霏々

音楽や小説など

適応障害と診断されまして… vol.24

適応障害と診断されて31日目(11月14日)の朝起きてすぐ、この記事を書いています。先月、10月14日から私は会社を休んでおり、の10月15日に適応障害と診断されました。1か月記念日みたいなものですね。今日をイブとした方が良いんですかね?

※また例によって、特に何もしていないので、ただの日記と化しています。あしからず。

 

前回

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ちょっと時系列が前後しますが、まずは忘れないうちに夢日記をつけます。

 

1.夢日記

私は酷い二日酔いの中、簡素なホテルの1室で目を覚まします。カーテンは僅かに開けられていて、そこからは新鮮な朝の光が射し込んでいて、備え付けのテーブルやらくしゃくしゃになったシーツを照らし、嫌に明瞭にその陰影を描き出しています。

同じ部屋ではたしか高校の頃の同級生が2人眠っていました。が、彼らは既に起きて、部屋を出る準備をしています。彼らは私が精神疾患によって、会社を休んでいることを知っていましたが、昨晩一緒に楽しく飲んでいたせいもあって、私だけ今日も会社を休めることを少し妬ましく思っていることが私にはわかります。仮に精神疾患でなくても、これだけ二日酔いが酷ければ、会社になんて行きたいと思えるはずもありません。私は自らが精神疾患で良かったとさえ思っているのですから、それが彼らに透けて見えてしまったのでしょう。

彼らは急いで会社に行く支度を始めます。対して私はもう休職中の身だし、ましてや職場から遠く離れてこっちまで来ているわけですから、もし正規の時刻に出社しようと思っても、絶対に間に合いません。

2人はやはり「お前はいいよな」と言いたそうな顔で、二日酔いの苦しみの中でさっさと準備を終わらせてしまうと、部屋を出ていきました。「あとは任せるな」とだけ言って。

私は彼らが行ってしまうと、少しほっとしてベッドの端に腰を下ろします。自分だけゆっくりとしていることに対する罪悪感。でも、仕方ないんだ。精神疾患なんだもの。と自分で自分の言い訳をしてやります。つい昨日読み終えたばかりの「ノルウェイの森」で永沢さんが言っていた「自分に同情するのは下劣な人間のすることだ」という言葉が思い出され、僕は悲しくなります。悲しいので僕はもう1度寝ようと思うわけですが、何となく彼らがこの部屋に帰って来るような気配を感じます。そこで私は荷物の整理や、朝の支度をしているフリをしています。二日酔いで精神疾患だけど、別にサボっているわけじゃないんだということを見せつけるために。

案の定、彼らは何か忘れ物をしたのか、部屋に戻ってきます。私は何でもないようなフリを続けながら、彼らが忘れていったものを一緒に探してやろうとします。が、彼らは私の協力なしで、あっという間に自分の目的の物を見つけてさっさと行ってしまいます。私はほっと安堵の息をつきます。しかし、再び、彼らが戻って来る気配がします……そんなことが永遠と繰り返されます。

 

場面はまったく変わり、突如として私は鮮やかな自然に囲まれた場所にいます(明確に描写することはできますが、あまりに私の会社の業務を特定するような場所になるので、かなりぼやかしながら書いていきます)。古い橋があり、その下を真っ青な川の水が流れています。空気はひんやりと冷たいものの、陽射しは暖かく、紅葉の狭間にいる木々たちはキラキラと色とりどりに輝いて見えます。朝露はそういった世界の絵具を身に反映させて、生まれたての命そのもののようにさえ見えます。

そこで私はなぜここにいるのか、前の職場の上司から説明を受けます。「〇〇っていう調査の最中なんだよ」と上司は言います。そして、上司を含めた私が仲良くしていた数人が近くにいますが、ずっと遠くには私たちがちょっと煙たがっていた先輩社員がいます。その先輩社員も相当に偉い人です。私の上司の方が役職は僅かに上であるものの、会社には先に入社しているため、そこにはちょっとややこしい「ねじれ」がありました。上司は「なんか急にあいつが張り切っちゃってさ。それで、こうして全員で来てるんだよ」と私にさらに説明をしてくれます。

「こんな面倒なことさっさと終わらせたいですね」

「俺らに必要な調査だけしてさ、あとはあいつの好きなようにさせておこう」

上司と私は笑い合います。上司は決して私が「病気療養中」であることには触れません。しかし、彼はそれを知っていますし、本来ならば私がここにいるべきでないことも知っています。なぜなら私は既に別の職場の人間で、そこで休みを貰っているからです。働けるなら正式な職場で働くべきですし、働かないなら家で療養してるべきです。しかし、上司はそこには触れることなく、私がそこにいることを許してくれているのです。

