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音楽や小説など

Juice=Juice グループの歴史 vol.2 ~マインドとスキルが充実したグループに~

ご無沙汰しております。Juice=Juiceというグループについて書く時間がやってきました。前回から数えておよそ3年ぶりになりました。前回記事を書いたタイミングでは続編を書くという簡単な未来さえ予見できていなかったので、記事タイトルは無印になりましたが、今回は「vol.2」ということでやらせていただきたいと思います。

 

前回

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Juice=Juiceというグループの結成から、2019年1月段階…すなわち初代リーダーの宮崎由加ちゃんと、梁川奈々美ちゃんの卒業発表があり、まだ実際に卒業はしていないという微妙な時期までを記事にまとめました。

ハロプロ研修生発のエリート集団として個性やグループとしての軸を模索していくデビューから「LIVE MISSION 220」までを初期、「~220」を経て「実力派」としての軸が固まり拡大していく5人体制の時期を中期、そしてやなるる・まなかんが加入した辺りを当時の「現在」としてご紹介致しました。記事を書いた時期はJuice=Juiceから初の卒業者が出るという繊細な時期で、私自身結構微妙な心境だったようです。何と言っても、これまでグループをまとめて来た「お母さん」ポジションのゆかにゃ(宮崎由加ちゃん)と、グループの「末っ子」でお母さんに溺愛されているやなみん(梁川奈々美ちゃん)が卒業しようという頃ですからね。不安と悲しさでいっぱいでした。

が、見事そんな苦難も乗り越え、今や世代交代に成功しつつあるこれまた「どうなるかわからない」面白い時期に差し掛かってきました。どうも私はこういう微妙なタイミングでグループについて考えたくなる性分のようです。というわけで、行ってみましょう!

 

 

【ひとそれ期(新生)】 ~卒業と新人と良曲による変革~

勝手に「ひとそれ期」という名前をつけましたが、この命名にはいくらか私自身納得いっていない部分があります。が、あくまで前回記事のように「初期」とかそういう言葉がもう使えなくなってしまったから苦肉の策で命名しているとお考えください。と、いきなり言い訳から入りましたが、やなみん卒業あたり~佳林ちゃん卒業発表あたりの時期と思っていただければと思います。楽曲で言えば、ちょうど「微炭酸」、「ひとそれ(「『ひとりで生きられそう』って それってねえ、褒めているの?」の略)、「好きって言ってよ」の山崎あおいさん関係の質の高い楽曲が続いた時期でもありますね。というわけで、その中でも最も世間に大きなインパクトを与えた「ひとそれ」の名前を取らせていただきました。

この時期は何と言っても、上述の通り、やなみんとゆかにゃの卒業が控えており、「微炭酸」と同時にやなみんの卒業曲である「Good bye & Good luck!」が発売され、「ひとそれ」と同時にゆかにゃの卒業曲である「25歳永遠説」が発売されました。というわけでかなりメモリアルな楽曲たちがあり、またお2人の卒業もかなり感動的なものではあったわけですが、それと同等にJuice=Juiceの楽曲テイストが変化した時期でもありました。

やなみんとゆかにゃの卒業については、個別に記事にしているので、こちらをご参照いただければと思います。

 

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やなみんはその独特な魅力でJ=Jに陰影を齎し、またゆかにゃからの可愛がられポジションで卒業加入のあるグループとしての旨味をいち早くJ=Jに齎してくれました。ゆかにゃは言うまでもなくJ=Jのリーダーとして数々の素晴らしい功績を残してくれました。「ファンを大切にすること」、「いつの時代のJ=Jも最高だと思うこと」はゆかにゃがいたからこそ、ここまで説得力を持っていると私は思っています。今でのそれらの考え方は後輩たちに受け継がれ、私がJ=Jを変わらずに好きでいられる理由にもなっています。

J=Jにとってはこの2人が初めての卒業者であり、卒業発表時点よりそこには「いなくなった後どうなってしまうのだろう」という一種の緊張感がありました。

しかしながら、不思議と振り返ってみるとこの時期はただ悲しみ一辺倒ではなく、どこか期待感も感じさせてくれていたように思うのです。そして、その立役者となったのはまなかんこと稲場愛香ちゃんと山崎あおいさんだと私は感じています。

