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Juice=Juice「プライド・ブライト」レビュー

Juice=Juiceの17thシングル「プライド・ブライト」のレビューをしていきたいと思います。100万回再生おめでとうございます!

 

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久しぶりの楽曲レビューです。

MVが公開されてからやや時間が経ってしまいましたが、この素晴らしい楽曲について何も書かずに据え置くことはできませんでした。先日の武道館公演は、ライブビューイングにて鑑賞させていただいたのですが、そこでもこの新曲はひと際注目を集めていましたし、何よりも会場を盛り上げていました。イントロのギターが流れてから数秒間で、「Juiceに凄い新曲が来たぞ!」と、そういった類のうねりが巻き起こっていたように思います。

 

■楽曲構成

楽曲構成は至ってシンプルで、

イントロ→サビ1→Aメロ→Bメロ→サビ1→サビ2→間奏

→Aメロ→Bメロ→サビ1→サビ2→間奏

→サビ1→サビ2→アウトロ

という感じです。特別取り上げるとすれば、この楽曲の肝は上にも書いた最強の「ギターリフ」と、最強の「サビ」にあり、その2つをふんだんに使っているということでしょうか。まずはイントロでバキバキのギターリフを発動させて、そこから印象的なサビに繋げています。そしてサビの最後にはまたギターリフが挿入されるという仕組み。

作曲の山崎あおいさんはJuice=Juiceの代表曲にもなった「『ひとりで生きられそう』ってそれってねえ、褒めているの?」の作曲もされており、印象的なメロディラインを作ることに長けた方です。私はあおいさんが作曲した「好きって言ってよ」がJuice=Juiceの楽曲の中でも1,2を争うくらい好きなんですが、この曲もメロディラインがとても素敵です。

そして編曲はハロプロ御用達の編曲家で、ご自身が優れたギタリストでもあらせられる鈴木俊介さん。武道館ライブでこの楽曲を初めて聴いたときも、ハロプロでこれだけ攻めたギターリフを入れて来るのだから編曲は鈴木俊介さんだろうと思っていました。それくらいロックバンド的に高度なサウンドと言えば…な方なんです。

そう考えると、山崎あおいさんのサビと、鈴木俊介さんのギターに主軸が置かれたこの楽曲が良作になるのは必然なわけですよね。

他にも語るべきことは沢山あり、前述した「好きって言ってよ」もそうでしたが、本楽曲はサビが2部構成になっているので、1曲を通して聴いたときの満足感はとてつもないものがあります。ただ2部構成と言っても、完全に違うメロディを繋ぎ合わせているのではなく、「Only 1 & No.1」のところだけが違うメロディとなっているので、継ぎ接ぎ感もなく、かと言って飽きも来ない絶妙なラインでまとめられています。それからもちろん、AメロやBメロの置き方も素晴らしく、全くと言っていいほど無駄がありません。リズムの立っているAメロと、マイナー調で流れるようなBメロと王道の感じです。楽曲全体を通して、王道でキャッチーなところから全く逸れることなく作り込んでいる…そんな正面突破感があって素敵ですね。

前にも語ったことがありますが、Juice=Juiceと言えば、才能と努力に裏打ちされた高スキルが売りです。そんなグループが王道の楽曲を臆することなく真面目に歌い上げるというのが良いんですよね。ともすれば誰にだってできることのように思われそうなのですが、Juice=Juiceのオリジナリティってこの王道感だと思うんです。これはきっと誰にも真似できない。歌もダンスも上手く、ビジュアルも優れた子たちが自信満々にパフォーマンスしている姿が私は好きです。YouTubeのコメント欄でも「Juiceが歌う強い女の子の曲が好き」というコメントをよく見かけますが、それってこの私が感じる王道感とかなり通じていると思うんです。まさに「ひとりで生きられそう」って言われてしまいそうなくらい完成された子たちが、完成された楽曲をパフォーマンスするというのがJuice=Juiceなんだと思っています。

オリジナルメンバーの頃からJuice=Juiceにはどこか完成された感というのがありました。初期にはその完成された感のせいでどこか引きが無いように見えてしまった時期もありましたが、今やその完成された感がJuice=Juiceの強みになっているというのが感慨深いです。そして実際にはJuice=Juiceは新陳代謝を繰り返し、未来への成長の可能性も感じさせてくれるグループにもなりました。常に現状がベストだと納得させながらも、未来を感じさせてくれるなんて、どれだけ素晴らしいグループなんでしょう。

と、少し楽曲のレビューからは逸れてしまいましたね。

あ、あと転調について触れるのを忘れてました。聴き過ぎていつの間にか当たり前になってしまっていたもので。米津玄師やYOASOBIの楽曲でよく見るように、最近は転調を取り入れるのがもはや当たり前になって来ていますよね。ただ本楽曲では、サビと間奏が同じメロディラインなのに半音転調してるのが面白いところです。さらに間奏からAメロに入るタイミングでも転調しているので、もう盛沢山って感じです。この転調があるおかげでシンプルな構成にもかかわらず、何回聴いても飽きないんだと思いますね。

