霏々

音楽や小説など

植村あかり卒業によせて ~卒業コンサート参戦~

2024.6.14(金)に植村あかりちゃんが、ハロー!プロジェクト及びJuice=Juiceを卒業されました。いやぁ、なんと言いますか、心にぽっかりと穴が空いてしまいました。そんな心とは裏腹に今はとてもいい天気。翌日のお昼時です。

 

なんだろう。やっぱり思うのは「1つの時代が終わった」ということですかね。

逆説的に言えば、「新しい時代が始まった」ということになりますし、私も最初はずっとそういう感じで卒業日を待ってはいたんです。後輩も育ち、いい意味でもうあの頃のJuice=Juiceはもういなくて、新しいJuice=Juiceになっていると思っていたので、あーりーが卒業しても何も心配することはないな、という気持ちだったんです。それくらい新しいJuice=Juiceをしっかりと作り上げ、流れに乗せてくれたあーりーは偉大なリーダだったんだと思っていたわけです。

既に新しいJuice=Juiceは立脚し、オリメンがいない不安なんて一抹もなく、むしろ新しい才能がまた新しい景色を見せてくれるとワクワクしてすらいました。もちろんビジュアル・歌唱・ダンス・人間性どれをとっても最高クラスなあーりーがいなくなることはグループとして痛手であるでしょうし、残念なことに変わりはありません。しかし、それを凌駕するほどの期待感というのも後輩メンバーたちは見せてくれています。

だから、卒業コンサートは盛大に送り出してあげるぞー、くらいに思っていたんですが……いやぁ、私の見立てが甘かった。オリメンがいなくなるって、そういうことね。でも、あーりー、最後に素晴らしいものを見せてくれてありがとう。植村あかりちゃんの卒業それ自体もとても心に来るものがあるのですが、やはりラストオリメンの卒業ってのが乗っかってくるとヤバいですね。

 

 

まだどのような構成になるのかも決めていません。考えられていません。ただ、いつものとおり、思い付きでだらだらと喋っていくしか私にできることはありません。

まず喋るべきは、ライブについてですね。このライブ無しでは、植村あかりちゃんの卒業について私には語ることができません。それくらい、この日までは私にはあーりーの卒業についての実感がなかった。というか、残念なことにもう麻痺してました。多くのハロメンの卒業を目にしてきましたし、卒業という形で綺麗に送り出してあげられなかったメンバーも、卒業という名目ではあっても卒業コンサートを開くことができなかったメンバーも、色々な形で沢山の子たちとお別れをしてきました。芸能活動を続ける子、続けない子。もうね、色々と感じてばかりいたら、心が持ちません。

だから、「卒業かぁ。寂しくなるなぁ。卒業後も頑張って生きていってほしいな。残された子たちには、その分がんばってほしいな」とだけ思って、それ以上はあまり考えないようにしていました。何だったら「ハロプロはまだいいよ。楽曲とともに思い出も後輩たちに引き継がれていくから」とさえ、思っていましたね。

でも、実際問題、あんなライブを見せられたら、心に来ないはずがない。うわぁ、私が悪かった。ごめん、もう本当にあの頃の手触りは戻ってこなくなるんだね。私は何もわかってなかった。愚かでした。だから、行かないで……

そう思わせてくれたコンサートについて語ります。

 

卒業コンサートにて

少し日記を挟みます。

このところとてもハードな日々が続いていました。平日の飲み会が多く(と言っても、気心の知れた相手が多かったので、精神的にはそこまで疲弊しなかったわけですが)、また仕事も余計なことに巻き込まれることが多く、メイン業務も量が増えてきました。

愚痴は色々あるんですが、6/14時点で私は結構参ってました。特に6/13は会社のグループ別の送別会があり、まずそこで結構疲れました。嫌な思いもしましたね。そして6/14は全体での送別会だったのですが、これはもうコンサートに行くことを決めたので無理やり出席拒否しました。私のグループが幹事を担当していたのですが、下っ端の私が何の代償もなく出席拒否をできるはずもなく、当日いないにも関わらず周知やら何やらをやることになり……そして当然ながらそのことで「なんで当日いない人が幹事やってるの?」みたいなことを別のグループからは言われ。

結構そういう小さなことで頭を悩ませていたのですが、もう6/14だけは絶対に清々しい気持ちであーりーを送り出すんだと決意していました。疲れ果て、涙が決壊しそうな気分ではいたのですが、あと少しだけ耐えよう、と。そんな中での卒業コンサートでした。