卒業による変化と重なるようにして、まなかんが齎した(と思われる)「微炭酸」というキャッチーで激しめの楽曲がしんみりとした雰囲気を吹き飛ばしました。私が思うにこの「微炭酸」という楽曲は、まなかんの強みである激しいダンスを活かすために投入された楽曲ではなかったでしょうか。ここまでビートに迫力やスピード感のあるJ-POPに振り切ったのは「微炭酸」が初でした。エレクトロな要素をふんだんに詰め込み、4つ打ちと8ビートを駆使している本楽曲は、それまでのJ=Jを追って来た人からするとちょっとびっくりしたと思います。

それまでのJ=Jは「Next is you!」を除けば、こういったシンプルなJ-POP的楽曲は少なく、色んな音楽ジャンルに挑戦していくという面白味がありました。それはやなるる(梁川奈々美ちゃんと段原瑠々ちゃん)が加入した後も、「Fiesta! Fiesta!」や「SEXY SXY」などで体現されていたように思います。なので、正直私はこの「微炭酸」が発表されたとき、「んー、J=J、どうしちゃったの?」と思ってしまいました。「普通のJ-POPやっちゃったら、そこら辺のアイドルと変わんないじゃん」というのが本音でしたね。「きっと、まなかんのダンスを活かしつつ、舞台「タイムリピート」から引っ張って、佳林ちゃん(宮本佳林)とまなかんのタッグを見せたかったんだろうな」なんて邪推もしたりしました。

しかし、それは私の評価が甘かったのです。実はこの時、J=Jはとんでもない金脈を発掘していたのです。そして、それを思い知らされることになったのが「ひとそれ」です。正直に言って私は「ひとそれ」の時すら、そこまでこのJ=Jの方針に全面肯定できてはいませんでした。やっぱりどうしても初期の頃から紡いできた「様々なジャンルの楽曲に対応する」という音楽エリートとしてのJ=J像が抜けず、「微炭酸」も「ひとそれ」も良曲であることは理解しながらも、「もっとね、色々できる娘たちなのよ」と思わずにはいられなかったわけです。

が、世間はこの「ひとそれ」を放っておいてはくれなかったようです。

有名どころで言うと、テレビ朝日の弘中アナウンサーが「ひとそれ」新規ですが、メンバー自身も「ひとそれ新規の方が多い」と言うくらい、この楽曲は多くの人に突き刺さりました。それまでどちらかと言えば、「年配の方が多い」という印象を持たれていたJ=Jに女性ファンが増えだしたタイミングだとも記憶しています。シンプルでわかりやすいJ-POP的な楽曲、そして現代の女性心理を描いた山崎あおいさんの歌詞、これらが特に女性にウケて、ハロプロ界隈では一種のムーブメントのようなものが起こっていたように思います。

それを如実に表しているのが、ハロプロ楽曲大賞での1位獲得です。この年はBEYOOOOONDSのデビューもあり、正直なところ良曲の多かったBEYOOOOONDSは票が割れたとの意見もありますが、「ひとそれ」も全然負けず劣らずのクオリティだったとは思います。世に与えたインパクトも大きかったです。ちなみにJ=Jが楽曲大賞で1位を獲得したのは、デビュー当初の「ロマンスの途中」と「イジワルしないで抱きしめてよ」以来でした。

やなみんやゆかにゃの卒業というちょっと寂しいイベントがありながらも、この時期のJ=Jは全く別のベクトルにおいて新たな可能性を感じさせてくれました。グループとして初の卒業というタイミングで、こういう前向きな風が吹いてくれたのは非常に運が良かったと思いますし、ようやくJ=Jの素晴らしさが色んなところに届いてくれてヲタクの私も嬉しかったです。

ちなみに「微炭酸」と「ひとそれ」については楽曲レビューも行っていますので、よろしければ。

 

