霏々

音楽や小説など

ギター動画選(記録1)

誰とバンドを組むでもなく、1人でエレキギターを弾き始めて早7年かそこら。

未だに技術は初心者ですが、ギタリストはやっぱりカッコ良いなと思いますし、それなりに動画を観る機会も多いです。先日、後に紹介する弓木英梨乃さんの素敵な動画を観てから、「好きなギター動画でもまとめておくか」と思うようになり、今日は天気も多いのでようやく重い腰を上げて記事を書くことにしました。

というわけで、ただただ個人的な趣味に則って好きなギター動画のリンクを並べ、とちょっとした感想を書き連ねていきます。

 

 

弓木英梨乃・<BTS ”Dynamite”>

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うーん。何回聴いてもやっぱり良いですねぇ。

キリンジのギタリストとしても名を馳せている弓木さんですが、とにかくリズムとピッチの正確さがとんでもないです。ギターって結構安定した音を出すのが難しいんですが、これだけクリーンな音で気持ち良く聴かせるって本当に上手い人です。フレーズのバリエーションも豊かで、飽きさせることもありませんし、「言うことない」ってこういう感じですよね。

冒頭の「バイオリン奏法(ボリューム奏法)」から質の高さを感じます。カッティング、ミュートも超丁寧。1音1音が粒立っていて、聴いていて本当に心地良いです。42秒あたりの2~3弦を使ったハーモニクスなんか、「あんなに綺麗に音出せるんだ!」と個人的には結構ビックリです。

終始楽しそうに弾いている姿も素敵ですが、最後のサビからの歪ませてのギターソロでは一気にメーターを振り切って、トランスしている感じがカッコイイです。それでもブレない!ここがやっぱり弓木さんの素晴らしいところです。

 

Ichika Nito・<”lunar">

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私がいま1番好きなギタリスト、というかギター詩人的な存在であるIchikaさん。元々は「lunar」という曲名で動画を出していたのですが、いつの間にかそちらの動画は消えて、今は「When you're wandering around IKEA looking for the Exit but you're lost and accepted your fate」(IKEAで出口を探して彷徨っていたけど、道に迷って自らの運命を受け入れるしかない)という動画タイトルに変わっていました。

本楽曲についてはタッピングやメロディラインの美しさはもちろんのこと、途中で挟まれる「ツクツクツク」というミュートをしてのピッキングにグっと来ます。こんなに綺麗に差し込んでいるのは初めて観ました。

Ichikaさんの動画は1分未満のものが多く、しかしその短い時間の中に圧倒的な情景を詰め込んでいるので、まさに詩的なギターと言えるでしょう。そしてタッピングを主とした様々な超絶技巧。ただ上手いだけでなく、ギター1本で、しかも短時間で人の心を捉える世界を完結させてしまえる才能には脱帽です。

私がIchikaさんを知ったきっかけは、「i miss you」という自曲を題材にした「10 LEVEL OF GUITAR」という動画で、10段階に徐々にギター技術を上げていくという内容でした。Ichikaさんご本人の動画は消えているので、カバー動画のリンクを貼っておきます。

 

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こちらの方も非常に上手ですね。

後にIchikaさんも「Hard Version」ということで動画をアップロードしています。

 

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歪の強いギターを使っており、死ぬほどオリジナルバージョンを聴いていた私からするとまた一風変わっていて素敵です。そして、Ichikaさんは別の「10 LEVELS OF GUITAR」動画もアップロードしています。

 

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動画数が多くて申し訳ございませんが、最後にもう1曲だけ大好きな曲を。

 

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まぁ、1つひとつの動画が短いので問題はないでしょう。こちらの「Arpeggio」はもちろん曲名の通りアルペジオを駆使した楽曲になっているのですが、非常に切なく、繊細でセンチメンタルな情景が大好きです。最初に紹介した元「lunar」と合わせて繰り返し聴いております。

私はIchikaさんの繊細で切ない曲が好きですが、激しめの曲もいくつも作っていますし、変則チューニングを用いた楽曲もあります。また、伝説のギタリストであるCharさんともセッションを行っていたり、ベースで作った楽曲もあるので、できれば全てをオススメしたいところではあります。

…書いていたらもうあと1動画だけ、ベースの動画ですが紹介したくなりました。

 

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動画尺は短いので嫌にならないでください。こちらは変則チューニングかつベースの楽曲です。そして、カッコイイ。ということで、こんなこともできてしまうIchika Nitoさんでした。

 

