霏々

音楽や小説など

高木紗友希 卒業(活動終了)によせて

2021年2月12日に高木紗友希さんがJuice=Juice、およびハロープロジェクトを卒業されました。

※事務所のコメントでは「活動終了」となっていますが、個人的にやはり「卒業」という言葉を使いたいので、以下の内容でも「卒業」という言葉が出て来るかと思いますのであしからず…どういう経緯での活動終了であれ、私は紗友希ちゃんにはハロプロの卒業生として胸を張っていただきたく思っているので。

これまでたくさんの感動を、そしてJuice=Juiceというグループを作り上げてくださり、本当にありがとうございました。2013年から8年間、Juice=Juiceというグループがここまで歩んで来られたのは、やっぱり紗友希ちゃんの活躍、そして成長があったからだと思います。

まずは素直に感謝の言葉を捧げさせていただきたいと思います。

ありがとうございました。そして、お疲れさまでした。

 

 

今回の卒業について話すうえで、まずはもちろん紗友希ちゃんに関する私の思い出を語りたいと思います。これが主題であることは間違いありません。

しかしながら、今回の急な卒業についてもやっぱり考えていかなくてはならないでしょう。確かなことはどこにもないので、全ては憶測でしかありませんし、そして私の個人的な考え方になるので、特にどうしても伝えたいわけではないですが、やはり考えないわけにはいかないので。

私自身、書いていて嫌な気持ちになるかもしれません。なので、美しい思い出の部分だけ読むことをオススメ致します。まぁ、この記事を読んでくださる方がいらっしゃればの話ですが…

 

美しい思い出たち

高木紗友希ちゃんと私の出会い、Juice=Juiceのメンバーとして

8年も昔のことなので正確なところは思い出せませんが、やはり思い出に残っているのは、ミュージカル「リボーン~命のオーディション~」のコウノトリ役ですね。モーニング娘。のお姉さま方に囲まれ、子供らしい笑顔が印象的でした。後に同じグループに選出され、盟友となる宮本佳林ちゃんもこのミュージカルで共演していましたね。

既にほかの記事で公言しているように、私は宮本佳林ちゃん推しなので、何と言うか勝手に紗友希ちゃんのことはライバル視していました(笑)。同じハロプロエッグの中から選抜されたこの「高木紗友希」という女の子はいったい何者なんだ!?と。でも、決して嫌いになるとかそういうことではありません。佳林ちゃんと同じレベルの子がハロプロエッグにはいるんだと知って、とてもハロプロの未来が楽しみになりました。それに、紗友希ちゃんの明るく可愛らしい人間性みたいなのが役から透けて見えて、「こういう子がグループにいると、きっとグループの雰囲気が良くなるんだろうなぁ」と考えたりしていました。そして、その印象はこうして卒業してしまった今も、私は紗友希ちゃんに対して抱き続けております。

 

Juice=Juiceのメンバーとして選出されたとき、「あぁ、リボーンのコウノトリ役の子か」と思いました。大塚愛菜ちゃんがメジャーデビュー前に脱退してしまってから、ハロプロエッグの血を濃く引いているのは、紗友希ちゃんと佳林ちゃんだけになりました。金朋様(金澤朋子)も歌唱スキルなど高かったものの、アイドルとしてはまだまだ素人っぽさがありましたし、デビュー当時はゆかにゃ(宮崎由加)もあーりー(植村あかり)もスキル面ではなかなか難しいところがあったように思います。そんな中で自然と紗友希ちゃんはグループの軸になっていましたし、期待も大きかったでしょう。

そんなわけでスキルでグループを引っ張る存在ではありましたし、重要なパートを任されることも多かった紗友希ちゃんですが、当時は今ほど「歌」というのが彼女の名刺になってはいなかったように思います。もちろん、スコーンと高音を当てる能力などは最初からあったのですが。4thシングルの「風に吹かれて」のラストなど、割と序盤から歌唱力を見出されてはいましたね。