美しく色づいた自然の中で、私は上司の優しさに打ちひしがれます。

 

と、そんな夢でした。夜中、ちょっと目が覚めたような気がします。そのとき、私の足の辺りでは、2匹の猫がじゃれ合うあの感触がありました。そして、朝起きたとき、私はいま自分がどこにいるのか上手くつかめませんでした。カーテンの隙間からの光の差し込み方が、実家の自室のそれとは違うので、一瞬の混乱がありました。

昨日の夜はなかなか寝付けませんでした。それについては、また次の章で書きましょう。

とりあえず、これが忘れないうちに書き留めておきたかった夢日記です。

 

2.適応障害と診断されて30日目~東京へ一時帰還~

前日、遅くまで「蛍・納屋を焼く・その他の短編集」という村上春樹の短編集の感想記事を書いていたので、起きるのが少し遅くなりました。起きたときにはすでに父も妹も家を出ていました。怠惰な生活に少しだけ罪悪感。

朝食を食べ、テレビの騒音を避けるようにイヤホンをして本を読んでいると、母が「マイナンバーカード作りに行きたいんだけど」と話を持ち掛けてきます。私としても何かすることが欲しかったので、よろこんで送迎の役割に立候補します。2匹の猫たちは押し黙ったままですし、この教室では私が立候補するよりほかないという背後要因もありましたけれどね。

シャワーを浴びて、身支度を整え、街の中心地へと車を走らせます。平日の昼間ということもあって、そんなに道は混んでいませんが、さすがに中心街の付近は信号も多いし、車線もごちゃごちゃしているし、走り慣れていない私は母の指示にしたがって、あっちからこっちへとめちゃくちゃに車線変更をしています。ようやく目的地に辿り着き、そこで母を降ろし、私は適当にその辺をドライブしました。それにしても市街地のドライブほど楽しくないものもありませんね。マイナンバーカードの発行手続きなんてどれくらい時間がかかるかわかりませんから、あまり遠くに行くこともできず、その辺をぐるぐるしていましたが、5分くらいで飽きてしまい、結局コンビニに車を停めました。

申し訳ないねぇ、と思いながらもコンビニで漫画を立ち読みして、トイレを借り、130円のコーヒーミルクを購入して車内に戻ります。Spangle Call Lille Lineの楽曲を聴きながら、「ノルウェイの森」の続きを読んでいるうちに、割と早めに母から終了の連絡が入ります。私はご自慢の自作の栞をページに挟み、車を走らせます。

母をピックアップするともう昼前だったので、母の提案で前にテレビで取り上げられていたというお店へ向かいます。「休日なんてとてもじゃないけど入れないくらい混んでいるのよ」と母は言います。まぁ、全国ネットで取り上げられた地方の店なんてどこもそうなるんだろうなぁ、と思います。「平日なら大丈夫だと思うんだけど」と母は少し自信なさそうに言います。そして、そのせいか道案内を失敗し、私たちは変なところへ迷い込んでしまいます。普段だったら絶対に行かないようなところで、そのどん詰まりにある施設は私が成人式で行ったところです。

成人式にはあまり良い思い出がありません。宣伝ではありませんが、成人式のときに感じた私の漠然とした鬱屈とした想いは「茫洋」という創作物の中に書き入れているので、よろしければそちらをご覧いただければと思います。

 

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3つの記事に分けていますが、かなり短いです。

そして、そんな創作物の中で感じていたようなことを少し思い出しますが、その鬱屈した想いと、見事な秋晴れが綯い交ぜになって、得も言えない空虚な気分にさせられました。

昼食に訪れたところはとても混んでいて、1~2時間待ちではないかという感じだったので、諦めて近くの市場でお弁当を買って帰りました。お店にはちょっと悪いですが、予約を生かしたままにして、家でだらだらと昼飯を食べ、ゆっくりしていると、本当に2時間弱くらいの時間が経った後で電話がかかってきました。あまりにも繁盛しているからでしょう。もはやその電話連絡すら、自動音声システムが導入されていました。そのことに母はいたく感動したようで、「ね、すごい繁盛しているでしょ」とまるで自分の店かのように誇らしげです。

昼食後、私はとにかく集中して、村上春樹の短編集の感想記事を書き上げました。3時間くらいノンストップです。それでも思ったより時間がかかりました。

 

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翌日の午前中には東京での診療があるため、早く東京行の新幹線に乗らなければなりません。しかし、どうしても書き上げてしまいたかったので、何本か新幹線を見送ることになりました。おかげさまで、どうにかこうにか感想記事を書き上げ、急いで東京に戻る準備を始めます。