田中義人、エジマハルシ(ポルカドットスティングレイ)<”Urtra Test Drive Session">

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ポルカドットスティングレイというバンドが好きで、そのギタリストであるエジマハルシさんからこの動画を見つけたのですが、田中義人さんの技巧に感銘を受けました。存じ上げなかったのですが、田中義人さんは名だたるJ-POPアーティスト(宇多田ヒカル秦基博YUKIなど)のレコーディングやアレンジに関わって来た方ということです。

セッション動画としての質も非常に高いですが、若手バンドギタリストであるエジマハルシさんのエッジが効いて勢いのある青いギターと、熟練の万能ギタリストである田中義人さんの確かな技術や感性、そしてフレーズの多用さなどが絡み合い、観ていて楽しい動画です。音作りからして2人の差異が見て取れ、世間的に「上手い!」とされている人たちの間でも、それぞれに個性やベクトルがあるのだなぁと思わされます。

感想としてはちょっと短くなってしまいますが、最近観たギター動画の中ではかなり印象に強く残っていて、ベースを嗜む父にも教えたりした素敵な動画でした。

 

Kyuhee Park・<Roland Dyens ”Fuoco">

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朴葵姫(パク・キュヒ)さんを知ったのは大学時代でした。そこから少しずつクラシックギターの興味を持つようになったのですが、そのお美しい外見はもちろん素敵なわけですが、柔らかくしなやかで力強い演奏が素敵な方です。

この動画は黒張りの広いスタジオの中で黒い衣装を着ている朴葵姫さんというその映像の質の高さが良いですね。クラシックギターと言うと、どうしてもコンサートホールでの映像のイメージが強いのですが、映像作品のために収録されているので、私みたいにあまりクラシックギターに馴染みのない方でも親しみやすさがあると思います。

楽曲はローラン・ディアンスさんという現代ギターの詩人(Ichika Nitoさんの時も同じようなことを言いましたね…)が作曲されており、ほかにも沢山の名曲を残しています。この「Fuoco(フォーコ)」という楽曲はイタリア語で「火」を意味し、ローラン・ディアンスさん自身が生死の境を彷徨ったときのことをイメージして作った楽曲らしいです。命の炎の揺らめきを感じます。最後は暖炉の木がぽきりと首を折るようにして終わり、ドラマチックな楽曲とも言えるでしょう。

ローラン・ディアンスさんは独特なメロディラインや構成の楽曲を多く作っていて、「Felicidade」や「Tango en Sky」なども有名曲です。特に「Tango en Sky」は日本の誇るクラシックギタリストである村治佳織さんの得意とする楽曲です。村治佳織さんの端正できりっとした演奏技術に非常にマッチしていて、「Tango en Sky」なら村治佳織さんのものが1番好きですね。

ちなみに私が朴葵姫さんを知ったきっかけとなる動画は「ソルの主題による変奏曲」という楽曲ですが、これもどうも公式動画っぽくないので、リンクを貼るのは控えさせていただきます。8分以上もある楽曲で、楽曲の世界観も好きな感じですし、途中ハーモニクスだけで弾いたり、左手だけで弾いたりするパートがあり、最後にはかなりの盛り上がりを見せる楽曲でもあるので、その楽曲構成もともに大好きで良く聴いています。

 

個人的な趣味編

ここからはもう個人的な趣味で好きな動画を紹介していきます。もちろん、これまでも個人的な趣味ではあったのですが、ここからはギタリストとして云々ということではなく、好きなバンドの好きなギタリストなどが関わっている好きな動画を貼っていく感じになります。

 

山田亮一・<Funk Discussion Brothers ”Devil’s manner Funkadelic">

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私の大好きな山田亮一さん。ハヌマーンバズマザーズといったバンドのギターボーカルとして活躍しており、そのとびっきりの作詞能力には魅了させられっぱなしです。でも、そんな山田亮一さん、ギターのテクニックも普通に素晴らしいです。

もう映像も録音状態もかなり質が悪いですが、若々しいエネルギーを感じますね。「こんばんわ。ファンク・ディスカッション・ブラザーズです」という挨拶からのスタートがとにかくカッコイイ! 10年以上も前の動画で2021年2月現在で24,000再生くらいの動画で、言ってしまえば「誰が見んねん」状態の動画とも言えますが、私はかなり再生回数に貢献していると思いますよ。彼これ何年にもわたって見続けていますからね。