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そして長くなりますが、この「ひとそれ」祭りの後、ゆかにゃの卒業と入れ代わるような感じで工藤由愛ちゃんと松永里愛ちゃんがハロプロ研修からJ=Jへの加入が決まりました。この2人、2019年5月の研修生公開実力診断テストで「ダンス賞」と「ベストパフォーマンス賞」を受賞しており、それから1か月後にはJ=Jへの加入が発表されているんです。私はあまりハロプロ研修生を追っていないので、「へぇ、そんな子がいたんだ」というくらいだったのですが、加入を本人たちに知らせる動画では早くも個性的な反応を見せる2人が見られてわくわくしたのを覚えています。

 

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鳴り物入りでの加入という噂は聞いていたので、さっそくステージが楽しみだったのですが、ひとまずは「ひとそれ New Vocal Ver.」で披露された歌声を聴いて、「加入約半年でこれなら相当いいぞ!」と思わせてくれました。そして、何と言っても国立代々木競技場第一体育館で開催された「octpic!」というコンサート。私これが大好きでして。ちなみにJ=Jのコンサートでは5人時代に達成された初武道館の「LIVE MISSION FINAL」も感動的でしたし、個人的には2018年の「TRAIANGROOOVE」も大好きです。

そして、この「octopic!」で松永里愛ちゃんを推すことに決めました。新人なのに物怖じせず、ステージを目一杯楽しむ大物感にまずは魅せられました。かれこれ2年以上経ちますが、里愛ちゃんを追い続けて2年間全く退屈しませんでしたし、この2年での変貌っぷりには驚かされるものがあります。と、ちょっと個人的な話が続きましたね。戻します。

が、とりあえずこの「octopic!」は結構評判も良いようで、ここで披露された「プラトニック・プラネット」や「Va-Va-Voom」といった新曲はなかなかシングルカットされなかったものの良曲で、今やJ=Jのライブでは欠かせない楽曲となっています。ともかくこの大きな会場でのライブは新人・新曲・新体制(金澤朋子リーダー)という新しい事づくめだったわけですが、成功どころか新境地をヲタクたちに予感させた非常に重要なライブになったと思います。まさに変革が始まったという印象がありました。

ここまでが「ひとそれ期」としてまとめさせていただきたい内容になります。本当は「好きって言ってよ」までまとめると「山崎あおい3部作」として収まりが良いのでしょうが、どうしても活動の内容を振り返るとここで一旦区切った方が良さそうです。というわけで、「ひとそれ期」はグループとして初の卒業から始まったものの、新風「まなかん」をきっかけとしたJ-POP的な素晴らしい楽曲たちに引っ張られ、大型新人の加入、大きな会場でのライブ成功などポイントポイントで強い印象を残した期間でありました。まさに新時代の到来を思わせつつ、エリート集団のJ=Jにさらなる箔がついたワクワクの止まらない時期でしたね!

 

【シャボンディ期(修行)】 ~苦難と希望~

国立代々木競技場第一体育館でのコンサート「octopic!」を成功させ、これからの未来に大きな期待を抱かせてくれたJ=Jでしたが、ここから苦難が待ち受けております。世界的に新型コロナウイルスが大流行し、コンサートが相次いで中止。また、中心メンバーの卒業が重なり、グループとしては大きな危機が訪れることとなりました。この時期について何か良い言葉はないかと数時間悩み続けた結果、漫画ワンピースより「2年後に!シャボンディ諸島で!」という言葉がふと浮かび、そのまま使わせていただくことにしました(あんまりワンピースは詳しくないんですが笑)。

だいぶ血迷っている感がありますが、コロナに卒業とちょっと悲しい感じの名前にしたくなくて、前向きな意味での修業期間としてふさわしい名前を探した結果、これにしてみました。別に「精神と時の部屋」期でも「自来也と行脚」期でも何でもよかったんですが、それでも一番語呂が良さそうだったので…

まず苦難の一つ目としては、これまでグループの中心(と言っても過言でない)で活躍し続けてきた宮本佳林ちゃんの卒業発表です。「octpic!」の数か月前にはグループで活動しながらも東名阪のソロツアーを行っていた佳林ちゃん。そこでの輝きには素晴らしいものがありましたが、ある意味ではこのソロツアーがグループの卒業とソロアイドルとしての活動開始の試金石のようなものになっていたのでしょうね。

 

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ライブレポートも書かせていただきました。もしよろしければ参考にしていただければと思います。