まだ陽の高いうちから会社を出て、武道館へ。送別会のことは先輩たちに任せて(あれだけ色々と事前の仕事はやったんだから、許してくれているはず)。それにしても暑い日でした。今日も暑そうですが。もう夏ですね。

私の席は武道館の2階のX列。そう1番後ろの列ですね。正確にはまだ立見席がありますが、席がある中では1番後ろの席でした。ライブが始まってすぐに熱気が立ち昇っていて、サウナ状態。汗ダラダラでした。ですが、割と正面に近い位置でしたので、視界はよく、肉眼でもパフォーマンスはよく見えましたし、双眼鏡を使えば表情まで見え、当然スクリーンもよく見えました。音響は完璧とは言えないまでも、ちょっと奥まって聴こえるかなくらいで、まずまず充分。照明も臨場感というよりは俯瞰してよく見えるので、何がしたいのか、何が起こっているのかがわかりやすかったですね。昨年末の10周年武道館ライブは、あーりーが言うところのほぼほぼ「勇者席」だったのですが、そこは演者と近いという面白味がありましたね。スクリーンもほぼ見えないので、脇からずっと演者を盗み見していて、たまに近くに来てくれるみたいな楽しみがありました。いずれにせよ、何でも楽しんだもの勝ちですね。今回の最後列も熱気でクラクラしながらも、会場全体の光と熱の折り重なりが体感できる面白い席でした。

 

と、そんなこんなでライブの中身について。

もうね。とりあえずセトリがやばかった。植村あかり監修の意味がよくわかりました。本当にあーりーはJuice=Juiceの当事者として、これまでの歴史をしっかりと紡いできたんだと思わされましたね。あんなに説得力のあるセトリはない。植村あかりの血肉、Juice=Juiceの骨子。それを見せつけられたという感じです。歴史の体現者。そして、このセトリは植村あかりというラストオリメンでしか、もう実感を持っては成しえない。あーりーが卒業した後に、残った後輩たちで同じセットリストをやっても、それではやはりもう説得力がなくなってしまう。あの時代のJuice=Juiceも、この時代のJuice=Juiceも、リアリティを持って体現できるのはやっぱりあーりーしかいないんだな、と思いました。

特にメドレーがエモかったですね。

・天まで登れ!

五月雨美女がさ乱れる

・伊達じゃないよ うちの人生は

辺りは最近ではほとんどやっている印象がなかったので、オリメンのあーりーならでは、という感じがしましたね。特に「天まで登れ!」では会場から笑い声さえ零れ出ていたので、いかに今のJuice=Juiceのイメージからはかけ離れた楽曲かというのが伝わってきました。でも、どこかでみんなこの曲を待ってたんでしょうね。私もなんか胸が熱くなりましたもん。あの最強のオリメンたちがこんなピチピチの楽曲を歌っていたなんて。今ではもうちょっと信じられませんもん。逆に言えば、もう「天まで登れ!」が披露されることはなくなってしまうのかな。これが最後の機会になったかもしれないと思うと、少し寂しいものがあります。

時系列が前後しますが、セトリは初っ端からヤバかったですよね。このところ「わた抱き」はフルでパフォーマンスされることはあまりなかったように思うのですが、今回はフルで。しかも「MEMORIAL EDIT」の方をやってくれました。こっちのアレンジの方が一癖あって私は好きなんですよね。というか、むしろ今のJuice=Juiceっぽいお洒落な雰囲気があるんですよ。だからこそ、そのあとに続く「Borderline」や「トウキョウ・ブラー」とも親和性が高く、とてもいい流れになっていました。でも、この3曲の流れもすごい良いですよね。「Borderline」は名ライブとして語り継がれる「TRIANGROOOVE」の1曲目で、新曲でありながら観客の度肝を抜いたことで有名ですし、「トウキョウ・ブラー」は現在の最新曲の中でも最も都会的でスタイリッシュな楽曲です。もうこの初手の3曲で「Juice=Juiceって昔から今に至るまで洒落たグループやろ」ってわからされましたね。

