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音楽や小説など

「Juice=Juice コンサート2020 ~続いていくSTORY~ 宮本佳林卒業スぺシャル」ライブレポート

2020年12月10日(木)、Juice=Juice(以下、J=J)の宮本佳林ちゃんの卒業コンサート「Juice=Juice コンサート2020 ~続いていくSTORY~ 宮本佳林卒業スペシャル」に参戦してきました。

 

どこから書き始めれば良いかわかりませんが、ともかく今日感じたことをここに記録として残しておきたいと思います。

 

 

セットリスト

1:「ひとりで生きられそう」って それってねぇ、褒めているの?

2:好きって言ってよ

3:プラトニック・プラネット

◇:MC1

4:風に吹かれて

5:禁断少女

6:愛・愛・傘

7:銀色のテレパシー

8:如雨露

◇:MC2

9:伊達じゃないよ うちの人生は with 井上玲音

10:アレコレしたい! with 工藤由愛

11:背伸び with 松永里愛

12:Vivid Midnight with 稲場愛香

13:SEXY SEXY with 段原瑠々

14:スクランブル with 植村あかり

15:ラストキッス with 高木紗友希

16:香水 with 金澤朋子

17:大人の事情 with 金澤朋子高木紗友希植村あかり

◇:MC3

18:CHOICE & CHANCE ※井上玲音 ボイスパーカッション

19:ポップミュージック

20:この世は捨てたもんじゃない

21:未来のフィラメント(新曲:宮本佳林ソロ曲)

22:がんばれないよ(新曲:Juice=Juice曲 ※宮本佳林以外)

◇:MC4

23:微炭酸

24:私が言う前に抱きしめなきゃね

25:ロマンスの途中

26:生まれたてのBaby Love

27:泣いていいよ

◇:アンコール/VTR(宮本佳林の歴史)

28:続いていくSTORY(Symphonic Version) ※曲中、宮本佳林MC

◇:MC5 ※現メンバーから宮本佳林へ(リーダーが代表して)

◇:MC6 ※宮本佳林も加わって

29:Magic of Love

30:Wonderful World

◇:退場挨拶

◇:アンコール挨拶

 

9人体制でのパフォーマンス&コロナ禍でのステージング

新メンバーとして加入した井上玲音ちゃん(れいれい)も加えて9人体制でのパフォーマンスとなりました。極端にれいれいの歌割が少ないということもなく、要所要所でれいれいのソロパートも見られたので、この日のためだけに新しい歌割を組んだんだなぁと思うと感慨深いものがあります。コロナの影響で佳林ちゃんの卒業が延期したからこそ生み出された今回のステージです。

新人2人(工藤由愛、松永里愛)のソロパートも増えたような印象があり、ずっと見ることのできなかった2人の成長も今回のコンサートの見所だったんじゃないでしょうか。久しぶりのがっつりとしたJ=J単独コンサートでのパフォーマンスになったわけですが、ベテランや若手に関係なく、1人ひとりが自分のソロパートできちんと魅力を出し切っている様は「さすがJ=Jだな」という感じでした。

また、コロナの影響を受け、ステージの形がいつもと異なっていましたね。アリーナの中央に大ステージがあり、東西南北に4つの短い花道が伸び、その先に小ステージがあるという構成でした。パフォーマー同士のソーシャルディスタンスを確保するための工夫です。基本的には大ステージ上に円形にメンバーが配置し、それが時計回りに回りながら、時々小ステージにまでメンバーが出て来るという感じのステージング。大ステージ上で横並びや背中合わせといったフォーメーションもありましたね。複雑なフォーメーションダンスによる表現は見られませんでしたが、メンバーが順繰りに自分の近くにやって来るので、これはこれでファンとしては嬉しいものがあったと思います。特に、1人ひとりのパフォーマンスレベルが高く、それぞれに個性を楽しむことのできるJ=Jにとっては、なかなかフィットしたステージングフォーマットだったのではないでしょうか。私は2階席でしたが、目の前のスクリーン(スクリーンは東西南北4方向にそれぞれ設置されていました)と、肉眼、そして双眼鏡と色々な形でメンバーを観ることができ、非常に楽しかったです。ヲタクの声援がないのが、ちょっと残念でしたけどね(笑)。

