霏々

音楽や小説など

Juice=Juice「トウキョウ・ブラー」レビュー

めっちゃいい。これ、待ってたぜ。

もうね、曲名から「これかな」と思ってましたよ。実際。

 

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以下、後日に読み返してみてあまりに酷いので、「泥酔ゾーン」と「冷静ゾーン」に分けて目次を設けようと思います。まぁ、「泥酔ゾーン」もつまらなくはないと思いますよ。酷いだけで。

 

 

1.泥酔しながら書いたので読まないことをおススメします

サムネ…泣 おいおい、ゆめりあいかよ、つって。うぁうぅぁうぁうぁぁうぁぁ。

事前情報で、「Tokyoという片隅」的なパラボラが殺しにかかって来ることは知ってました。映画「ドライブ・マイ・カー」で西島秀俊と、三浦透子が出てきたくらいの確定演出であったわけですが、まさかの「ゆめりあい」。この未来を待ってた。いや、今やその未来は現代。だらしないSF小説は時代遅れ。リック・デッカードも電気羊を売っ払うってもんでしょうが。うぇいうぇい。

直近アルバム「terzo」は緑色とピンク色が象徴的でしたが、それをアップデートしたような極限までお洒落なグリーン。まーじで。この色味。色覚異常で数字が見分けられない人生を諦めたアラサーにも、ぶっ刺さります。眼球を抉られたグロスター伯が、仮想的崖っぷちから飛び降りて、人生をやり直すことを決意し直したように、私も明日に儚げな希望を持てそうです。本当に、本当に、こんな未来が待っていたなんて。ありがとう。ありがとう。謝謝。ダンケシェ。

 

作詞は安定の山崎あおいさん。作曲、編曲はErik Lidbon。あぁ、もう。ハロプロつんく♂?そうね、そうかもね。でもね、これが生成AIを飼い殺す現代なんですわ。伝統は抽出され、新しいアルゴリズムが新手を生み出すんですわ。ありがとう、現代。それでいて、どこか90年代テクノを感じさせるノスタルジー。サビはTKサウンドを思わせる。里愛の低音がハロプロ的に響くんだよなー。瑠々も渋い、渋いぜ。コリーヴ・レッカンのモザイク味。めっちゃ美味ぇ。60度弱のアルコールが脳髄吹っ飛ばすわな。

 

歌詞は下記の通り。

Plastic Platic tenderness
愛してる やっぱ愛してない
サイドミラー 街は揺らぐ

愛してない やっぱ愛してる
東京 今夜 溢れそう

レディオからブルー
明日は雨予報
仕事よね?
どうして気落ちしてるの

What you want? What I want?

だって懲りない 奔放なBoy
ほっとけない 弱気なGirl

環状のストーリー 抜け出すとき
その次の角で

Temptation
よそ行きの Love&Joy
ほら帰っておいで
奪うハンドル 眠れない恋の 助手席を降りて
新しい私で 新しい朝 見にゆこう
Graduation
後ろ髪そっと 撫でる夜風


Plastic Plastic Tenderness

愛してる やっぱ愛してない
優しくされると曇る
愛してない やっぱ愛してる
迷宮 GPS 壊れてる

クローゼットめいっぱい
だけど 着る服ない
ときめきは あなたがくれた あの頃
I miss us at the time

鳴ってばかりね 君のPhone
ほっとけない 弱気なGirl?
平穏のため沈黙 逃げない
行き止まる呼吸

Temptation
横顔に Love&Joy
重ねてる いつか

優しさって 渡し合うものよ
色褪せたコート
喧嘩の数だけ 絆になる なんて嘘
Graduation
あなたじゃなかった それだけでしょう?