さらにここに続くのが、「ロマンスの途中」、「好きって言ってよ」、「イジ抱き」とこれまたかなりお洒落で強めの楽曲が来ました。まぁ、オリメンにとってもJuice=Juiceというグループにとっても「ロマンスの途中」は絶対に外せない楽曲ですよね。今回は「10th Juice Ver.」ではなく、オリジナルバージョンをやっていました。よりバンドサウンドっぽい「10th Juice Ver.」も好きなんですが、最近披露する機会も多かったですし、今回はオリジナルバージョンでよかったと思います。「好きって言ってよ」は私がJuice=Juiceの中で1番好きな曲なのですが、この強々のセトリの流れの中で聴けてめちゃくちゃ嬉しかったですね。この曲は本当にシャッフルビートが良く効いた素敵な楽曲なんですよね。もうこの頃には私が立っていたX列はとてつもない熱気になっていましたね。

そして「イジ抱き」ですよ。美楓ちゃん含め、きちんと若手にもパートを与えているにもかかわらず、かなりのクオリティでした。たぶんですけど、「イジ抱き」に関しては音源以上のものをちゃんと聴かせることが難しい楽曲の最高峰ですよね。楽曲自体が結構ウィスパーボイス寄りで、かつリズムもピッチも細かくて難しい。「お・ね・が・い」のところとか、「新しい夜・を」のところとか、ファルセットのコントロールが相当難しそうです。それでも今回のパフォーマンスはかなり隙がなかったですね。それでいて、ただ「正しい」だけでなく、楽曲に重みを乗っけることもできていたように思います。オリメンでも難しかったこの曲をこのクオリティで観られたことがとても嬉しかったですね。そんなある種の試金石的な楽曲ではあるわけですが、これをちゃんとこなせる現メンバーにはもう不安なんてあるわけもありません。

そのままの流れで「おあいこ」でした。この曲に関しては、個人的に色々な思いがあったので、ただの素敵な楽曲ということ以上に、何か胸の中がかき乱されるものがありました。Juice=Juiceメンバーがどうこう、あーりーがどうこう、という問題ではなく、単に私の中での植村あかりちゃんへの向き合い方がフェアだったのかという自問ですね。詳しくは楽曲レビューの記事に譲りますが。

 

eishiminato.hatenablog.com

 

その後、インターバル(衣装チェンジ)で今回のツアーのデュエットコーナーの映像が流れていましたね。本当に毎回違う子と違う楽曲をやって、すべてを受け止め、対応できるあーりーは単純にスキルがすごい。現在のメンバーも相当な猛者揃いだとは思うのですが、全く引けを取らないパフォーマンスが凄すぎました。全公演の映像があるんだったら、どこかで絶対に収録してほしいですね。さくらちが「悲しきヘブン」に挑戦した話とかもかなり胸にグッときましたしね。

そして衣装チェンジをした後は、ツアーのときと少し変わったトレンチコートを着たスタイルに。これもあーりーがデザインしたのかな、しかも「ポツリと」の雰囲気と親和性が高いな、ととても嬉しくなりました。照明やステージ効果も最高でしたね。水滴が落ちた波紋を映し出し、またスモークも焚いて、雰囲気が最高でした。たしか「JuiceFull!!!!!!!」の公演が「ポツリと」スタートだったんでしたっけね。当時「一発目に『ポツリと』なんだ」と結構衝撃を受けた記憶があったので、今回のインターバル明けの「ポツリと」も似たような衝撃を受けました。でもやっぱりいい曲ですよね。あまり激しくないダンスとトレンチコートの相性も良さそうでした。

そして、同じ衣装のまま「愛・愛・傘」へ。これもビックリしましたね。卓偉さん作曲のめちゃくちゃ好きな曲ですが、まさかここで聴けるとは。しかも、傘を持ってのパフォーマンスに、また衣装のトレンチコートが凄い似合うんだ。メンバーカラーの傘というわけではなかったので、あれ?あの子はどこいった?としばらく当惑はしてましたが、、、でも色々と目移りしている分、色んな子の素敵なパフォーマンスを観れてそれもそれでよきかな。優雅なダンスとパステルカラーの傘、そしてお洒落なトレンチコートが最高でした。そんな感じで、なるほど、ビジュアルと演出で魅せるコーナーに入ってきたということなのね。あーりーのプロデュース能力が本当に凄い。しかもその流れで今度は「銀色のテレパシー」。この曲はツアーからやっている曲ですが、ツアーの時からステージに腰掛けて、歌う人の足元がメンバーカラーに光る演出がとても美しく、素敵な空間になっていました。Juice=Juiceってこういうこともできるから凄いですよね。とにかく色んな種類の「お洒落さ」を見せてくれる。本当にレベルが高い。良いグループですよね。