ちなみに、今回のコロナ対策は、時間別入場、検温とアルコール消毒、それから入場者数制限でした。両隣が空席でした。夏にハロコン@大阪に参加したときは、感染者追跡メールサイトへの登録が必要でしたが、今回は各々が追跡アプリをダウンロードしている前提だったので、その手間がない分だけかなり楽に会場入りすることができたように思います。開演ぎりぎりはトイレが非常に混んでいたので、早めに入場して早めにトイレに行っておいたのは、個人でできる感染対策としてはかなり効果的だったように思います。ただ、隣の人がずっと具合悪そうだったので、それだけが少し気掛かりですが(笑)。めちゃくちゃ眠そうで、「3日寝てないんじゃないか」というくらいでしたし、途中に何度かトイレに席を立っていたように思います。独り言も言っていましたし、現在適応障害で休職中の私が言うのもなんですが、思わず「大丈夫ですか?」と声をかけてあげたくなったほどです。「細かすぎて伝わらないモノマネ選手権」の加古川良太さんの「大丈夫ですか?と声を掛けたくなる死にかけのサラリーマン」というネタを思い出しました(笑)。

 

宮本佳林クオリティ

J=Jは全員のパフォーマンススキルが高いグループですが、今回のコンサートでの佳林ちゃんのクオリティはちょっと他のメンバーとは次元が違ったように思います。いえ、もちろん皆の歌が上手いことは間違いありませんし、それぞれのソロパートでそれぞれの持ち味や良さというものを遺憾なく発揮していました。「最高到達点」という意味では、1人ひとりができ得る最大限の素晴らしい表現をしている姿を観ることができました。

しかし、佳林ちゃんについて言えば、本当にあり得ないくらいの安定感があったように思います。何と言うか、マイクへの声の乗り方が異常でした。映像化されたときにどれくらいその部分の差が明確になるのかは不明ですが、現場で聴いている限りは嘘偽り無しで、「1人だけCD音源流してない!?」くらいのレベルでした。例えば、声を張り上げるところでは、皆マイクに声が乗り、それぞれの個性溢れる歌声で会場を響かせていましたが、そこに至るまでの静かに歌うところでは、ややインストの音源に声が負けてしまうようなところも見られました。それを「表現の強弱」と捉えればそうなのですけれど、佳林ちゃんに至っては、静かに歌うところですら音源に歌声がかき消されていなかったのです。他のメンバーのファンの方から怒られてしまいそうですが、御幣を恐れず言うのであれば、ステージパフォーマーとしてのレベルが1人だけ図抜けているのを感じてしまいました。

パフォーマンスを点数で表現するのもどうかと思いますが、ソロパートにしろユニゾンにしろ、佳林ちゃん以外が60点~120点を出す中で、佳林ちゃんだけは常に90点以上を出し続けるみたいな感じです。チートです。

和食で喩えるのもどうかと思いますが、佳林ちゃんは魚沼産コシヒカリの白飯です。焼き魚、煮物、漬物、吸い物、色々な味を楽しんだ後で必ず戻って来て、味覚をぎゅっと締めてくれ、確実な満足感を与えてくれるのです。

これがグループを支え続けてきたエースにしてセンター(反論、異論は認めます)の責務とでも言うかのようでした。J=Jは本当に素敵な個性を持ったレベルの高いメンバーしかいませんが、それでも佳林ちゃんがいるからこそ、グループとしての質が高く維持されていたのだと思わされました。それくらい今日は圧巻のパフォーマンスでした。これまで私は「J=Jは佳林ちゃんがいなくなっても大丈夫なグループになった」と考えていましたが、ほんの少しだけそれを撤回したくなってしまいました。J=Jメンバーに対してはとても失礼なことはわかっているのですが、それくらい佳林ちゃんが凄かった!ということで…何とか納得していただければと思います。

でも、「すぐに!」とまではいかなくても、絶対にJ=Jなら佳林ちゃん無しでもやっていけます。それは確信しています。だって、今日の公演中で、鳥肌が立たなかったメンバーが1人もいないんですもん。「まじで!?こんな歌えんの!?」の連続でした。それはベテランも若手も、です。由愛ちゃんや里愛ちゃんの成長に驚くのはもちろんですけれど、最年長の金朋ですら想像以上の歌の上手さでした。ですから、これからは皆で宮本佳林クオリティを超えていく未来が楽しみで仕方ありません。既に瞬間瞬間では宮本佳林を超えるクオリティを出すことのできるメンバーばかりなんですから、絶対にできないなんてことはあり得ません!