その頃のJuice=Juiceを振り返ってみると、王道アイドルで表現力の「宮本佳林」、正確かつ独特な魅力がだだ洩れる「金澤朋子」、伸びやかで大胆それでいて器用に何でもこなす「高木紗友希」という3人が歌唱の軸にあったように思います。本当に良いバランスで、紗友希ちゃんの歌声はJuice=Juiceを繋ぐ接着剤のように感じていました。

そして、残りの2人(この言い方はちょっと失礼ですね…)も舞台を通して歌唱力が開花しだし、菅井先生とのトレーニングや「LIVE MISSION 220」を経て、5人全員の歌唱力が輝き始めたとき、あの「Magic of Love」がハロプロ界を震撼させます。

 

この「Magic of Love」が紗友希ちゃんの名をより高めることになったのは間違いないでしょう。多少「魅せプ」っぽさがあったのは確かですが、それまで大人っぽい楽曲をサラリとこなして来たJuice=Juiceメンバー、特に紗友希ちゃんの歌唱力はなかなか広くには伝わっていなかったと思います。なので、「Magic of Love」で一気に歌唱力にフォーカスされたときは「ほれ見たことか」とJ=Jファンは全員内心でほくそ笑んだと思うのです。が、実はそんな大きな顔もできないというのが正直なところではあります。

「Magic of Love」が収録された1st アルバム「First Squeeze!」の楽曲群で披露された彼女たちの歌唱は、正直ファンですら度肝を抜かされたと思います。少なくとも、私は当時お金もなく、ほとんど現場に行けていなかったので、ハロステでライブ映像などが出される度に度肝を抜かれていました。

いやいや、歌うまいのは知ってたけど、こんなにか!?

話は飛びますが、色んな場面で「Magic of Love」は他のハロプログループのメンバーによっても披露されてきました。しかしながら、やっぱりその度にJ=Jの「Magic of Love」のクオリティの高さには驚かされるんですよね。もちろん持ち歌ですし、やってきた回数も比じゃないので当たり前ですが、それでも「Magic of Love」を完璧にやれるJ=Jってやっぱり凄いなぁと思うのです。そして、そんな「Magic of Love」の1番の見せ所であるフェイクは、J=J歌唱3本柱のうちの宮本佳林でも金澤朋子でもなく、高木紗友希ちゃんにパートが与えられたわけです。

 

「Juice=Juiceってどんなグループだっけ?」

「ほら、Magic of Loveの…」

「あぁ、はいはい!」

 

J=Jを忘れるなんてことはあってはなりませんが、こんな会話が為されることは想像できますし、この会話におけるイメージの中で必ず目に浮かぶのはフェイクを歌い上げる高木紗友希ちゃんの姿だと思うのです。それくらい紗友希ちゃんの歌唱力というのはグループに大きなものを与えてくれたように思います。

 

グループに必要不可欠だった存在

なんか割と初期の頃って、「金朋・紗友希ちゃん」、「ゆかにゃ・あーりー」、「ぼっちりん」みたいな雰囲気があったように思います(笑)。とにかく、紗友希ちゃんは金朋と仲が良くて、ハローキティの舞台で佳林ちゃんが金朋(男装)に恋をしてからは特に、その2人を佳林ちゃんが羨むという図式があった気がします。そういうつもりが無くても、なんかちょっとしたグループを作って分かれてしまう感じが年頃という感じがして微笑ましかったですね。

でも、基本的にパフォーマンスに対してみんな真摯であることは伝わってきましたし、上手く慣れ合うことができない時期でも、ステージ上ではきちんとお互いを信頼し合っている感があって、これはこれで結構ぐっと来ていました。私の中のイメージでは5thシングルの「背伸び/伊達~」の辺りがそんな雰囲気だった気がします。

そんな時期において、やっぱり肝だったのは高木紗友希ちゃんの存在だったと思うのです。というか、本当に結成当初から紗友希ちゃんはグループにおいて非常に重要な役割を担って来たと思うのです。

 

語弊があるかもしれませんが、やはりJuice=Juiceは宮本佳林を中心に据えたグループであったと思います。佳林ちゃんの卒業に際して、紗友希ちゃんもブログで「Juice=Juiceは佳林ありきのグループ」と明言していますし、そういう認識はグループ内外に存在していました。