 

■音像

シンセサイザーを色濃く使っているので、全体的な口当たりはアイドル楽曲らしいというか、J-POPらしい感じがあります。が、一聴して耳を引くギターリフを中心にして、ドラムもベースも結構エグイことをやっています。表面のポップさを剝ぎ取ると、とんでもなく攻めたロックサウンドになっていますね。

ドラムなんかはかなりわかりやすく、手数と言うかゴーストノートがハンパないです。全編通しても凄いのは変わらないのですが、1番のAメロではスネアが、2番のAメロではハイハットがわかりやすくかなり細かいゴーストノートを刻んでいてとてもカッコイイです。ベースは間奏やサビでもう一つのメロディラインかというくらい自由自在にフレーズを奏でています。これがあることでだいぶ楽曲としての厚みが出ているように思います。もちろん無理をせずコードや全体のリズムに合わせて弾いているところもあり、その辺のバランスもちょうどいい感じなんですよね。

ギターはその音作りからカッコイイですし、全楽曲の中でも1番耳を引くように要所に差し込まれています。が、荒っぽいカッティングでありながらも、Bメロの背後では相当テクニカルなフレーズを弾いています。聞こえにくいですがサビでも僅かに聴き取れますね。このギター、ベース、ドラムの3者がそれぞれに高度な演奏をしてくれているおかげで、ただキャッチーなメロディラインを持っているだけの楽曲というところに留まらないクオリティを感じさせてくれます。

 

■歌詞

そして絶賛されているのが、この山崎あおいさんの書く歌詞です。

あの子に会ってたのね 「ケジメ」なんて呼び方で

というのはこの楽曲の中でも1番のキラーフレーズですね。なぜキラーフレーズなのかと言えば、もちろん皮肉の効いたワードセンスということもあるんですが、全体的に抽象的な言葉で構成されている本楽曲の歌詞において、このワンフレーズだけでおおよその状況が説明されているからだと思います。

色々な場面が考えられますが、とりあえず主人公の女の子の彼が隠れて別の女の子に会っていたことは間違いがなさそうです。「ケジメ」と言うからには、元カノなのか何なのか、いずれにせよ彼はその子に対して何かしら惹かれるところはあったのでしょう。惹かれていたからこそ、その別の子との関係性を断ち切るために会っていたのでしょうか。いや、単に「ケジメ」というのは都合の良い言い訳でしかなく、浮気がバレそうになって持ち出した都合の良い言葉だったかもしれません。

そして、そこに繋がる…

比べて選ばれて めでたし言える女じゃない

という歌詞からは、「それでも僕は君の方が好きなんだ。だからこうして君の所に戻って来たんじゃないか。そうさ。君の言う通り、僕は確かにあの子に惹かれるところがあったかもしれない。でも、だからこそ、男のケジメとして、あの子よりも君の方が好きだと確信するために、あの子に会って、そしてちゃんとお別れを告げて来たんだ」的なエピソードがイメージできますね。たった2行の歌詞ですが、何と言うかそういう場面設定がすっと頭に浮かんで来るので、この歌詞はとてつもない情報量を含んだ優れた詩であると思うわけです。

それ以外の歌詞については基本的に抽象的なことを語っているので、ざっくりとまとめると…

・Only 1かつNo.1でありたい(特別かつあらゆる面で1番の女でありたい)

・ありきたりな愛の言葉で言いくるめられるような女じゃない

・そういうプライドが私にはある

ということになるでしょうか。つまり、「私のことを心底愛してくれる人じゃないと嫌だし、ましてや他の女に現を抜かしているような男はごめんこうむる」ということでしょうね。ただ、そういうことを繰り返し宣言し続けないといけないくらいには、そのプライドもぐらぐらとぐらついていると読み取れるかもしれません。

だめ…だめ…前向いて

なんかの歌詞にあるように、やっぱりどこかに弱さのようなところも抱えていて、基本はカッコ良くて強い女性なんですけど、その二面性が見え隠れする感じが堪らないです。「ひとそれ」なんかもこういったテイストが含まれていましたよね。そういう意味でも、Juice=Juiceのイメージにぴったりの歌詞だと思います。

 

■まとめ

ともかく武道館公演で初めて見たときから印象が強かったこの楽曲。シンプルな楽曲ではありますが、繰り返される転調とJuiceメンバーの高いスキルとビジュアルのおかげで何回でも聴くことが、観ることができてしまいます。ネットの情報では、ハロプロのMVの中でもかなりの早さで100万回再生を達したということですし、やっぱり楽曲の強さって大事だなぁと思います。そんなわけでMVはもうかなりの回数観たので、今度はライブバージョンも早く観てみたいものです。

MVの見どころについても語ろうかと思ったのですが、もう1カット1カットが素晴らしすぎるので、今回は割愛させていただこうと思います。それでも漂う妃咲ちゃんのエースの風格と、落ちサビの里愛ちゃんの音ハメだけはここで少し触れておきたいと思います…いや、やっぱりみんな最高だ~