と、そんな感じで、卒業コンサートにして改めて宮本佳林というパフォーマーの化け物っぷりを感じたというお話でした。

 

宮本佳林の真骨頂&コンサートコンセプト

今回のコンサートに対して、個人的な副題をつけるとすれば宮本佳林とJuice=Juice」とでもなりそうです。まぁ、佳林ちゃんの卒業コンサートなんですから、当たり前と言えば当たり前なんですけど。

しかしながら、まずセットリストがまさに「宮本佳林仕様」と言えませんか?

9~17曲目までは「佳林ちゃんとメンバーが代わる々わるデュエットしていく」という「まろ式(福田花音ちゃんの卒コンでもやられていたので…)」が採用されているので、ここは言わずもがなですが、特に5~8曲目の辺りを見ると、実に佳林ちゃんらしい楽曲が並んでいます。

佳林ちゃんと言えば、80年代アイドルのテイストがあり、抜群の透明感と繊細さ、そして童謡的な可愛さがあります。特に7曲目の「銀色のテレパシー」なんて、J=J楽曲の中ではまさに宮本佳林ありきの楽曲という印象が皆の中にはあるんじゃないでしょうか。そう考えると、6曲目「愛・愛・傘」や8曲目「如雨露」などもどちらかと言えば佳林ちゃんテイストを炸裂させやすい楽曲だと思います。それに準ずる形で、5曲目「禁断少女」なんかもやっぱり佳林ちゃんがいてこそ!という部分もありますよね。ちょっと飛びますが20曲目「この世は捨てたもんじゃない」もそうですし、実質的には最後の30曲目「Wonderful World」も佳林ちゃんがいるJ=Jだからこそ、ここまでの輝きを持つ楽曲になったという印象が私にはあります。

少し話が変わりますが、昨日「ソロフェス」のBlu-rayが届き、ずっとそれを観ていたのですが、佳林ちゃんはアンジュルムの「学級委員長」を歌っていました。選曲理由については、「ハロプロにいるうちだからこそ、こういう少女らしい楽曲を歌える。そういう意味では、歌い納めみたいなものですね」と言っていました。佳林ちゃんにとっては今日の卒業コンサート全体が「歌い納め」みたいなものと言えるでしょうけれど、何となく上にあげた佳林ちゃんテイストが強く出る楽曲群は、ある意味ではJ=J側にとっての「歌い納め」のように感じられなくもありません。もちろん、佳林ちゃんが卒業してからも歌い続けていかれるであろう名曲ぞろいですけれど、それでも佳林ちゃんという圧倒的な正解があった上で、佳林ちゃん抜きでそれらの楽曲を歌うことは結構ハードルの高いことなんじゃないかと思います。何度も言いますけれど、これは佳林ちゃん以外のメンバーを否定しているわけではなく、単に「この楽曲と言えば宮本佳林!」みたいなイメージが強いものが、今回の卒業コンサートでは多く披露されたということです。

と、結局のところ私が何を言いたかったかというと、「佳林ちゃんってJ=Jの中核的存在だったけど、結構特異な存在だったよね」ということです。佳林ちゃんの古き良き王道アイドル感というのは、意外と他のメンバーでは代えの効かない部分があるように思います。またまた語弊を恐れず言いますが、「ひとそれ」とか「微炭酸」とかって、極端な話をすれば佳林ちゃんがいなくても、現在のJ=Jメンバーでいくらでもカバーできると思うんですよね。でも、「銀色のテレパシー」はなかなかそうもいかないんじゃないか、と私は思うわけです。

佳林ちゃんが卒業してしまうことは、J=Jというグループの人材面で苦しい部分もありますが、楽曲リソースとしても若干苦しい部分が出て来るんじゃないかということにようやく気がつきました。ま、もちろん佳林ちゃんが抜けても、きっとより素晴らしい形にして歌い継いでいくことはできるんでしょうけれど。だって、宮崎由加ちゃんが卒業しても「Vivid Midnight」は歌い継いでいかれていますし、梁川奈々美ちゃんが卒業しても「SEXY SEXY」は歌い継がれています。J=Jはメンバーそれぞれに得意分野があるので、それぞれの楽曲にメンバー個人の色が染みつくパターンが多いように思いますが、それを克服してきた歴史があることも確かです。そういう意味では、一見「これ佳林ちゃんが抜けたらどうやって歌い継いでいくんだ?」と思えるような楽曲も、また新しいJ=Jとして歌われることが楽しみになってきますよね!

