回の小説のレビュー同様、文学部卒の友人から勧められてた本になります。「痴人の愛」とはタイプの異なる小説でしたが、「海と毒薬」もまた非常に面白い小説でした…

「ミッドナイト・ゴスペル」感想 ~着想たちの理由、創作による自己救済~

話題の「ミッドナイト・ゴスペル」の感想文を書いてみました。 ただ、感想文と言っても、どこか評論めいて見えるし、解釈を間違っていたり、とてつもなく不足していたり、見当違いだったり、ということがあると思います。特に、「です・ます」調を使わず、し…

Death and the flower

Death and the flower 部屋の中では淡いオレンジ色が燃えていた。ナイトランプだけが点いていたのだ。カーテンの外にはまだ夜が、静寂とともに腰を据えている。ここに引っ越して来たときから使い続けている何の変哲もない木製のローテーブルの上には、半分ほ…

凛として時雨 全楽曲レビュー ~時雨の「歴史」と「これから」を語りたい~

さて、ついに凛として時雨について記事を書く時がやってきました。 これまでの様々な記事の中にも、度々凛として時雨に関する内容を盛り込んできたように思いますが、「はて、凛として時雨の音楽をどうやって言語化すればよいのか?」という苦悩がずっと付き…

霧氷 #1

霧氷 大学生の頃の記憶と言うとほとんど暗闇と安い酒の匂いばかりだ。朝が来ることを呪い、カーテンを隙間なくぴっちりと閉め、二日酔いを患いながら、騒々しい車の往来にイヤホンで耳を塞いだ。 もともと国道近くにアパートを借りたのが間違いだったのだ。 …

谷崎潤一郎「痴人の愛」感想~彩、そして白の美~

谷崎潤一郎の「痴人の愛」を読んだので、その感想を書きたいと思います。 痴人の愛 文学部卒の友人から勧められて読んだわけですが、私は歴史や文学史に疎く、「大正13年から連載が始まった、同時代を描く小説」と言われてもピンときません。そもそも大正が…

水流 vol.1

水流 それは月の引力に魅せられた大量のミルクだった。 カラメルシュガーの砂浜を歩き、足首でひだのような波を受け止める。波は砕け、泡を立て、そしてまた向こうへと引きずられていく。灰色の空模様。振り返るとおぞましい闇の色をした防砂林が見える。悲…

水流 vol.2

* まだ寒い日が続いていた。裕子は僕の部屋のベッドで寝転がり、慣れない酒を飲んでいる。初めから今日は帰らないつもりだったらしい。両親には一足早い卒業旅行で、友達とディズニーランドに行ってくると言ったようだった。すでに駅前のディズニーショップ…

水流 vol.3

* また日野と映画を見に行った。 僕は犬小屋程度の広さの湯船に浸かりながら、ストーリーを反芻する。 主人公は三十手前の男だった。田舎から大学進学をきっかけに上京したが、つまらない失恋が原因でほとんど引き籠り状態となってしまう。そのまま大学を中…

水流 vol.4

* 染料でそめ上げたような真っ青な海が左手には広がっている。 ゆかりは車の窓の外を眺めながら、僕の知らない歌を口ずさんでいた。先ほど、光より早いものが存在しない理由として、光が波は波でも質量を持たない媒質による波だから、と答えてからずっとこ…

水流 vol.5

* 「椎葉とはどういう関係なんだ?」 二杯目の生ビールを二口ほど済ませたところで、日野が堪え切れず僕にそう聞いてきた。いったいどこで僕とゆかりを結び付ける情報を得たのだろうと僕は不思議に思うが、日野の答は意外だった。 「椎葉が俺に相談して来た…

Juice=Juice「好きって言ってよ」レビュー ~シンプルな中に見る「重力」~

Juice=Juiceの13th single 「好きって言ってよ」のレビューをさせていただきます。 www.youtube.com 同シングルの「ポップミュージック」は既にレビューさせていただいております。よろしければご覧になってください。 eishiminato.hatenablog.com 「ポップ…

Juice=Juice「ポップミュージック」レビュー ~失われゆくポップ。現代の共通言語はタピオカミルクティか。~

Juice=Juiceの13th single「ポップミュージック」のレビューをさせていただきます。 www.youtube.com 品の良い悪ふざけ。隠しきれない生真面目さ。それがJuice=Juice。 ということで、また奇怪な曲をリリースすることになりましたね。「KEEP ON 上昇志向」や…

金澤朋子「黄色い線の内側で並んでお待ちください」レビュー~羨望と受容を包み込む愛~

Juice=Juice現リーダーの金澤朋子さんの初ソロ音源「黄色い線の内側で並んでお待ちください」のレビューをさせていただきます。 www.youtube.com 映像美(朋子様を含む)が果てしない! ということで、ついに朋子様のソロ曲のMVが発表されましたね。 ※注意書…

Black or Pink vol.1

あらかじめ断っておくべきことがいくつかあるんじゃないか、と考えていま僕はパソコンの前に座っている。どういう訳か僕はこうして一つの話を書くことに、いや、この一つの物語を書かなければならないという義務にずっと背を向けて逃げてきた。僕がその事実…

Black or Pink vol.2

また時間が空いてしまった。 カリンが僕の家にやって来たその二週間。僕は自分が五歳年上と言うことも忘れて、或いはときには思い出して、カリンと一緒になって遊んでいた。僕がゲームをしている様子を面白そうに眺めていたり、僕が見せたアニメについてネッ…

Black or Pink vol.3

ここで僕はパラグラフを変え、そしてさらにわざわざ一行間を空けるなんてことまでした。理由は僕の熱を冷ますためだ。僕はあまりにも語りすぎただろうか。何か良いことを言おうとし過ぎて、劇的な表現を用いすぎたような気がする。先のような調子で言葉を連…

宮本佳林 卒業発表 ~アイドルの理由~

さて、昨日2/10夜にJuice=Juiceの宮本佳林ちゃんの卒業が発表されました。 ※今回の記事は、宮本佳林というアイドルの歴史を振り返ることよりも、「宮本佳林がいま卒業という考えに至った理由」について、色々と考えていくような内容にしていこうと思います。…

着想~全体主義・個別主義・攻殻機動隊~人間の情報管理容量の限界がもたらすもの~

※この記事は、思想や私の態度を表明するためのものでも、何らかの分析を行うものでもなく、単に一つの「着想」、すなわち「考え方」を整理するために、言わば個人的なメモ書きとして残すものです。そこには芸術性すらありません。 さて、記事のタイトル通り…