何曲か飛ばして、またメドレーの話に戻りますが、「大人の事情」については言うまでもなくエモいとして、意外と嬉しかったのが「チクタク 私の旬」です。この曲は初代リーダーの宮崎由加ちゃんの甘い声が主役となる曲だと思っています。音楽としても結構リズムがタイトで聴いていて心地いいんですよね。そして、今の今まで気が付かなかった。そうですよ、テーマの部分でバイオリンの振り付けをしていたじゃないですか。てことは、いちかちゃんの出番。リアルタイムで「なるほどなぁ」と頷いておりました。

あーりーって本当によく楽曲のことを見ているなぁ、って何度も思わされました。「チクタク~」はその最たるものの一つではありますが、ちょっと覚えてないくらいには、卒業スピーチでも楽曲名や歌詞を沢山引用していたと思います。例えば、「全部賭けて」という言葉を何回も使っていましたが、これも明らかに「全部賭けてGO!」を意識しての引用でしょうし。まぁ、このセトリを作っている時点で、どれだけJuice=Juiceの楽曲たちと向き合ってきたのかってのは知れますけれど。欲しいところに欲しい曲が来て、それがきちんと意味を持って系統立てられている。個人的には今までのライブで一番しっくり来たセトリだったかもしれない。衣装もとても今のJuice=Juiceに似合ってましたし。あーりー、やっぱり凄い。灰汁の強いオリメンの中でも、自分の「あぁしたい」「こうしたい」「あれができる」「これができる」という視点だけでなく、「どうすべきか」「どうあるべきか」というのがよく見えてるんですよね。そういう個性や強みもあるんだな、とこの歳になって初めて思い至ったかもしれません。まぁ、それだけあーりーのそういう部分が突出していたからなのかもしれませんが。

そしてメドレーを締め括った「アレコレしたい!」も、あーりーが1番好きな曲ということで、納得の1曲でした。「どうして好きなのか」というエピソードも良くて、サビで「クラップ~」と掛け声がかかるのですが、そこで皆が拍手してくれるのが嬉しかったとのこと。特にコロナ禍でそのありがたさに気づき、さらにこの曲が好きになったそうです。あーりーの中でライブというものが、観客との交流に重きを置いているというのが凄い嬉しいですよね。

メドレー後、アンコール前の最後のブロックではもう畳みかけがエグかったですね。どの曲も凄い良かったですが、特に「Fiesta! Fiesta!」はめちゃくちゃ盛り上がっていました。というか、あれだけヲタク達が激しく歌ってたら盛り上がらざるを得ないですよね。「ナイモノラブ」からの「プライド・ブライト」でそもそもがテンション上がりきってましたし。そして勢いそのまま「ひとそれ」。Juice=Juiceの中でも1番売れたと言っても過言ではないこの曲のために、最高の打順で繋いできました。いやぁ、本当に凄かった。ここの流れだけでも、Juice=Juiceの最高火力を出してきた感がありますね。ただ良い曲、っていうんだけでなく、会場を沸かせる、一体にする。そのためのラインナップだったように思います。

それに続く「GIRLS BE AMBITIOUS!」と「Magic of Love」はもう幸福の絶頂。何も言葉で言うべきものはありません。叫んで、拳を振り上げ、そして「ここだよ、りさち」を言うためだけのお時間。あと、元気に「みーふはー♪」と歌っているのを見ると、泣きそうになります。これからも沢山聴かせてください、はい。

 

アンコール。もうね、衣装がね。

かっこ良すぎるだろ。あんなの、あーりーにしか着れねぇよ。だいたいみんな卒業ドレスはふわっとしてて、フリフリっとしてて、甘さとエレガンスのハイブリッドって感じなのに。なんだよ、これ。

すらっとした感じだと、あやちょのが近いのかなと思いましたが、あーりーのはシックというよりもゴージャス。一昔前の良い時代のハリウッド女優って感じがします。ていうか、女神?うん、これは女神だ。なぜか現世に転生した女神だ。美しすぎましたね。なんかヲタク側が「誇らしい」って思える時間でした。

「Brilliance of memories」も素敵な曲ですね。「あかり」という言葉は使わずとも、迷える私達を導く灯台のような、キラキラとしていて眩しくて、同時に儚いけれど、それでも力強い、頼もしい……そんな不思議な魅力のある楽曲です。気が付けば、ありがとうと言いたくなる。いや、ここは「あーりーがとう」か。