 

デュエット・メドレーについて

9~16曲目までは卒業する宮本佳林ちゃんと1人ひとりがデュエットしていく形でのパフォーマンスになりました。加入が新しい順でのデュエットになったわけですが、ここはちょっと丁寧に感想を書いていきたいと思います。

まず、9曲目「伊達~」ですが、こちらはコロナさえなければ一緒に活動することのなかった井上玲音ちゃんとのデュエットになります。「伊達~」も佳林ちゃん色の強い楽曲ではありますが、それをれいれいと歌うことで何となく「あとは頼んだぞ!」という佳林ちゃんかられいれいへのメッセージのようなものを感じました。れいれいの歌唱力も十分に引き出せる楽曲ですし、今後のれいれいのJ=Jでの活動の中で特別な楽曲になってくれたら嬉しいですね。

次に10曲目の「アレコレしたい!」ですが、こちらはまだまだ新人にあたる工藤由愛ちゃんと。工藤由愛ちゃんのいつでも全力投球で若々しいエネルギーが、初期のJ=Jの一生懸命さと重なりますね。このまま由愛ちゃん(タコちゃん)が、これまでJ=Jが辿ってきた歴史のようにすくすくと育っていってくれたら、という願いを感じました。何よりも佳林ちゃんがタコちゃんの、その溢れんばかりのパワーを引き出してあげている様にぐっと来ましたね。

そして11曲目の「背伸び」。こちらも新人の松永里愛ちゃんと。里愛ちゃんは器用に何でもこなせて、大人びた落ち着きのあるパフォーマンスができる印象です。でも、器用だからこそ、「もっとできるでしょ!」と思ってしまうような子でもありますよね。根はあっけらかんとした明るい元気少女なんですけどね。そんな里愛ちゃんですが、最近は色々な本を読んだりして本当に大人びたところも出てきたということで、まさに「背伸び」という楽曲がマッチするようなお年頃。佳林ちゃんはその抜群の安定感や表現力で里愛ちゃんの潜在能力をどこまでも引き出してあげているように見えました。楽曲中では、これまで観たことのないほど力強く歌い上げる里愛ちゃんが輝いていたように思います。

12曲目の「Vivid Midnight」は、稲場愛香ちゃんと。前半はまなかんのストロングポイントであるダンスを2人で踊り、存分に魅力を引き出してあげていました。この「Vivid Midnight」という楽曲はリズムが跳ねるようで、ダンスの得意なまなかん向きの楽曲でありながら、元リーダーの宮崎由加ちゃんのような甘い歌声が似合う楽曲でもあります。ということは、若干雰囲気は違うものの、まなかんの甘い歌声にも合わないわけがない! ぜひとも「あざとい」という部分でも宮崎由加ちゃんの良いところを継承して欲しいね、というメッセージを私は感じました。

13曲目の「SEXY SEXY」は、段原瑠々ちゃんと。るーちゃんと言えば情熱的な歌声が持ち味で、それを引き出すことができる楽曲でもありますが、それ以上に「SEXY SEXY」では繊細な表現も重要になってきます。静かに情感を込めて歌うのも得意になりつつあるるーちゃんには、さらに大人らしい繊細な表現を求めたとも取れます。ですが、それ以上に私が個人的に思うのは、「SEXY SEXY」は既に卒業してしまった梁川奈々美ちゃんを中心に据えた楽曲だったということです。るーちゃんとやなみんはJ=Jに一緒に加入してきた2人です。佳林ちゃんは、そんな2人と最後にまた一緒にパフォーマンスをしたかったのかな、なんてことを思ったり。