ついつい無理する
胸騒ぎに酔ってる
五つ星手放して 一番星を目指す

Temptation
よそ行きの Love&Joy
ほら帰っておいで
奪うハンドル 眠れない恋の
助手席を降りて

「さよなら」
心はとても鮮明よ 戻らない
でもね ちょっと 涙の向うに
滲む 東京

Plastic Platic tenderness

 

既存曲で言えば「プラスティック・ラブ」を彷彿とさせるシティ・ポップ的な節回し。「ブラー」=「滲む」というワードが最後に出て来るのもお洒落ですわねん。悲恋を感じさせつつも、都会のスピードに身を任せ、どこかすぐ手前の出来事すらあっという間に思い出に変わっていくようなドライ感がありますね。1番は「愛してる やっぱ愛してない」と、「やっぱ」を順接に取っているのが、2番では「愛してる やっぱ愛してない」と「やっぱ」が逆説を取っているのが、これもまた都会的。何が自分の本心で何が自分の本心かわからない。それくらい、都会の夜風は何も残さない。ただ感情が滲むだけ。そうっすわなー。別に体験談があるわけでもないですが、良い感じのライブハウス行ってみりゃ、まぁ、これが都会かって。別に手を伸ばせば届く幸福が待っている感じ。恋愛に捉われたいような、でも、恋愛だけじゃどうにもならない欲望に滲んだこの街。それがトウキョウ……的な。ね。

 

にしても、里愛、里愛、里愛。里愛ちゃんはこの曲を背負うのは嫌いそうですが、いいのよ。あんたはステージ上に引き出されていれば。本当にそれが嫌なら、そんなにちゃんと歌わなきゃいいんだから。音楽に逆らえず歌ったなら、もう矢面に立っちゃいなよ。って、それくらい、これはもう私の中では里愛ちゃん。作詞、作曲、編曲をあなた色に染めさせていくんだってば。

あー痺れる。変わってしまったことにparalyze。時代変わったよね、これは。「ノクチルカ」でも「これ、エグイな」と思いましたけれども、「トウキョウ・ブラー」は持ってたね。シン・ハロプロなんてだっせぇ比喩を持ち出すのも別にいっか、って思えるくらい、ゲームチェンジャー(これもだっせぇ)な感じですね。でも、これを待ってたと言えば、待ってたんですよ。もうね、文脈とかどうでもいい。里愛ちゃんの中に流れる血液の血小板がハロプロを語ればいいのであって、その瞳や声帯や指先が描く未来があるのであれば、「未来!」「最高!」って感じで、「自分の死に方には興味ない」って言わざるを得ない。時代は「Never Knows Best」から「Easy revenge!」てことね。時代はあんたのもんよ。

 

言語化なんてクソ喰らえ。スカトロジストを喜ばせている場合でもねぇ。汚ったねぇ文章に、彼女らの純真を反映するのも忍びないので、パラグラフを変えざるを得ない。

 

さてもさても、私は里愛ちゃんが大好きなわけでございまして。彼女が自分のDNAの螺旋に組み込もうとしている、ハロプロやJuice=Juiceの文脈の尊さも理解はしていますが、どうしたって里愛ちゃんのオリジナリティは突如として現れたキュビズムが如くって感じでございまして。ジョルジュ・ブラックピカソが密談を重ねて新しい文脈を生み出したように、里愛ちゃんの独自性は、ハロプロに新しい風、否、ブラー的夜風を吹き込む偏愛であるのでございますよ。ほんに、ありがとーなぁ。

toeがロックに風穴を空けたように、里愛ちゃんにはポスト・ハロプロを描いて欲しい。そして、Juice=Juiceはその大海を割ったモーゼの後を突き進む最前線であってほしいなんて、誇大妄想を抱いてしまうのです。あぁ、この里愛ちゃんのニュアンスに、みっぷるが続いて、新しい時代を切り開いて欲しい。あぁ、そんな新鋭感を持ちながらも、きちんと先人へのリスペクトがある里愛ちゃんが愛おしい。

 

泥酔にかまけて、意味不明な言論を振りかざしてしまいました。いつもなら8000字近くを書かなければ満足できない遅漏の蛮人ではあるのですが、今日ばっかりは3000字で申し訳ぬ、ソウロウ。

色々とふざけた言葉を抜かしてしまいましたが、これだけは言える。この曲は至高。嗜好の志向を思考しながら、これぞ四光。紅葉に牡丹に菊、青丹を並べたが、上に四光が出来ました然うで御座います。んー、ごめんなさい。ペプシン臭い文章が。本当に申し訳なく思っています。本当にごめんなさい。本当に良い曲。私の駄文で穢したくはない。本気でそう思ってはいるんです。でも、私が物を言うには胃袋をひっくり返すより他ないのです。