 

卒業のお手紙については、ここでは触れないでおきます。あとでもし喋るだけの勇気が私にあったなら、喋ることにします。

 

そして、最後の衣装は初武道館モチーフですかね。純白のスーツっぽい衣装。ニュース記事などで見比べてみると、今回の卒業コンサートの方がスカートだったりガーリーなニュアンスもありますが、佳林ちゃんもブログで触れているくらいなので、かなりそっくりです。こういう演出もさすがの一言です。

楽曲は想像通りというか、どれも名曲揃い。興味深かったのは「WW」の合唱。初武道館のラストと同じだぁ、と思っていたのですが、ヲタク達が思ったよりも歌えていなかったんですよね。たぶんみんな手紙と「続いていくSTORY」の後で泣いていて歌えなかったのかなぁ。でも、初武道館でみんな学んでますからね。歌をやめるタイミングは完璧でした笑

そんな珍しく声の出ていない「WW」だったのですが、メンバー全員からの一言MCが挟まった後の本当のラスト「Goal~」では最高の合唱ができたと思います。あかりんごなんかは号泣していましたし、それにつられて泣いていたヲタも多かったと思いますが(私も泣いてましたし)、でも結局笑顔になっちゃうんですよね。不思議と元気が出てくるというか、前向きな気持ちになっている。なんか「逆に笑わせにかかってる」とかじゃなくて、微笑ましくて、頼もしくて笑顔になっちゃうんですよね。

 

全曲終わった後のダブルアンコールでは、あーりーが会場に手を振っている間、拍手が段々と大きくなっていったり、音楽に合わせて手拍子が始まったり、と珍しい現象が起こっていたように思います。声出しが解禁されているのに、なんでかみんな拍手をしてしまうんですよね。みんながどういう想いで拍手を送っていたのかはわかりませんが、私はもう「あんたは本当によくやったよ」という賞賛と感謝の拍手でした。悲痛な惜別の雄叫びとかではなくて、なんか「マジで最高だよ、あんたは」という気持ちでいっぱいでした。そしてそんなあーりーへの想いを中心にして、「今日も最高のコンサートだった」という、とても当たり前だけれど、何よりも尊い賞賛と感謝の気持ちもありましたね。このコンサートのセトリや演出の中心にあーりーがいたのは言うまでもありませんが、Juice=Juiceのメンバー全員が最高のパフォーマンスを見せてくれました。いやぁ、とても良いコンサートだった。あーりーの卒業ということを抜きにしても。

 

植村あかり、最後のオリメンについて

私には彼女について語る資格がありません。「おあいこ」のレビューの中で書きましたが、私は植村あかりちゃんのことをフェアに評価してこなかったように思うからです。私は宮本佳林ちゃんがずっと好きで、Juice=Juiceを好きになり、オリメンのことはみんなそれぞれの特徴に合わせて「好きだなぁ」と沢山感じてきたわけですが、どうしてか植村あかりちゃんの魅力にはなかなか気が付くことができませんでした。

℃-uteDVDマガジンか何かで迷子になって号泣する姿を見たり、佐藤優樹ちゃんとのCZ2の動画を見たり、ひなフェスにパティスリーとして島村嬉唄ちゃんと「紫陽花アイ愛物語」のパフォーマンスを見たり、インタビューかなんかで島村嬉唄ちゃんと仕草がシンクロする動画を見たり、TRIANGROOOVEでの「メロディーズ」の妖艶なパフォーマンスを見たり、大人っぽい写真集を見たり……まぁ、何かと心を惹かれる瞬間は沢山あったのですが、どうしても私にはわかりやすさが足りなかった。私の推し遍歴を振り返ると、田中れいなさん、宮本佳林ちゃん、松永里愛ちゃんと結構ハードな情熱を持ったエースタイプの子が好きなんですよね。結構どう応援したらいいかがわかりやすい面々なんです。だから、植村あかりちゃんの飄々とした雰囲気に、どう向き合っていけばいいのかがよくわからなかったんです。