14曲目は「スクランブル」を、植村あかりちゃんと。ここからはオリジナルメンバーとのデュエットになり、少しだけ佳林ちゃんも肩の力を抜いて、戦友との最後のステージを楽しむような感じになったように思います。曲初めにはあーりーの方から「同い年コンビ行くよ~! クラップ!」と掛け声が入り、とにかく今この時を最大限に楽しもうという気持ちが伝わってきました。伸びやかに歌い上げるのはもちろんですが、多少ピッチがぶれても気にしない。楽曲の世界観と相まって、そんな爽やかな空気が会場を包み込みました。

15曲目は「ラストキッス」を、高木紗友希ちゃんと。先ほどの「スクランブル」と合わせてファーストアルバムの特典CD「The Cover Juice」からの選曲になりますが、これはCD音源の段階からさゆべえと佳林ちゃんのデュエット曲となっていました。ステージの中央で互いに背中を預け合う姿は、まさに「戦友」という感じ。デビュー当時からこの2人の歌声がJ=Jの土台を作り上げてきました。確信はありませんが、おそらくは音源と同じパート分けで、特にサビのクロスするところなんかは、その歌い方も含め当時のJ=Jを思い起こさせました。「パフォーマンスのJ=J」として身を為そうとしていた、あの苦しくも熱い青春の時代ですね。

16曲目の「香水」は、金澤朋子ちゃんと。メロディパートの多くを佳林ちゃんが担当していたように思います。金朋はどちらかと言うと、合いの手にあたるようなパートを引き受け、卒業していく宮本佳林を引き立てようとしているというのが感じられました。年上の同期として、リーダーとして、これまでエースとしてJ=Jを引っ張って来た宮本佳林に対する最大の「はなむけ」。でも、最後のサビは金朋が担当し、「これからのJ=Jは任せて」というメッセージ性を感じました。とても感動的なステージでしたね。

そして、メドレーのラスト17曲目は「大人の事情」を、金朋・さゆべえ・あーりー・佳林のオリジナルメンバーで。ゆかにゃこそいませんでしたが、めちゃくちゃ感動的なシーンです。テレビドラマ「武道館」で演じた「NEXT YOU」としての楽曲になりますが、やはりこの楽曲だけはオリジナルメンバーでしか歌い得ないのかなぁ、と思ってしまいます。まさにJ=Jとしても武道館を目指していたあの時間軸の中で生まれたこの楽曲は、きっとメンバーだけでなく、ファンにとってもとても大事な楽曲になっていると思います。そして、それでいてやはり「大人の事情」と言えば、宮本佳林の楽曲という感じもあると思います。「宮本佳林 ぐにゅに」で検索すればわかると思いますので、気になる方はぜひ。

MCでは佳林ちゃんとそれぞれのメンバーで話し合って楽曲を決めたと言っておりましたが、本当に色々な意味合いのあるデュエットだったと思います。とにかくめちゃくちゃぐっと来たステージでした。

 

ちょっと未来のJuice=Juiceと宮本佳林

18曲目「CHOICE & CHANCE」では間奏にて井上玲音ちゃんのボイスパーカッションが披露されました。この演出がめちゃくちゃカッコ良くて、会場もかなり盛り上がっていたように思います(声援が送れないにもかかわらず、あの瞬間は音にならない歓声が上がっていたに決まっています)。なるほど、れいれいを手に入れるってこういうことでもあるんだなぁ、ともう未来しか感じませんでしたね。この大舞台でもしっかりと、即戦力として活躍してくれたれいれいには頭が下がるばかりです。

 

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佳林ちゃんの新しいソロ曲である「未来のフィラメント」も披露されました。iTunesでも既にダウンロードできますのでぜひ。作詞は盟友の児玉雨子先生が担当されており、佳林ちゃんのデビュー前から本当にお世話になっております。「コピンク*」として活動していたデビュー前と比較すると、佳林ちゃんも本当に大人になったなぁと感慨深い想いです。

「コピンク*」というプロジェクトは何となく「キラキラした宇宙」のイメージがあり、そこに宮本佳林が持つ「儚さ」や「透明感」といったものが付与され、1つの確固たる世界観を作り上げていたように思います。今ではそれぞれにコンセプトを持った様々なアイドルグループが活動していますが、ある意味この「コピンク*」というアイドルもまたそういった固有の世界観を持つ存在だったように思います。デビューに向けて頑張る佳林ちゃんを児玉雨子さんなりに解釈し、「夢を追う少女」というのがその土台にありましたが、詩世界における主人公の佳林ちゃんは「独り」だったように思います。夢に期待を膨らませ、その澄み渡る少女の心の様相を描くような感じと言えばいいでしょうか。なので、「仲間と一緒に夢を追いかける」というようなニュアンスはあまりなかったように思います。