 

ameblo.jp

 

特にグループ結成当初はそういうイメージが強かったと思います。中でも比較的アイドル歴の浅い、ゆかにゃ・金朋・あーりーの3人にとっては「宮本佳林」という存在はあまりに大きかったと思います。メンバーの同期だからと言って、対等に渡り合うなんてことはなかなか考えることができなかったはずです。そんな中、紗友希ちゃんは「同じハロプロエッグ出身でしょ?」なんて言われるプレッシャーもあったはずですが、腐らずに努力を続けてくれました。

「Magic of Love」では顕著に出ましたが、3rdシングルの「裸の裸の裸のKISS」では既にキメのパートを担当しており、「歌は高木紗友希」というポジションを確立しようと奮闘していました。それからも「風に吹かれて」などでもキメパートを任されたりしてきました。これがあったからこそ、Juice=Juiceがただの宮本佳林のためのグループにならずに、きちんと5人のグループになれたのだと思います。

ゆくゆくにはリーダーのゆかにゃが「お互いの得意なことを活かしあうグループ」と言い切り、不安を抱えて入って来る新メンバー2人(段原瑠々梁川奈々美)を温かく迎え入れることができました。もし、ある時点で紗友希ちゃんの心が折れ、佳林ちゃんを先頭に押し出して、身を引くようなことがあれば、おそらくJ=Jは卒業加入があるグループになれなかったんじゃないかな、と思います。

つまり、それぞれが自分の個性や得意なことを発揮する、今のJuice=Juiceが出来上がる礎は紗友希ちゃんによってもたらされたと思うのです。彼女の前向きに頑張る姿勢、得意なことを見つけて個性を出そうという姿勢、それこそがJuice=Juiceというグループの本質を作り上げたように思います。

 

もちろんメンバー誰1人が欠けてもダメだとは思いますが、紗友希ちゃんが絶対的センターとして据えられた佳林ちゃんの隣で常に努力し、個性を模索し続けたからこそ、今のJ=Jの柔らかく、自信に満ちた風土が作り上げられたのだと思います。

 

そういう意味で、私は本当に紗友希ちゃんには感謝しているのです。

 

高木紗友希ちゃんの思い出

色々あるのですが、特に印象に残っているものを列挙していこうと思います。

 

西川貴教のイエノミ!!

 西川貴教さんのネット番組に出演した際に「ぶぅ」というあだ名をつけられて、あっけらかんとした様子で楽しそうに番組に臨んでいました。明るく、ちょっとガサツな感じは岡井千聖ちゃんっぽさもあり、彼女の素直で素敵な性格がよく表れていて、とても印象に残っています。

 特に「『ら』行の言葉を母音につけながらカンフーできる!」という謎の特技を披露しており、これがかなり面白く、一気に好きになってしまいました。

 

・Girls be Ambitious

 いきなり「こうなったらマジで痩せてやる。宣言!」という歌詞を与えられたのにはびっくりしましたね。メンバーへのあてがき楽曲でこれはちょっと…と思ってしまうような歌詞です(笑)。しかも、楽曲の歌い出しがこの歌詞ですからね。でも、紗友希ちゃんはきちんと歌い上げており、しかもそれから地道にダイエットも続けており、今ではすっかりスレンダー…というよりはダイナマイトボディの素敵なお姉さんになりました。

 本当に地道な努力ができる素晴らしい人です。歌唱力のこともそうですが、紗友希ちゃんを見ていると、人間にとって本当に大切なことを学ぶことができます。

 

・超便利屋@TRIANGROOOVE

 武道館で行われたライブ「TRIANGROOOVE」では、金澤朋子植村あかり高木紗友希の3人で「メロディーズ」で披露しているのですが、ここでの紗友希ちゃんのハモりが本当に素晴らしいです。というか、超便利屋扱いです。金朋やあーりーに合わせて、難しいハモりも難なくこなし、ムーディな楽曲世界を煌びやかに演出しています。本当に紗友希ちゃんがグループにいるって心強いと思わされました。