でも、(また佳林ちゃんの話で申し訳ないのですが)同期の宮本佳林ちゃんのブログを読んでいて、植村あかりちゃんが「努力を見せない」「成長スピードのエグい子」と評されていて、そこでようやく「あぁ、そうだったよなぁ」と気づきました。もちろん色んなところで書かれていたことですし、冷静になって見れば、あのバケモノみたいなオリメンに囲まれて腐らずにやってきたんだから、そりゃあ凄いに決まっています。しかも、それでいて持ち前の柔らかい人間性は失っていないわけですからね。ストイックになりがちなエリート集団にあって、植村あかりちゃんは他のグループでも類を見ないほどの大らかな性格。それは今のJuice=Juiceの自由な雰囲気を見ればわかります。

だから個性とか特別感が好きな私からしたら、植村あかりちゃんの特徴というのはもっと好きになって然るべきだったんですね。こんな鋭い強みを持っている子なんてほかにいないんだから。

Juice=Juiceのオリジナルの「グループへの愛(初代リーダー宮崎由加ちゃんが言うところの「いつの時代のJuice=Juiceも最高」)」と「パフォーマンスを通じてお客さんと繋がる」という伝統を初期からずっと継承してきた人間であり、かつ、新時代のJuice=Juiceの自由で開放的な雰囲気を作り上げ、そして過去と未来を繋げる最高のコンサートを編成しながら、自分はスタイリッシュな卒業ドレスに身を包む。こんな最強が、こんな近くにいたなんて。

少なくともJuice=Juiceという物語の第一幕は、最後のオリメンである植村あかりによって完成されたんだな、と思いました。

何が「卒業コンサートだからなぁ、今日は盛大に盛り上げて、送り出すぞー」だ。

事情をよく知らない新入社員が、凄い功績を残した会長のご勇退に際し、とりあえず周囲に合わせて乾いた拍手を送るような、「このあとの懇親会って良い店なんすか?」みたいな戯言を言うような、そんな気持ちでいた自分がなんて愚かだこと。いやいや、マジであの人は凄い人だったんだって。普通の人間には、あの人みたいなことはできないんだから、もっと崇め奉って、もっと感謝した方がいいよ。あの人がいなかったら、この会社はとっくになくなってるし、お前だってここにいなかったんだからな。誰でもいいから私にそういう忠告を投げかけてほしかった。

なーんてことを思うくらいには、この最後の数年で、いや数か月で、もっと言えば、この最後のコンサートで植村あかりちゃんに対する気持ちというのをひっくり返されました。

 

でも、これだけは言っておきたいのが、私は最後のオリメンが植村あかりちゃんになったときに特に不安は抱いていなかったということです。後輩が育っていたということも大きな要因の一つですが、植村あかりちゃんなら問題なくやれるだろうな、というのは何となく感じていましたね。人間的に素晴らしいことは滲み出ていて、鈍感な私にもさすがに伝わっていましたし、何よりも魂の強靭さみたいなのは知っていました。菅井先生にベロを引っ張られている映像も見てましたしね。まぁ、それはあくまで具体的な精神の強靭さを示すエピソードであって、私の言いたい魂の強靭さというのはもうちょっと違うかもしれません。

それは220ツアーを乗り越えたことで身についたタフさのようなものが近いのかもしれません。とにかく何があっても動じない。へこたれない。同時に依存的でないのも良いところかもしれません。松永里愛ちゃんなんかは今回のコンサートの最後の一言でも結構Juice=Juiceに対して自分の価値を依存させているような発言をしていましたが、それはそれでエモいんですけれど、やっぱりちょっと心配になっちゃうところで。その点、植村あかりちゃんはJuice=Juiceに対する愛はしっかりとありながらも、そこまで執着というのを見せないようなところがあります。その方が下につく子たちは伸び伸びとやれるのかもしれません。もともと精神的に穏やかで責任感のある子をメンバーにしているから、というのもあると思いますが、大らかにすべてを受け止める度量のある植村あかりちゃんがリーダーであるならば、空中分解したりはしないだろうなという安心感がありましたね。

開祖たる宮崎由加ちゃんもかなりのやり手ではありましたが、残された金澤朋子ちゃんも高木紗友希ちゃんも宮本佳林ちゃんもストイックモンスターでしたからね。植村あかりちゃんがリーダーになったらだいぶJuice=Juiceの雰囲気も変わるだろうなぁとは思っていました。それでも、たぶんその変化は良い方向に行くんだろうな、というイメージもあって。黎明期の背水の陣みたいな雰囲気って、あるところまで行ったらもう取り戻せないし、取り戻す意味もないんですよね。それよりは居心地の良さを引き出すことの方が組織やグループにとっては大事だったりします。そしてまたいつの日か、厳しい時代がやってきたときに、またその時にいるメンバーで頑張ればいいんです。でも、そのときまでは幸せで楽しい時間を、そんな雰囲気を守っていってほしい。そういう転換点に、植村リーダー期はあったんじゃないかと思います。だから、本当にちょうどいい時期だったと思います。