 

蛇足的になってはしまいますが、ラスト・オリメンのあーりーの卒業シングルがこの「トウキョウ・ブラー」ってのは、なんだか身につまされます。いつまでもイメージ・フルーツがあるJuice=Juiceではないよ、と。懐古的な旨味を飲み下しつつ、変化を恐れず。ねぇ、里愛ちゃん。あなたがどれくらい、ハロプロの未来を描いているか、自覚をしているかしら。いいえ、自覚なんていらないわ。あなたはただ、あなたであればいいの。その美しい感性を誰にも曲げられぬことなく、そこにいてくれているだけで。未来を夢想するのは、スピリチュアル女子大生の二つ名を追剥ぎした私の役目だから。任せんしゃい、邪論、愚論、暴論と言われても、私は美しい未来を占うの。言語を選ばすに言うと、「ケンチャカスムニダ」って感じですよね。そう、そう。

えー、っと、まぁ、自分でも何が何だかよくわからなくなりましたので、今日はただただ「最高!」「いぇい!」って、独りきりの六畳間で薄墨の筆ペンでレシートの裏に歓喜の雄叫びを書かせていただきまして、宴もたけなわ、略して「宴たけ」の略礼を奉り申し上げらむ、って感じでございまする。それでは、明日は素敵な休息日とならんことを。嗚呼、免。

 

2.冷静に歌詞について話そう

冷静なだけで、別に分析が冴え渡っていたり、美しく洗練された文章が書けるわけではないので悪しからず。むしろ面白味がかけてしまうのではないかと危惧していますが、まぁ、泥酔ゾーンでは色々と書き洩らしているところがありましたので、そこを補っていきたいと思います。

まずは作詞(山崎あおいさん)について。Juice=Juiceと山崎あおいさんとの親和性は今さら言わずもがな、って感じですが、特に今回はJuice=Juiceの既存曲と噛み合う部分も沢山ありますね。

まずは「Tokyoグライダー」との比較ですが、どちらも夜の東京について描いているというのは言うまでもないですね。そして「Tokyoグライダー」の歌詞には「トウキョウ・ブラー」のテーマとかなり近い、『ネオンがやけに滲む』という歌詞があるのですが、これは前後の文脈を踏まえると「人生の美しさを思えば、涙で街のネオンの光りが滲んで見える」という感じに捉えることができます。対して、今回の「トウキョウ・ブラー」(つまり「東京の滲み」という直訳になりますが)においては、何が東京を滲ませているかと言うと、「強がっているけど、やっぱり失恋の涙で視界が滲む」という感じになりましょうか。より直情的で、わかりやすい「悲恋の涙」となっています。なので網膜に映っている景色は同じでも、そこに伴う感情は割と違います。

しかしながらどちらの楽曲も、忙しなく時が流れていく都会の模様というニュアンスが楽曲のアンニュイな雰囲気から感じられます。

ほかのテーマの近い楽曲としては「プラスティック・ラブ」がありますね。この曲は「トウキョウ・ブラー」と「plastic」という単語で繋がっています。どちらの楽曲でも「plastic」は「偽物」や「仮初」というニュアンスで使われていますね。ただその「plastic」をどういう風に受け止めるかが2つの楽曲の間で異なっています。「プラスティック・ラブ」には『恋なんてただのゲーム』という歌詞がありますが、ここから察するに「偽物」や「仮初」の恋をむしろ楽しんでいる感じです。そういった軽薄さこそが「都会的だよね」って感じでしょうか。逆に「トウキョウ・ブラー」は『plastic tenderness』と使われているので、恋における「偽りの優しさ」を恨んでいますね。そこがこれら2曲の方向性の違いです。