 名ライブとして名高い「TRIANGROOOVE」の中でも、私が1番お気に入りにしているのは、この「メロディーズ」です。

 

田中れいなさん愛

 そう言えばもう昔過ぎてすっかり忘れていましたが、私の最初の「推し」である田中れいなさんのことを紗友希ちゃんもかなり推していたんですよね。舞台「リボーン」でのコウノトリ役と合わせて、当時の私には印象的でしたね。

 田中れいなさんも非常にストイックで、自分の見せ方にはとことんこだわる人だったので、そういう根が真面目なところなどを引き継いでいるのかなぁなどと、こうして記事を書きながら思い返しています。

 

・役柄

 舞台「リボーン~命のオーデイション~」では天真爛漫な進行のお手伝い役、舞台「夢見るハローキティ」ではイジメっ子役、舞台「タイムリピート」では気の良い男のメカニック役、テレビドラマ「武道館」では明るいムードメーカー役。色々な役をやってきましたが、いずれの役も「人間味」が魅力となっている良い役を貰っているように思いました。これもひとえに紗友希ちゃんの素直で優しく、人としての正しさがあるからこそだと思います。

 

・後輩からの慕われ方

 番組「ハロプロONE×ONE」では、モー娘。牧野真莉愛ちゃんに指名されて、とても慕われている様子が映し出されていたのが記憶に新しいです。2015年くらいにはその紗友希ちゃんの色んな人からの慕われ方が凄いというスレッドが立っており、基本的には面倒見が良く、コミュニケーションを自然に取ることができる素敵な人格者であります。先日私が購入した「ソロフェス!」の舞台裏映像の中でも、モー娘。佐藤優樹ちゃんに懐かれていて、その応対の仕方などから人の良さがビシビシ感じられました。

 

もっと色々あるはずなんですが、とりあえずはこんなところですかね。

どうしても歌の印象が強くて、なかなか沢山のエピソードを出すことはできませんでしたが、とにかく人格にも優れた人だなぁという印象が強いです。

 

卒業に至るまで

報道内容の何が原因だったのか…?

2021年に2月11日に、アーティストの優里さんとの同棲(半同棲)に関する記事が報じられ、翌日2月12日には所属事務所のアップフロントから卒業に関するコメントが発表されました。寝耳に水、とはこのことです。

 

私は実際に今回の報道記事の内容を確認したわけではないので、どのような書き方をされているのかはわかりません。私が知っているのは、ネットで集めた断片的な情報に過ぎません。紗友希ちゃんが今売り出し中の優里さんというアーティストの方と一緒に外出したり、家に行って洗濯物を干したり、と半同棲のようなことをしていたという風に聞いております。

 

そして、先日発表された事務所と本人のコメントに共通しているのは、そんな半同棲の「報道を受けて」の卒業であり、その理由は「自覚が足りていないこと」とされています。

ハロープロジェクトは明確な恋愛禁止ではないアイドル集団であるというのが、ファンの間でも一応の共通理解にはなっていますが、実際にはグレーな部分があることも間違いないでしょう。なので、普通に考えれば「恋愛」が報じられたことが原因となりますが、事務所側の言い方からは「コロナ禍(緊急事態宣言下)での頻繁な外出」というのも原因の1つと考えていることが伺えましょう。実際に元ジャニーズの手越祐也さんなども、プライベートでの節度のない行動が取り沙汰されたりしていました。

なので、紗友希ちゃんの行動のどの要素が「自覚の足りない行動」だったのかが明記されていない以上、何が1番の原因だったのかはわかりません。まぁ、だからこそ「総合的に判断し」などという言葉が使われているのでしょう。

紗友希ちゃん自身のコメントの中では、「軽率な行動で気持ちを裏切った」とあり、また「許してもらうことはできない」、「責任を取る」、「恩返しをする」という言葉も使われています。「気持ちを裏切った」と言われると私のような男性ファンからすると、特にアイドルに対して恋愛感情に近いものを抱いている人からすれば「男女交際」のことがいち早く頭に浮かんできます。しかしながら、コロナ禍の緊急事態宣言下で軽率な外出を繰り返し、信頼を損ねたという意味でも「気持ちを裏切った」ということにはなるかもしれません。

 

ハロプロって結局恋愛禁止なの…?