正直佳林ちゃんの卒業は、個人的にはJ=Jの核がいなくなってしまうというイメージが強かったです。というのも、グループ結成当初から佳林ちゃんは他のメンバーに比べて既にネームバリューがあったのは事実でしょうし、ハロプロ研修生歴も長く、「アイドルとはこういうもの」を周囲のメンバーに浸透させる役割を担っていたようにも思います。この時のJ=Jは既に歌割も結構流動的にしていましたし、「誰がどのパートを歌っても素晴らしいよね」というのは1つのグループの売りにもなっていました。が、そうは言っても、最もアイドルらしく、高い質でパフォーマンスをしていたのは宮本佳林ちゃんだったように私は思っています。高橋愛さん、田中れいなさん、鈴木愛理ちゃん、鞘師里保ちゃん…そういったいわゆるセンター的な扱いを受けて来た人たちに近いものを佳林ちゃんは確立していたように思います(まぁ、私は佳林ちゃん推しなので、幾分かそういうバイアスも働いているとお考え下さい…)。

そんなわけで「佳林ちゃんがいなくなったらどうなるんだろう…?」という不安がありつつも、「でも『octopic!』は素晴らしかったし、J=Jならきっと大丈夫だろう!むしろ佳林ちゃんがという大きな存在がいなくなった後にグループがどうなっていくのか楽しみにしよう!」という前向きな気持ちもありました。当時の気持ちは佳林ちゃん卒業発表の記事に書いているので、よろしければ読んでください。

 

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そして、少しずつコロナの影が色を濃くしだし、世界全体が不安を抱える中で山崎あおいさん3部作の3作目「好きって言ってよ」が発表されます。この「好きって言ってよ」はハロプロ楽曲の中でもトップレベルで好きな曲になりました。

そして、この山崎あおいさん3部作の意味について、ようやく私は理解できたのです。楽曲のレビューでも書かせていただきましたが、この王道J-POP的な楽曲たちは、実はスキルを磨きまくったJ=Jにとってはその良さを存分に発揮するのに最も適していたわけです。誰が歌っても「上手い!」と思わせてくれて、誰が画面に抜かれても「可愛い!美しい!」と思わせてくれるJ=Jのような高品質グループにとっては、もはや初期の頃のような特別な楽曲コンセプトは必要なかったのですね。むしろ王道の楽曲であることが、J=Jにとっては他のアイドルやアーティストとの差別化をするには最も効果的だったのです。

 

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楽曲としてのクオリティもさることながら、やはりこの楽曲を完璧に表現しきるJ=Jメンバーに私は改めて惚れ直しました。

ところで、とっても正直なことを言うと、私はそれなりに音楽が好きなのですが、基本的にはアイドル楽曲とそれ以外の楽曲を結構区別して聴いています。そして、そのアイドル楽曲の中でもハロプロ楽曲はまた少し区別した位置に置いています。なぜならハロプロ楽曲は独特の音楽性を持っているため、例えばtoeの「Commit Ballad」を聴いた後に、℃-uteの「まっさらブルージーンズ」が流れてきたら困ってしまうわけです。そんなわけで、ハロプロ楽曲は私が普段聴いているプレイリストの中に組み込まれることはほぼありません。

が、そんなハロプロ楽曲にあってこの「好きって言ってよ」は普段聴きしている個人的に重要視しているプレイリストにも入り込んでくるほど好きなんですよね。特に「アイドル楽曲選抜」の中にも、最後の曲として入れさせていただいているほどです。

 

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と、そんな感じでJ=Jは楽曲・パフォーマンスともに質を高めていきます。しかしながら、その一方で新型コロナウイルスの猛威はハンパじゃなく、ハロプロ関連のコンサートもついに中止せざるを得ない事態にまで追い込まれてしましました。新メンバーとして即戦力として元こぶしファクトリー井上玲音ちゃんも入って来たのに、J=Jとして活動ができないまま月日が過ぎ去っていきます。そんな中で「好きって言ってよ」と同CDに収録された「ポップミュージック」は、BEYOOOOONDSの「ビタミンME」と並んで、コロナ禍に元気を与えた楽曲として、救われた人も多いのではないのでしょうか。

 