この2曲の違いは、もう少し私個人的に言うのであれば、「時間軸の違い」という気がしています。「プラスティック・ラブ」の歌詞をざっと読んでいくと、過去の恋愛でできた傷を忘れるために、都会的で「plastic」な恋愛を楽しもうとしているような物語になっていますよね。これは、ある意味では失恋したばかりの「トウキョウ・ブラー」の娘が、半年後に色々吹っ切れた状態っていう感じもします。つまり、「トウキョウ・ブラー」は「プラスティック・ラブ」の前日譚的な感じのように思えます。「plastic(偽物、仮初)」という同じ言葉を使いながら、失恋時(トウキョウ・ブラー)には相手からの「plastic」に苛立ち、半年後(プラスティック・ラブ)には自分の「plastic」さも織り込み済みで恋愛を楽しもう、って感じですかね。

そして、そんな時期を経て、「Tokyoグライダー」的純粋な気持ちで都会に挑んでいく、というのが綺麗な時系列になるのではないでしょうか。あるいは、最初は「TOKYOグライダー」的な気持ちを持っていたのが、恋愛にぐちゃぐちゃにされたというストーリーもまた一興ですが。

と、そんな暴論はいくらでも並べられるわけでして。邪推は一旦ここまでにして、ここからは普通に好きな歌詞を抜粋していきましょう。

 

明日は雨予報
仕事よね?
どうして気落ちしてるの

明日はどうせ仕事に行くだけで、どこかにデートに行くわけでもないのに、なんで気落ちしてるんだろう。って感じですけれど、ちょっと考えさせられますね。私だったら普通に会社に行くだけでも雨だったら嫌だなぁと思うんですが、ブラーちゃんは通勤の雨くらいだったら気にならない子だったようです。少なくとも彼と付き合っているときは。週末の彼とのデートの時に晴れをとっておきたい、みたいな考えがあったのでしょうか。だから、仕事のある日の雨はむしろ喜ばしいという考え方なのか。その辺はよくわかりませんが、彼との関係性とともに天気の捉え方も変化してしまったことが読み取れます。同時に、単純に「雨で気分がブルー」と改めて書き記すことで、ブラーちゃんの気分が全体的に沈みがちであることも表現できていますね。

ここまで考えてみると、「快晴の週末が恨めしい」みたいな対偶を取ってみてはどうだろうと思ってしまいますね。この楽曲の雰囲気には似つかわしくないですが、より捻くれている感じが出て、これはこれで好きだなぁ。はい、余談でしたね。

 

環状のストーリー 抜け出すとき
その次の角で

サイドミラー、ハンドル、助手席みたいな車に纏わる単語が沢山出て来る「トウキョウ・ブラー」。中でも「環状」は結構思い切った感があります。でも、この「環状」が担う言葉の「ハブ」感が私はとても好きです。まず第一に「車」との繋がり、これは言わずもがな。次にやはり「東京」と言えば「環七」、「環八」と環状線が有名なので、この言葉で「都会感」も演出できます。電車の山手線も環状線ですしね。それと「感情」と音が同じで、「感情のストーリー抜け出すとき」と書き換えても、これはこれで意味が通りそうです。そのうえで「輪っか」としての意味があるので、「ぐるぐると延々と続く悲しみのループから抜け出す」という本来の意味にもなります。

こういう色々な意味を読ませることを、私は「言葉のハブ感」って勝手に読んでるんですけど、これが凄い好きなんですよね。ただ私の中では、どうしても在日ファンクの「環八ファンク」という楽曲が「環状」という言葉と強く結びついているので、初めて見たときは「ん?この楽曲の雰囲気の中で使っていい言葉なんだっけ?」と思ってしまいましたね。こうして改めて書き出してみることで認識を改めることができました。別に「環状」はちょけた言葉ではないです。

 

後ろ髪そっと 撫でる夜風

これも素敵な言葉。「後ろ髪を引かれる」という「後悔」を意味する比喩ですが、この比喩を一回物理的な単なる「後ろ髪」と捉え、その物理的な「後ろ髪」が夜風に撫でられている、っていう歌詞ですね。んー、テクニカル。文章として物理的な因果関係がしっかりと成り立っていながら、意味合いとしては、「失恋なんて忘れて新しい私で新しい朝を迎えよう。でも、僅かな後悔が胸をざわつかせる。後ろ髪をそっと夜風が撫でるように」ってなっているのが素敵。直前の「新しい朝」が「夜風」のフックになっているのもさすがです。