Juice=JuiceのN+1人目のメンバーに私は菅井先生がいると勝手に思っているのですが、少なくともオリメンは植村あかりちゃんも含め、問答無用で菅井先生のレッスンを受けることができたんです。あの熱血で、激しく、強烈なレッスンを。でも、たぶん今のJuice=Juiceメンバーは菅井先生じゃない先生にレッスンを受けている子もいて。そのことは決してマイナスなんではなく、もっと多様性を持って組織を作るという意味で、すごく良いことだと思うんですよね。植村あかりちゃんはそういうことを自然と受け止められ、もちろん咎めるようなことは絶対にしません。「菅井先生のレッスンも受けられないようじゃ、Juice=Juiceの資格はないね」なんてことは絶対に言わないわけです。それが伝わってくるからこそ、良いんですよ。「みんな、自分にあった自分の在り方を見つければいいじゃん」、「私は私の時代。これからはこれから」とできちゃう。

もちろん、これまでのストイックなメンバーだって、誰かを咎めたりはしないと思います。みんな考え方が大人ですからね。でも、ストイック過ぎて怖くなっちゃうかも。少なくとも私だったら。ストイックモンスターたちは、とぼけたり、人見知りで頼りない感じを見せたり、そういう工夫はしていたと思いますが、植村あかりちゃんはストイックではあるけれど、眉間に皺を寄せるタイプではなく、もっと天然で自然に人の心を開かせられる。それが強みだとずっと思っていました。

だからこそ、(本当に申し訳ないことですが)個人的な興味関心はそこまで惹かれていなかったものの、植村あかりちゃんに任せておけば絶対大丈夫という感じはあったんですよね。それが私の植村あかりちゃんに対する、とてもズルくて卑怯な評価のようなものでした。

 

でも、やっぱりこうして文章に書いてみると、「もっと好きになれたんじゃないかな」と思ってしまいます。少なくとも「卒業コンサートのときが1番好きだと感じた」ってのは、やっぱりなんかズルい。し、勿体ないし、不義理。とても「おあいこ」とは言えません。そのことがとても心残りです。

 

最後に…

結局、スピーチの内容については書くことができそうにないです。私は彼女の心を語れるほどには彼女について深い愛を抱けていなそうです。これまで語ってきたのは彼女の心ではなく、あくまでちょっとした歴史やちょっとした人となりについて。彼女がどう思い、どう感じ、どう考えながらアイドル人生を過ごしてきたのかというのは、きっとスピーチの内容に多分に含まれているのでしょうが、だからこそ私には語れそうにないです。

それでも1つだけ。スピーチを聞いて、本当にそうだな、と思ったことを一つ。

あーりー曰く、「Juice=Juiceに入って、自分の笑顔が好きになった」そうです。確かに最初は笑うのが全然上手じゃなかった。不機嫌なのかな、って思ってしまうほどに笑っていなかった印象です。何度も書きますが、あの座間に辿り着けずに℃-uteのお姉さんに抱き着いて号泣していた映像を見て、「あぁ、この子にも感情ってあるんだ」と思ったほどです。

でも、気づけばめちゃくちゃ笑う人になってましたね。それも「美人」ってことを忘れるほどに顔をくしゃくしゃにして。それはアイドルとしての成長でもあったでしょうし、人間としての成長でもあったんじゃないか、と。そのことが本当に嬉しい。あーりーみたいな黙っているだけでも周りにちやほやされる子が、素敵な笑顔を手に入れてくれたこと。そしてそれを手に入れる過程にJuice=Juiceがあったこと。そのことが、自分はJuice=Juiceのことが好きでよかった、と思わせてくれます。誇らしくさえあります。

 

欲を言えばですね……また、あーりーの笑顔を見たいですね。色んな形の人生があると思いますが、色んな形の人生を選べる現代だからこそ、無理に可能性を狭めたりせず、また表舞台に立つ未来を選択してほしいです。大好きな動物関係の仕事をしながらでもいいので。

 

それでは、今回はここらへんで終わりにしようと思います。あーりーがとうございました。