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2020年度は何も見通しが立たず、6月に予定されていた佳林ちゃんの卒業コンサートも延期となってしまいます。が、ここでハロプロは何とか活路を見出すべく、往年の名曲をカバーするコンサートを始動させます。感染防止を図るために、声援が起きないようにどちらかと言えばしっとりと聴かせるバラードを中心に、ハロプロ楽曲ではなく、誰もが知っている名曲をメンバーにカバーさせます。しかも、1人歌唱です。グループも一旦その垣根を取り払い、それぞれのグループのファンが参加しやすいように、ハロプロメンバー全体を3つほどのチームに分けて公演を組みました。当然、感染対策も万全です。その感染対策の万全さと工夫されたコンサートの内容はニュースにも取り上げられたほどで、ハロプロが基本的にメンバーの真摯なパフォーマンスやその成長を楽しむコンテンツであることが功を奏しました。

 

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ほぼ同時期にはスカパーで「ソロフェス!」という企画も行われ、こちらも感染対策として1人ずつのパフォーマンスだったのですが、観客なしで1人ひとりがセルフプロデュースでハロプロ楽曲を披露するというかなり攻めた内容でした。が、メンバー個人の発想力や、ある意味ではかくし芸大会的なノリもあり、閉塞感漂うコロナ禍にあってとても刺激や元気を貰った企画でしたね。

これらの個々人のパフォーマンス力が求められる企画はその後も一定期間続けられ、まさにこのことがワンピースの「シャボンディ諸島に2年後集結するまでの修業期間」という感じがしたわけです。

そんな活動の中でJ=Jは目立たなくとも、バラバラになった中で1つの個性を見せつけることになりました。それはシンプルなパフォーマンス力の高さです。企画力の高さや自己プロデュース力という面では、他のグループのメンバーが目を惹くところもあったと思います。特にソロフェスでは娘。の石田亜佑美ちゃんや、アンジュルム川村文乃ちゃんがみんなの印象には残っているんじゃないでしょうか。一方でJ=Jのメンバーはあまり凝った演出を入れることなく、シンプルに歌って踊るようなステージが多かったと思います(工藤由愛ちゃんはタコをステージに散りばめていたりしましたが笑)。特にソロフェスでもカバーコンサートでも、金澤朋子ちゃんの歌唱力は異次元で、度肝を抜かれましたね。段原瑠々ちゃんや井上玲音ちゃんもその歌唱力で注目されたように思います。

そういったソロでステージに立つ機会の中で、メンバーは着実に力をつけていました。そして、それを思い知らせることになったのが、2020年12月にようやく開催された宮本佳林ちゃんの卒業コンサートでした。

 

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ソロステージ系の企画ではもともと歌唱力に定評のあった金朋、さゆきちゃん、るるちゃん、れいれいに注目していましたが、このコンサートでは主にまなかんや里愛ちゃんの成長に目を惹かれましたね。1年近くグループでパフォーマンスする姿をちゃんと見られていなかったので、久しぶりに見られたということも含め、「やっぱりJ=Jって素晴らしいグループだ!」と思わせてくれました。中でも卒業する佳林ちゃんとメンバー1人ひとりがデュエットしていくという演出はーまろ卒コンの時から好きですがーソロ企画で鍛えてきたものを1人ひとりから感じられてとても感動しましたね。中でも里愛ちゃんの「背伸び」は度肝を抜かれました。

佳林ちゃんも無事有終の美を飾り、そこからの活動ではまなかんが佳林ちゃんパートを引き継ぐことが多くなりつつ、パート割も変化していく中で、J=Jはまた少しずつ新しく進化していくんだなという予感を感じさせてくれていました。が、そんなときにさゆきちゃんが熱愛とコロナ禍の外出という報道をされて、ほぼ即日活動終了という事態になってしまいました。

 

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このことについてはあまり小難しいことは言いたくないので当時私が書いた記事を参照していただければと思います。

アイドルとして核を担っていた佳林ちゃんと、歌唱面で絶大な信頼が置かれていたさゆきちゃん。この2人の卒業はそれまでのJ=Jを大きく変えることになりました。ゆかにゃが卒業してからも、どこかオリジナルメンバーがあってのJ=Jという印象があったものの、この盟友2人の連続卒業によってもはやJ=JはそれまでのJ=Jではなくなりました。パフォーマンスレベルという面でも危機感があったのは事実でしょう。