 

クローゼットめいっぱい
だけど 着る服ない

(中略)

色褪せたコート

んー、ここも秀逸。まずは単純に「クローゼットには沢山の服があるけど、どれも彼とのデートのために買った服だから、一人の生活では着る服がない」という描写が秀逸です。もしかしたら「どれも彼から買ってもらった服だから」とか「どの服にも彼との思い出が染みついてて、それが思い出される」とか色々と「着る服がない」理由は考えられますが。ただ、面白いのは、そこから何行か詩が進んでいった先で、突如として「色褪せたコート」と出て来るところです。これは明らかに「着る服がない」を受けて、結果的に「色褪せたコートを着続けている」という描写をしていますよね。詩が進むことで仮想的に時間の経過を表し、そして急に現れる「色褪せたコート」。お洒落やぁ。

 

ついつい無理する
胸騒ぎに酔ってる
五つ星手放して 一番星を目指す

Cメロの歌詞です。YouTubeのコメントなんかでも結構見ましたが、「五つ星」というのがデビュー時のJuice=Juiceオリメンの5人を指していて、ラスト・オリメンの植村あかりちゃんが卒業するから、これからは「五つ星」を手放して「一番星」を目指そう、っていう意味になるそうです。なるほどなぁ。

「ついつい無理する」はオリメンがいなくなって、「ちょっと頑張らな」ってなっている状態でしょう(ここでみっぷるを持ち出すのはあまりよろしくない…?)。「胸騒ぎに酔ってる」はオリメンがいなくなって(もちろん不安はあるけれど)、新しいJuice=Juiceへの進化にワクワクしている、って感じですかね。

そんな風に、現状のJuice=Juiceを表していながらも、普通に失恋を克服する歌詞としても読めるのが流石です。

ちなみに「一番星」は「宵の明星」、つまり夕時に1番最初に輝いて見える金星のことを指しますが、歌詞全体を通して時間帯は不明確です。涙で滲む東京は、きっとネオンやビルの明りが輝く夜でしょうし、車関係も多分夜のドライブ。対して、天気予報は朝のイメージ。失恋の克服は、夜が明けて、新しい朝がやって来る感じに喩えられ、夕刻を示す宵の明星を目指しもする。でも、こんな風に細かくあげつらったりしなければ、全然破綻を感じないんですよね。それが凄いです。総体として、どういうイメージかというのが伝わってきますし、悲恋の歌でありながら、新しい局面に差し掛かったJuice=Juiceの背中を押す歌でもある。本当にこんなバランスの良い歌詞を書けるのは凄いです。山崎あおいさん、かっけー。

 

3.冷静に音楽とMVについて振り返ろう

まず構成から言うと、Aメロがめちゃくちゃ贅沢ですよね。ハーモニーがあまりなく、単音のベースとシンプルなドラムで構成されているので、かなりクールな印象ですが、メロディラインが4小節ごとに切り替わっていきます。

A1-1

愛してる やっぱ愛してない サイドミラー 街は揺らぐ

A1-2

愛してない やっぱ愛してる 東京 今夜 溢れそう

A2

レディオからブルー 明日は雨予報

A3

仕事よね? どうして気落ちしてるの

という感じで、同じようなコード感の中でメロディラインが遷移していっています。A1-1だけはコードも2種類しか使っていないので、入りのクールさにかなりやられます。A1-2以降も決して王道のコード進行ではないので、ちょっとした波に乗りにくさがあり、そこも憎いですね。薄っすらと聴こえる単音のギターのカッティングも心地いい。

そして、Bメロ。これがめちゃくちゃカッコイイ。シンプルでクールな楽曲の中で、急にEDM感を剥き出しにしたダークな音像。ちょっぴり「Seven Nation Army」のテーマっぽい感じがまた怪しげで素敵です。これが楽曲の世界観を大幅に押し広げていってくれます。どうやってこんな展開を思いつくんだろう。すごいなぁ。