いったいどうなんでしょうかね。過去に同じグループの金澤朋子さんは「明確にそういう契約になっているわけではない」とインタビューか何かで答えているようですが、多分恋愛は禁止(少なくともバレたらダメ)というのが不文律のようになっていると考えるのが妥当でしょうね。

今の時代、恋愛を解禁しているアイドルグループなんてざらにありますし、未だに恋愛禁止なんてのは時代遅れという考え方も増えてきました。アイドルだって1人の人間なんだから恋愛くらいするさ。それを認めないって、人権を侵害しているんじゃないか。と、まぁ、正論ではあります。

しかしながら、リベラルな考え方を広げていくことは重要である反面、そのリベラルな考え方に理解を示しながらも、ブランディングを行っていくことは商売として重要でもあります。少なくともスーツを着て会社に行っている人には、「恋愛禁止なんて時代遅れ」と批判する資格はないと私なんかは考えてしまいます。

企業イメージを守るため、「スーツの着用」が義務化されている会社は今の時代にも多いと思います。私の勤める会社なんて男は髪を染めるのも基本的にはNGだったりしますしね。「時代遅れの会社~」と揶揄されようとも、会社のブランドや信頼を守るためには必要なことかもしれません。もちろん社会の流れが変わって来れば、いずれスーツも着なくていいし、むしろ髪を染めてお洒落にすることが求められるかもしれません。先日眼鏡店にいったら、店員さんはみんな眼鏡をしていましたし、これも1つのブランディングですよね。

例えば、私の会社では髪型がぼさぼさだったりすると、それとなく上司からお叱りを受ける場合もあります。逆に派手にセットしていてもお叱りを受けます。もちろん会社の規則の中に「髪を染めてはいけない」などと書いてあるわけではありません。あくまで「会社の評判を落とすようなことをしてはいけない」的な文言が書かれているだけのはずです。では、何をしたらアウトで、どこまでがセーフなのか。それは非常に難しい問題です。

仮にそんな感じの風紀にうるさい会社で身だしなみが酷い社員がいたとしましょう。でも、身だしなみが酷いだけでは、減俸のような処罰は与えられない。そこで、その社員が賭け麻雀をしているのが見つかったとします。「賭け麻雀くらいみんなしてるよ」と上司は考えているかもしれません。でも、日ごろの行いや身だしなみの事、そして「賭け麻雀」という分かりやすく強い理由が出てきたとき、きっとその社員は「総合的な判断」の下、処罰を受けることになるでしょう。

たぶん、それと近いことが今回の紗友希ちゃんの卒業にもあったんだと思います。つまり、「恋愛がバレたから卒業してくれ」とは言えないけれど、「コロナ禍での外出もあるしさ」というところで卒業になったんじゃないかと私なんかは思うわけです。

 

ハロプロはアイドル稼業の中でも結構な老舗です。決して、ファンの全員が所属メンバーに対して疑似的な恋愛心を抱いているわけではないと思いますが、やはりメンバーが恋愛をしていると知ったらちょっとは嫌な気持ちになる人が多いと思います。もしもバンバン恋愛のことを語るアイドルが好きな人であれば、きっとハロプロを好きになりはしないんじゃないでしょうか。

私はかつて田中れいなさんに結構強い恋心を抱いていましたし、歳を取ってからはハロプロの「温室栽培」感、あるいは「純粋培養」感に惹かれている部分があります。ある程度歳を重ねたメンバーが恋愛していたとしても、そんなにショックは受けないでしょうが、ハロプロ全体のバランスや規範を見たときに、「はーい、全面的に恋愛OKです!」となったらちょっと嫌ですね。正直なところ。