しかしながら、ここで素晴らしいことが起こります。佳林ちゃんパートを多く引き継いだことによるまなかんと、ようやくJ=Jでのパフォーマンスに慣れ出したれいれいの覚醒です。この他グループからの移籍組の2人のパフォーマンスレベルが如実に向上したことでJ=Jは全く以って新しい構造を持つグループに生まれ変わりました。

 

ここまでを「シャボンディ期」としてみます。コロナと主要メンバーの卒業によって一時は危機にさらされたJ=Jでしたが、追加メンバーの活躍によってこの危機を難なく脱します。そのためにはソロステージ系企画を乗り越える中で得られたメンバーの成長が不可欠でした。図らずも新陳代謝によって、全く新しいグループへと変化していく、できればこのまま成長を見守っていきたいと思わせてくれる時期でした。

そして、更なる新メンバーの追加により、グループの構造自体が変化していく…その前夜的なところで一旦の区切りとしたいと思います。

 

【シティポップ期(転生)】 ~個性の尊重こそがコンセプト~

さて、ここからがまた面白くなってきたJ=Jです。オリジナルメンバーの残りが金朋とあーりーの2人だけになりました。そして、それとともに新メンバー3人が加入することになります。有澤一華ちゃん、入江里咲ちゃん、江端姫咲ちゃんです。3人のキャラクターはまだ私自身見極めかねている部分がありますが、ざっくり一面で語ると天然・素人・美形という感じになりましょうか。我ながらかなり乱暴な紹介ですね(笑)

しかし、ここで私が興味を惹かれているのがメンバーの層構造なのです。

 

1.オリメン(金朋、あーりー)

2.お姉さんチーム(まなかん、るるちゃん、れいれい)

3.ゆめりあい(ゆめちゃん、里愛ちゃん)

4.3flower(一華ちゃん、里咲ちゃん、姫咲ちゃん)

 

これ、結構究極のバランスな気がしています。今まではどうしてもJ=Jというとメインはオリジナルメンバーで、追加メンバーは腕や脚や羽といったイメージがあったように思います。しかしながら、今は良い塩梅でオリメンの担う部分が小さくなり、その分グループの親和度が増して、混ざりが良くなった印象があります。素晴らしいミルフィーユ構造です。

この記事を書いている2022年2月現在では金朋は卒業しているものの、3flower(新人3人)がよりグループに馴染み出して、より良い調和が生まれています。パフォーマンスの面で言えば、少しだけ3flowerの3人には失礼になりますが、金朋卒コンのオリメン・お姉さんチーム・ゆめりあいの完成度がかなり高く、私的にはどストライクでした。これから3flowerも実力をつけてくれるでしょうから、そうなると未来が楽しみでなりません。現にちょっと前まで新人だったゆめりあいも今では完全にグループの重要な位置を占めているわけですしね。

このゆめりあいの成長がJ=Jというグループを底上げしていることは間違いないですが、それ以上に私は「2.お姉さんチーム」にとてつもない美しさを感じております。

まずパフォーマンスの面で言えば、前章でもお話した通り、まなかんが元々の武器だったダンスに加えて、歌唱力がとんでもなく上昇したことが1つ挙げられます。重要なパートを諸先輩方から引き継ぎ、フェイクなども素晴らしい完成度で披露しています。ただでさえ、踊って良し、喋って良し、ビジュアル良しで最強だったまなかんが、歌っても最高!ということになり、ちょっとした無双モードに入った感があります。

そして、パフォーマンスと言えば、れいれいのJ=J的歌唱の習得なども挙げられるかもしれません。正直なところ、佳林ちゃん卒コン頃のれいれいは歌が上手いものの、何となくJ=Jの楽曲を歌いにくそうにしている感が見受けられたようにも思います。こぶしファクトリーとは真逆と言っても良いようなグループの雰囲気があるJ=Jなので「そりゃそうだ」と思うわけですが、それがここ最近はかなりJ=Jの楽曲でも伸び伸び歌えているような印象です。