駅までは母が送ってくれました。もう大学生の頃からそうなのですが、実家を離れる時の私は本当に子どものようにナイーヴで、気持ちが滅入ってしまうのです。母は何とか元気づけようと色々な言葉をかけてくれるのですが、それらもちゃんと受け止めることができず、「うん」とか「まぁ」とか声が出せれば良い方で、ほとんど無視しながら外の景色を眺めていました。ごめんなさい。

「がんばりなさい」とか「楽しいこともあるわよ」とか、「みんな嫌々働いているけど、でもなんだかんだ言って、働くっていいものよ」とか「がんばって働いてお金をもらって、自分の好きなことをする」とかそういう言葉をかけてくれるのですが、実家を離れる時の私はもう本当にダメダメなんです。自分の創作物の中で結局は死んでしまう登場人物のように、生きることそのものに気力が持てないのです。でも、母に向かってそんなこと言えません。「楽しいことってなに?」、「好きなことってなに?」、「希望ってなに?」。「そんなことよりも、もう疲れたし、飽きたし、生きていても苦痛が続くだけ。なんでそんなわかり切っている未来のために生きていかなきゃいけないのか、ってことを言っているんだよ」。そんな言葉が喉元まで上がってきているので、私には黙っているよりほかないのです。

私の根本にはそういう自分がいますし、少なからず人間みんなそういう部分はあると思います。でも、下劣に自分に同情するのであれば、私はどうしてもそういう自分を抑え込めない時がたくさんあります。普通に楽しく暮らしているはずでも、ふと美しい夕焼けを見たり、静かな雨降りを眺めたりすると、そんな気持ちが脳裏を掠めます。そして、その残像のようなものが体に染み入り、目に見えるものすべてを美しく彩る代償に、「消えてしまいたい」という強い想いをもたらしてくるのです。そんな自分の弱さを宥めるために、私はたぶん愚にもつかない創作物を書いています。そういう自分をフィクショナルなものに置き換えていかないことには、とてもじゃないですけれど私は生きていくことができません。そんな風に私は思っています。そして、こんな適応障害なんてものに罹ってしまってから、そのことをよく考えるようになりました。生きることは苦しみと付き合っていくことで、そんな苦しみと唯一できる共同作業は「何かを書く」ということだけです。その等式を逆から読めば、「何かを書くために生きている」ということになるのでしょう。

自分が書くものが他者から評価されるとか、お金になるとか、そういうことではないのです。それは自己療養でしかないし、言わば排泄物みたいなものです。腸やら膀胱やらが破裂する前に、適切に排泄していかなければそれは致命傷になります。それはもはや持病のようなものでしょうし、そんなものを抱えて生きていくということにはもうウンザリなんですよね……

と、少し後ろ向きなことばかり書き連ねてしまいました。

もはや日記でもなんでもなくなりました。何を書いていたんでしたっけ? そうか、東京に戻るときの気分の滅入り様を説明したかったんですね。まぁ、とりあえずそんな気持ちを抱えながら、新幹線に私は乗っているわけです。

寮に戻ってからは、食堂で夕食を食べ、薬を飲んで、「ノルウェイの森」を最後まで読みました。色々と思うことはありましたが、もしそれを書くことがあるとすれば、それはきちんとした機会を設けましょう。ただ、一言だけ言うのであれば、やっぱり面白かったし、今の私が読むべき小説だったと思います。さて、次に読む小説は何にしましょう。それが問題です。

久しぶりに寮に戻って来たからか、神経が高ぶってなかなか寝付けませんでした。疲れているのに眠れないのは本当に辛いことです。それでも何とか1時過ぎには眠りにつくことができたようです。そう言えば、五十肩のあの湿布の匂いが懐かしく感じられました。あの匂いが私の眠りには良いみたいです。睡眠導入の合図になる何らかの「匂い」っていうのが必要なのかもしれませんね。アロマでも買ってみますかね。

 

3.適応障害と診断されて31日目~病院に行くまで~

今日は病院の診察。傷病手当金を貰うための書類に一筆頂いて来るという任務があります。これからもう1度書類を見直して自分が記入すべきところを埋めなくては。でも、その前にシャワーを浴びたい……と思ったら、いま別の人がシャワールームを使っているようです。仕方が無いので、書類を開く気にもなれない私はこうしてブログの記事を書いています。なんだか今日は既に疲れてしまいましたね。こんなんで本当に仕事に復帰できるんでしょうか???

不安もそうですが、なんか色々なものがどうでもよくなっていってしまいますね。またくだらない記事を書いてしまったという気がしますし。

視線を少し左に逸らすと、伊勢鈴蘭ちゃんが笑っています。まぁ、これだけでも寮に戻って来た甲斐があるか。

 

次回

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