Funk Discussion Brothers自体の活動はこの映像くらいのものだと認識しておりますが、ほかにも何曲かあるので、ぜひ聞いてみていただきたいです。特に「B loved」はおすすめです。スローテンポの演奏に合わせて、やや吃音症気味の山田亮一さんが「B型の女って、タルいわ~」的な詩を朗読するという山田亮一好きには堪らない楽曲となっております。何気なくて見落としてしまいますが「ラ・理想」という言葉が出て来て、「あぁ、『理想』って女性名詞なんだな」としたり顔で頷いた経験がありますね。「グラハム・ベルの発明と孫正義の企業努力によって、自分はまさに今、不条理な睡眠妨害に被られる深夜3時」という歌詞は好き過ぎて、何度も反芻していました。

って、ギターの話からずれてしまいましたね。

ちなみにAmazonで音源を買うこともできますが、決して録音状態が良いとは言えないので、本当に好きになったら買ってみていただきたいです。

 

TK・<凛として時雨 ”傍観">

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まぁ、当然大好きな凛として時雨も紹介することになります。

凛として時雨自体なかなかライブ映像を公開しないバンドではありましたが、先日の配信ライブ映像を15周年記念の「#4 -Retorunadio-」の付属Blu-rayディスクに収録してくれました。さすがにその動画は仮に無断投稿されていてもリンクを貼るわけにはいきません。

というわけで、2015年にロンドンで行われた撮影OKのライブ映像のリンクを貼らせていただきます。

TKのギターはもはやメロディやフレーズというところを通り越して「音」ですね。もうこのハウリングとノイズ、そしてめちゃくちゃに弾き倒すのが伝統芸能。ファーストアルバムである「#4」に収録されている「傍観」ですが、そこから多くのライブの最後の楽曲として披露されてきました。凛として時雨はアンコールをしないバンドですが、その理由の1つには、この「傍観」という楽曲の存在が大きいでしょう。

だいたいのライブ構成は、序盤から淡々と楽曲を演奏しまくり、だいたい途中でドラムのピエール中野さんプレゼンツのお楽しみタイム(昔はコール&レスポンスとかやっていましたが、最近はドラムソロが多いのかな?)が入ります。そしてまた淡々と楽曲を演奏しまくって、最後にベースの345さんによるボソボソ声のグッズ紹介でほんわかとして、最後の追い込みをかけるという流れになります。そして、最後にはこの「傍観」が披露されて、ぐわーっとなり、もう後には何も残らないよね?的な感じで去っていきます。

時代によって様々なアレンジパターンがありますが、どれも轟音のギターが鳴り響くことには変わりません。そして、この5年前の映像くらいから数か月前の配信ライブまでは、絶叫のちギターソロ、ギター投げで終わっていると思います。

ライブハウスで聴くとこの5倍は凄いです。「音が旨い」ってこういう感じです。何度聴いても圧倒されますね。

 

照井順政・<sora tob sakana「広告の街」>

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さっきから動画の撮影状況としてはアレな感じものですが、こういうものの方がギターの生々しい感じが出て好きなのかもしれません。と、記事を書いていて思いました。

こちらはsora tob sakanaというアイドル(2020年9月解散)の「広告の街」という楽曲になります。ギターを弾いているのが、プロデューサーで作詞・作曲のほとんどを担当する照井さんになります。ちなみに、ベースを弾いているのはお兄さんです。プロデューサーでありながら、自分もハイスイノナサというマスロックバンドをやっています。sora tob sakanaもマスロックやプログレの要素を取り入れたアイドルグループで、この動画を観てわかる通り、ポップでありながらも非常に前衛的な楽曲をやっています。

特にこの「広告の街」はギターが素晴らしく難しいです。が、sora tob sakana自体バンドセットでのライブも節目でやっており、解散ライブでは4時間もバンドセットライブを行っていました。そして、実際にライブでもさらっとこのギターを弾いているんですよね。ほんと惚れます。

 

長岡亮介・<ペトロールズ "FUEL">

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ここまでなかなか変わり種をご紹介してきたので、最後くらいちゃんとしたものをご紹介して終わりましょう。

本当にこの頃の頂フェスの動画を観ると青春って感じがしますね。カーテンを閉め切った部屋の中で、1人で泥酔しているような青春だったのですが(笑)。

この動画に関してはもはや説明不要ですね。長岡亮介浮雲)さんと言えば、もう説明不要のスーパーギタリストです。紅白歌合戦なんか一体何回出てるんだって話ですしね。だいたい最近は椎名林檎さんと星野源さんのバンドで1年に2回くらい紅白出場を果たしています。

長岡亮介さんみたいになりたくて、シンプルで無造作な格好をしようと思っても、ただのもさい田舎っぺになってしまうのは、あるあるですね。

 

最期に…

ギター上手くなりたいですね。

でも、漫然とただ好き勝手に弾いているだけじゃ、全然上手くなりません。

やっぱり観る専門というのが良さそうですね。