事実、今回の件で紗友希ちゃんが恋愛をしていたと知って、そのこと自体には特別ショックを受けませんでした。むしろ良い相手で、紗友希ちゃんが幸せならいいけど…と思ったくらいです。まぁ、「恋愛についてグレー(というか、基本的にアウト)なグループに所属しているアイドルの子」をあえて口説く男、が良い人である確率を考えるとちょっと心配ではありますが。でも、そこは紗友希ちゃんを信頼したい…と、そう思いたいという感じです。

でも、やはり気になったのは、あまりハロプロに男の匂いを持ち込まないでほしい、ということですね。こういうのは差別になるかもしれませんが、高級なフレンチ料理店に行ったときに小汚いおっさんが周りの目も気にせず、むしゃむしゃ行儀悪く食事をしていると、それはやっぱり気になると思うんです。あえて店員に「あいつを追い出せよ」とまでは言わないまでも、せっかくの高級フレンチで良い気分になっているところを害されたような気になってしまうことでしょう。そして、もし味がちょっとでも微妙なら多分その店にはもう行かないと思います。

ハロプロメンバーのことは基本的に、彼女たちの人生ベースで応援しているので、どうしても恋愛はダメか、と言われればなかなかそうも言えない部分もあります。それで彼女たちが幸せになれるのであれば、全然構いません。でも、ハロプロにはそれを持ち込んで欲しくない、というのが正直なところ。なので、世間的にも「ガチ恋かよ、キモ」みたいなことを言われそうなので、表立って「恋愛はやめて!」とは言いにくいですが、やっぱり「うーん…」と思ってしまいます。「恋愛の歌を歌っているのに、アイドルが恋愛するのはダメ?」なんて言われると、「じゃあ、ミステリー小説家は殺人を犯しても良いの?」と言いたくなります。「殺人は犯罪でしょ。恋愛は別に犯罪でもなんでもない」なんて正論を言われたら、「カレー屋でウンコの話をしないで欲しい、と言うのはダメなことか!?」と逆ギレしてしまいそうです。

 

まぁ、何が言いたいかと言うと、恋愛禁止でなくても良いとは思いますが、私個人的にはあまりリアルな男女交際の匂いをハロプロには持ち込んで欲しくないということですね。それは上述の通り、ハロプロにはやっぱり高級料理店であって欲しいので、それに相応しい雰囲気づくりを徹底してもらえると消費者側としては助かるということに近いです。もちろんそんなドライな気持ちで応援しているわけではないので、ハロプロメンバー彼女たちが幸せならそれで良いという想いもあります。けど、可愛い女の子たちがきゃっきゃしてて、それでいてパフォーマンスには真摯に向き合う、どこか部活っぽい青春感がハロプロの好きなところなんです。もし、そのブランドが崩れていくのであれば、もしかしたらハロプロという伝統にあまり惹かれなくなるかもしれません。

そして、おそらくはそういうことを事務所もメンバーもある程度は理解していると思っています。一般的なビジネス同様、そこには不文律における信頼感というものがあります。私はこれまでハロプロには沢山お世話になってきたので、ちょっとしたことじゃ嫌いにはなりません。新曲があまり好みでなくても、軽い不祥事を起こしてしまったメンバーがいても、基本的にはハロプロというものを愛しています。でも、それはそこに信頼感があるからです。「ハロプロってこういう感じだよね」というのが、ファンの側にもハロプロ側にもありますし、それを守っていこうとしてくれているんだと感じるから、信頼できるのです。

とにかく、ハロプロのブランドというものは明文化されていない部分にも表れていますし、その明文化されていない部分はファンと事務所やメンバーの相互認識の間で、かなり曖昧な空気のようなもので成り立っています。それは当然、恋愛以外の部分でもそうです。「歌もダンスも嫌いなんだよね。とりあえず私は芸能界でタレントとして一発当てたいの」という子が、きっと今のハロプロでは求められていないように、モヤモヤした霧のようなもので、ハロプロのブランドというものは成り立っています。というか、ハロプロに限らず何でもそうですよね。

 