るるちゃんは相変わらず凄い!そしてまなかんもかなり良くなってる!…って、れいれいもなんかすごい良いじゃん!なお姉さんチームが素敵過ぎるんですよね。そして、そんなお姉さんチーム3人はまた経歴が3人とも異なっているのがまたとても素敵なんです。

るるちゃんはハロプロ研修生からのデビューで苦戦した過去を持ち、れいれいはこぶしファクトリーの解散に伴い、唯一ハロプロに残ってくれた子です。そして、まなかんは中でも随一の複雑な過去を持ち、その複雑さから決して良いとは言えない噂も流れたりしていました。しかしながら、みんなそういった過去を何とか克服して、今こうしてJ=Jというグループで素晴らしい活躍を見せています。そんな本人たちの頑張りと、実力でねじ伏せて来た感じが堪らなくカッコいいんです。特徴的な経験をしてきた3人だからこそわかり合えているような雰囲気もあって、それが尊いですよね。

しかし、実はこれって初代リーダーの宮崎由加ちゃんの頃からのマインドセットの成果だと思うんです。ずっと5人グループでいくと思っていたJ=Jに追加メンバーが加入すると決まったとき、「いつの時代のJ=Jも最高と思ってもらえるように」と気持ちを広く、暖かく持とうと努力した過去がこのグループにはあります。当時J=Jはオリメン5人の完成度の高さを評価されており、そこに新人としてるるちゃん、そして兼任メンバーとしてやなみんが追加加入すると決まったときは、きっとオリメン5人だけでなく、追加メンバーの2人も相当なプレッシャーがあったと思います。しかしながら、オリメン5人はゆかにゃを筆頭に、そういった不安を抱かせないようにしようと努めて温かい対応をしていました。これって、新メンバーにとってはとてもありがいことだったんじゃないかと思います。

そして、そういう経験をしてきたグループだからこそ、まなかんが復活する時にJ=Jというグループが選ばれたのだと思います。加えて、そのようにして別グループとして復帰したまなかんが上手くやっているまなかんがいたからこそ、れいれいもJ=Jに加入することになったのでしょう。これって組織としてとても素晴らしい循環だと思うんです。どんな経歴だろうと、どんな人物だろうと、真摯にアイドルやパフォーマンスに向き合おうという気持ちさえあれば、J=Jというグループは温かく迎え入れる。その哲学はきっとお姉さんチームには強く引き継がれたことでしょうし、だからこそJ=Jはハロプロの中でも随一の大人で温かい雰囲気に包まれたグループになったのだと思います。

こんな素敵な人間性や組織哲学を持ったグループなら私だって入りたいくらいです(笑)

J=Jは比較的個性が爆発している…という風には見られないグループだと私は認識しています。個性が爆発していると言えば真っ先にアンジュルム、娘。などもそういう感じがしますね。しかしながら、個性や人格を尊重し、温かい気持ちで互いを認め合えるという部分ではJ=Jは随一のグループなんじゃないでしょうか。それがグループの雰囲気の良さにも繋がっていると思います。そして、基本的にはメンバー全員がパフォーマンスに対して真摯に向き合っており、ある意味ではそれがグループの強いコンセプトとして浸透している気がします。オリメンから続く、このパフォーマンスに対しての向き合い方があるからこそ、そこさえ押さえていれば誰でもJ=Jのメンバーとして認められる。そんな信頼関係がとても素敵ですよね!

そして、遅ればせながら今現在を含むこの時代を「シティポップ期」とした理由は、わかりやすく「DOWN TOWN」や「プラスティック・ラブ」といったシティポップの名曲をカバーしているからですね。確かにシティポップがまた流行り出しているという時代的な背景がありますが、それをきちんと歌いこなせるJ=Jがいるからこそ、こういった企画も通せるのでしょう。シティポップのちょっと気怠く大人っぽくて、どこか心がじんわりと温まるような雰囲気は、ここまで話して来たJ=Jのグループ像と親和性が高いように思います。

 

【まとめ】

・ひとそれ期:王道J-POPで新規ファンを獲得しながら、メンバーの卒業を乗り切る。

・シャボンディ期:新型コロナや中心メンバーの卒業を耐え忍び、スキルを磨く。

・シティポップ期:役割が横並びになり、個性の混ざりが良くなる。

 