「Seven Nation Army」は欧州サッカーのスタジアムで合唱されているイメージがあるんですが、この曲ってなんか怒りや熱気を孕んでいるような感じがあって、それが失恋で傷ついた女性の煮え滾る想いを表現しているような気がします。あくまで個人的な見解ですが。

そして、サビも2段構えでこれもまた贅沢。どこか小室サウンドを感じさせますが、ちゃんとJuice=Juiceらしい伸びやかでいて響く感じのメロディラインになっているのが本当に大好きです。山崎あおいさんの功績も大きいですが、リズムを際立たせるような「Temptation」とかの箇所と、響かせるような「帰っておいで」とかの箇所が上手いこと混じり合っていて、聴いていて楽しく、退屈しません。

それからやり過ぎない間奏も洒落てますね。ビートに強く意識が向いていて、「ここはクールにダンスを魅せるターム」ってしっかりと役割を担わせている感じがします。音源だけ聴いていると、すん、と流れて行ってしまう感じもあるかもわからないですが、少なくともMVでダンスを観ているとめちゃくちゃ引き込まれます。計算してるなぁ。

んで、みんな大好きCメロちゃん。瑠々ちゃんに全部歌わせた、思い切ったパート割も秀逸です。おかげで静かなバックサウンドの中、緊張感が継続し、ただ「聴かせる」というだけでなく、この曲1番の山場である落ちサビにしっかりとバトンを繋いでくれます。MVの瑠々ちゃんの表情も素晴らしい。最後の微笑みなんかは、「いったいどこからその余裕出てくんのよ。可愛くないわー。可愛いけども」って感じですよね。

落ちサビの里愛ちゃんには本当に感謝、感謝。両腕を大きく広げながら回転し、バチバチにリズムをキメる里愛ちゃんの姿が目に焼き付いて離れません。これがまたライブ映像だと凄いですよねぇ。早速ハロステで流してくれて、もう本当に嬉しい限りです。

 

youtu.be

 

もうカッコイイの一言ですよねぇ。

 

さて、ちょくちょくMVにも触れてきましたが、ここからはMVの総括を。

まずセットに巨大な撮影用アンブレラがあるということで、「Tokyoという片隅」感です。ここもまた「東京」というキーワードが絡んでいます。色味は鮮やかなメロン色。あーりーの卒業シングルということもあってですかね。でも、それ抜きでも素敵な色味です。お洒落なJuice=Juiceによく似合う。メロン色が主役ではありますが、それを引き立て、支えるのは純白。これがさらに爽やかさを引き出しています。純白を使ってはいますが、決して結婚式のようにごてごてした感じにはならず、あくまでスタイリッシュでちょっと未来的なシルエットなのがクール。襟やチョーカーで首元を飾っているのも気が利いています。

ダンスもバキバキ踊るというよりは、角度やしなやかさで魅せつつ、細やかなクイックネスで切れ味を魅せつける感じですね。こういうダンス好きだなぁ。

※Juice=Juiceのかつての核であった、佳林ちゃんも今、そういうダンスの魅せ方が凄いので、よければ「Lonely Bus」のパフォーマンスも観てやってください。

 

youtu.be

 

そして言うまでもないことですが、ビジュがエグい。ストレートおろしの瑠々ちゃんは曲の世界観のままですし、あーりーの巻き髪ポニーテール(大き目リボン付き)はめちゃくちゃガーリーなのにそのお顔の端正さで以って、全くいやらしくない。なんだったら全然クールにすら見えます。そして、りさち、えば、あかりんご。この3人は特にビジュが仕上がっている気がしますね。えばは万人受けしそうですが、特にりさちとあかりんごはコアなところにぶっ刺さりそうですね。めちゃくちゃ良いです。

 

というわけで、長々と書いてきましたが、冷静パートもこれにて終幕。泥酔パートでは書き洩らしてしかいなかったことを痛感しました。まぁ、勢いも必要ですからね。それも一興。にしても、語るに足る作品とはこのこと。久しぶりに楽しい時間でした。また、良い曲が出たらこうして文章にしたいなぁ、と思います。

それではまた次の機会に。