なので、ハロプロは恋愛禁止ではないのかもしれませんが、少なくとも男女交際を大っぴらにすることが奨励されるような場所ではないと私は考えています。ガンガン下ネタを言ってテレビで売れようとするくらいなら、一生懸命パフォーマンスを磨いていてくれ…というのが今のハロプロのファンの願いであるように(勝手に断定してしまい、すみません)、「まぁ、あまり恋愛沙汰を持ち込まんでくれ」というのがファンと事務所との共通の見解だと思います。

あくまで私個人の意見ではありますが、恋心そのものを否定するわけでも、人権を否定したいわけでもなく、ただただハロプロに求めることを語る上で、リアルな恋愛の要素はあまりいらないということです。アイドルだって人間ですからトイレに行くくらいわかります。でも、トイレに対して恥じらいを持っている子たちの方が、私は応援したいです。ただそれだけのことなのです。

 

紗友希ちゃんの決断

と、これらのことを考えていくと、私は今回のスピーディな「卒業」という対応はむしろハロプロ高木紗友希ちゃんの株を上げたように感じています。

もちろん、そうは言っても、ちゃんと卒業コンサートをして、幸せな気持ちで送り出してあげたかったという想いも強いです。そうできなかったことが悔しいです。もしそれが実現できるなら、「恋愛OK!」と言ってしまっても良いでしょう。それに、これくらいのことでタレントの人生を壊してしまっていいのか、という想いもあります。それに紗友希ちゃんの歌声は、ハロプロに必要だとも思います。打算的なことを言えば、テレビでも紗友希ちゃんの歌声は取り上げられるようになってきており、紗友希ちゃんを残すことは大きなメリットもあったでしょう。

ちょっとした「おイタ」で辞めさせるなんて、どうかしている。

むしろそういう過剰な反応がよりタレントの息苦しさを強め、どんどんと悪い方向へ向かわせているという考え方もあります。

恋愛したっていいじゃない。だって、アイドルも人間なんだよ。

好きな人の家に行くくらいいいじゃない。マスクせず電車で酒飲んで騒いでいたわけでもないんだし。

少なくともそういう考えが紗友希ちゃんにも事務所にもないわけがないです。だから、できることなら世間やファンからのバッシングを気にして、ビビり過ぎたが故の卒業でないことを祈っています。

 

それでも卒業という決断をしたのはどうしてなのか。

それはやっぱり「ハロプロ」というブランドを当人たちがどう考えているか、ということに唯一の理由があってほしいです。

もし、紗友希ちゃんが「ちゃんと卒業コンサートをしたい!」というのであれば、それはやっぱり実現して欲しいです。12年もハロプロに貢献してきたんですから、こんな1回の「おイタ」で彼女の全ての権利を剥奪すべきではありません。法律に抵触したわけでもないんですから、別に良いじゃないですか。

でも、前章でああだこうだ私の個人的な意見を述べてきたように、今回の件は色々な角度から見たときに「ハロプロ的」とは言い難いものであることも事実です。そして、おそらくそのことは紗友希ちゃんも含め、事務所もよく理解しているはずです。ルールに絶対に従わなければならないということではありませんが、「ハロプロ」のブランドを守りたいという想いから、今回の「卒業」という決断に至ったのだとすれば、そのことに対して、むしろ私たちは感謝こそすれ、変に批判すべきことではないと思います。

「潔く辞めてくれてありがとう」とは思いません。むしろ、どんなことをしてでも続けて欲しかったというのが、ファンとしての素直な想いだとは思います。多少、男の匂いが漂ったって良いじゃないですか。それくらい全然目を瞑ります。

でも、やっぱりハロプロ全体がそういうムードになるのはちょっと嫌だ、というのも事実なのです。

そして、同じことをもし紗友希ちゃんも感じているのだとすれば、紗友希ちゃんのような明るく素直で、真っ直ぐな努力ができる性格を鑑みれば、今回のような決断に至ったことも納得できないことではありません。私たちファンが許したとしても(事実、ネット上では「残留して欲しい」や「卒業コンサートはしてほしい」という意見も多いです)、紗友希ちゃんの信念に則って、純粋なハロプロに対する愛から決断したことだったとすれば、その決断を受け入れるよりほかありません。