特に今回の記事を書くにあたっては、最後のシティポップ期(2022年2月現在)のJ=Jが本当に好きだということが挙げられます。というのも、少し私の個人的なことが絡むのですが、私は前の職場で体調を崩してしまって、直属の上司ともどうしても上手く付き合うことができず、別の部署に異動させてもらったんですよね。なので、どうしても違うグループから移籍してきたまなかんやれいれいには思い入れが生まれてしまうんです。そして、そんな2人が今のJ=Jで後輩たちを引っ張っていくような立場になり、実力もどんどん磨いてファンからも認められているという現状がまるで自分のことのように嬉しいのです。

しかし、そういう風になれたのは、もちろん本人たちの頑張りも多分にあったと思うのですが、それと同じくらい大事なのがグループの雰囲気だと思うんです。特定のメンバーを持ち上げて他を下げるという意味には取らないでいただきたいのですが、この点で言えば私の中では宮崎由加ちゃんと宮本佳林ちゃんの功績がとても大きいように思っています。

ゆかにゃは初めて新メンバーが加入するとなったとき、誰よりも先に強い気持ちで新メンバー加入を歓迎しました。そこには自分自身がJ=J結成当初に色々と引け目のようなものを感じていた過去があったからかもしれません。研修生にして「ハロプロの最終兵器」と呼ばれていた佳林ちゃんと同じグループ、しかもほかにも有望な研修生がいる中で、まだまだパフォーマンスに自信がない自分が選ばれたということ。そして、実際に歌唱パートが増えるまでにはそれなりの年月がかかりました。最初のうちは自分の居場所を見つけるのに苦労したのではないかと思います。そして、そんな自分がグループのリーダーをしている、という事実も結構大変だったんではないでしょうか。そういう過去があるからこそ、追加メンバーなんて考えられなかった当時の5人体制に入って来る新メンバーに対してとても優しい気持ちになれたのだと思います。そして、そのようなメンバーを包み込むような深い愛情はJ=Jメンバー全員から感じるものになっています。

佳林ちゃんは5人時代から、とにかくパフォーマンスに大きな価値を置いて活動していました。パフォーマンスを通じてファンと信頼関係を築きたいという考え方は今でもJ=Jのコンセプトになっているように思います。このような明確なコンセプトがあるからこそ、経歴などに関係なく、とにかくパフォーマンスに対して真摯であればOK!という雰囲気が醸成できていったように思います。ハロヲタは基本的に優しいですが、中でもJ=Jヲタは特に平和な雰囲気があるように思っています。まなかんが加入する時も割と純粋に「ダンスの上手なまなかんが入って来たら、より最高じゃん!」となったように思いますし、れいれいが加入する時も「よっしゃ!れいれい取ったぞ!」という感じが強かったですよね。これにはるるちゃん加入の経験が大きく影響しているように思います。「Fiesta!Fiesta!」でるるちゃんが情熱を解き放った瞬間に「加入してくれてよかった!」と強く実感した過去があるからこそ、純粋に戦力の増強がJ=Jファミリーにとっては嬉しいことになりました。なので、ちょっと現金だなぁという感じもあるかもしれませんが、実力診断テストで結果を残したゆめりあいが加入した時もとても喜んでいた気がします。

直近で加入した3flowerは、バイオリンや英語や天然キャラといった飛び道具を持つ一華ちゃん、一般から加入して来て結成当時のゆかあーりーのような感じを彷彿とさせる里咲ちゃん、そしてとびっきり可愛い顔面と天真爛漫な感じのある姫咲ちゃん、という単純なパフォーマンススキルだけでは選ばれていないであろう人選でした。しかし、このような人選ができるほど、オリメン・お姉さんチーム・ゆめりあいのスキルが完成されているという現状があるのです。そしてそんな高品質な先輩たちに囲まれて、個性溢れた3人がどのように成長していくのか、それが楽しみで仕方ありません。

誰でも受け入れるという温かい雰囲気、そして確かなパフォーマンス力があるからこそ、J=Jは安心して応援できるグループですし、とても癒されるのです。

繰り返しますが、こんな組織ってほんと素敵だと思います。マインドとスキルの充実。これが充実しているって素晴らしいです。

これからのJ=Jにも期待ですね!