 

私自身ひどく複雑な想いです。

別に紗友希ちゃんに責任を取って辞めて欲しいというわけでもないです。むしろ、「せめて卒業コンサートくらいは…」と言っている人たちに共感できてしまいます。何だったら残留して欲しいです。紗友希ちゃんはハロプロにもJuice=Juiceにも必要な存在です。そんな存在を守れない事務所にも腹が立ちますし、そういう状態に追い込んでしまったのがファンである私たちであるならば、それは何とも不甲斐ないことだとも思います。でも、やっぱり「ハロプロ」のイメージは守って欲しいという想いがあるのも事実ですし、もうどうして良いかわからないです。

どう考えても、整理のつかないことばかりです。

だからせめて思うのは、今回の決断が紗友希ちゃん自身によるものであって欲しいということだけです。もし、紗友希ちゃんがハロプロを守るために、素早く決断を行い実行したのだとすれば、それを尊重するしか私たちにできることはありません。

 

だから、私は今回のスピーディな決断はむしろハロプロ高木紗友希ちゃんの株を上げたという風に考えています。彼女は「守る」ことを優先したんだと、そう思いたいです。紗友希ちゃんの人柄を考えれば、「守る」という発想に至ることは容易に想像がつきますし、紗友希ちゃんの人格の素晴らしさを思えば、それを速やかに実行に移すことが何よりも効果的であるということもわかっていたはずです。

 

現に、私は情けないことに、ハロプロからこんなにも禍根無く、男の匂いが離れたことで安心してしまっているんですから…

 

ハロヲタである私は何と罪深い人間なんでしょうか。

 

 

…それはそれとして、色々な憶測が飛び交っています。

既に辞める話は出ていたとか、それがコロナで延期していたのではないかとか、だから紗友希ちゃんはもともと辞めたくてその機会を伺っていたのではないかとか。

まぁ、確かにそういう気配は何となくあったように思います。でも、できることなら卒業コンサートくらいしっかりやりたいと思うのが普通じゃないでしょうか。だから、紗友希ちゃんがいずれにせよ辞めるつもりだったとかは関係なく、単純に全く無用な報道のせいで、無理な判断を迫られ、こんなにもあっけなく卒業が訪れてしまったことが残念でなりません。

せめて決断が紗友希ちゃん本人の意思であったと考え、それを前向きなこととして受け入れ、その決断が実に効果的であったということを賞賛しなければやってられないです。

あとは、そういう決断をさせてしまった私たちファンや世論に問題があるのであって、紗友希ちゃんを責める気にはなれません。

 

紗友希ちゃんが残したメッセージでは、ハロプロに対する感謝や愛、そしてそれを損なったことに対する罪の意識が書かれています。それを信じて、その気持ちに対する行動が、速やかに身を引くということだったのだとすれば、それを前向きに受け入れるだけです。

いつもならもっと時間のかかるところを、これだけ速やかに決断が為されたのだから、これは絶対に紗友希ちゃんの意思に違いない。そう思わなきゃ、やってられません(もう何回この言葉を言っているんですかね…)。

いやいや、事務所が無理やりそうさせたんでしょ、とかそんなことはもう考えたくないですね。少なくとも私はこれまでの紗友希ちゃんを曲がりなりにも応援してきたわけですし、彼女の最後の決断もきちんと受け止めて、褒めてあげたいと思います。こんな褒め方しかできずに本当に不甲斐ないですが。

 

最後に…

はい。具合悪いです。もう自分でも何を書いているのかよくわからなくなってきました。

また後日読み返して不適切だと感じたら、修正か削除をかけるのでよろしくお願い致します。

 

最後にもう一度。

本当にこれまで沢山の感動をありがとうございました。そしてJuice=Juiceというグループを作り上げてくださり、ありがとうございました。これからもあなたが作ったもの、守ったもの、残したもの、を応援していきます。そして、紗友希ちゃんの人生も応援しています。

どうか幸せになってください。あなたにはそれだけの資格が十分に足りています。