対して、今回の新曲「未来のフィラメント」では、「キラキラした宇宙」や「儚さ」や「透明感」、そして「夢を追う少女」というニュアンスを含みながらも、どこか佳林ちゃん以外の「仲間」や「大切な人」の存在を感じさせる楽曲になっています。J=Jとして仲間とともにデビューし、後輩まで得た佳林ちゃんがグループでの活動を終えて、またソロとして頑張っていく。そこには「別離」の寂しさもありますが、それ以上に私なんかは「絆」を感じてとても感動してしまいますね。ソロからグループ、そしてまたソロへ。そんな螺旋ではあるわけですけれど、その螺旋の中で確かに佳林ちゃんは1つの「仲間」というものを獲得し、「1人ではあるけど、独りではない」みたいな。

今後の活動の中として、「海外の自然あふれる環境で暮らし、感受性を高める」ということが当初掲げられていました。「未来のフィラメント」の歌詞、そしてMVもそれらを意識した作りになっておりますので、そういう風に楽しむこともできると思います。佳林ちゃんファンには必見の1曲ですね。

 

そして、佳林ちゃんが卒業した後の8人体制での新曲となる「がんばれないよ」。壮大なバラードで、ドラムを中心として後半のオケの盛り上がり方がハンパない良曲です。るーちゃんの落ちサビや、れいれいのフェイクなど、これからのJ=Jを感じさせてくれるパート割にもなっています。

ただ、苦言を呈するように聞こえてしまうかもしれませんが、「これが佳林ちゃんのいないJ=Jの形か」と思ってしまうような部分もあります。佳林ちゃんの持つ王道アイドルの風格は、スーパーパフォーマンス集団というところに1つのオリジナリティ溢れる個性を与えてくれていたように思います。こういうバラード曲でこそ、佳林ちゃんが1人いるだけで、きっとそこには「アイドルのキラキラ感」みたいなものが発露していたはずなんですよね。改めて佳林ちゃんがいなくなることで訪れる変化がどういったものなのかを感じさせてもくれました。

念のため言っておきますが、これは別に後ろ向きなことを言っているわけではなく、ただ単純に「J=Jとしての形が変わる」ということなんだと思います。どのメンバーも歌心があり、それぞれに個性があるので、きっとまた新しい魅力はすぐに見つかると思います。現に、佳林ちゃんがいないからこそ、逆に「アイドル性」を超越したパフォーマンスとも捉えることができる部分もありますよね。これからJ=Jがどんな風になっていくのか、とても楽しみになる1曲だったように思います。

でも、佳林ちゃんの遺伝子も絶やさないで受け継いでいってくれたら嬉しいです。佳林ちゃんほどの王道アイドルらしさを表現できるようになってほしい、というのではありません。何度も佳林ちゃんが言っていた「パフォーマンスで信頼関係を築く」ということだけでも、今後に繋いでいっていただけたら嬉しい限りです。

 

卒業の言葉

ドレス姿の佳林ちゃんは、言うなれば本当に花嫁さんみたいな感じで、本当にキラキラとしていました。実の娘が結婚する心境ってこんな感じなんだろうなぁと思ってしまいます。またこの王道のドレスがどこまでも様になってしまうことが、佳林ちゃんのJ=Jとしてのアイドル人生の成功・結実を意味しているように感じさせられますね。

 

「続いていくSTORY」の曲中で卒業の言葉を述べる、という形が何よりも佳林ちゃんらしいなと思いました。事あるごとに「自分は口下手だから、パフォーマンスでしか伝えられない」と言い続けてきたパフォーマンスが大好きな佳林ちゃんだからこその演出だと思います。それでも、「今日くらいは…」とちゃんと言葉で感謝の気持ちを伝えてくれたことは、ファンとしてもとても嬉しかったです。というか、感謝するのはこっちなんですけどね。

アンコール中のVTRで新グループ結成時のインタビュー映像が流れていましたが、もうこれは私の中では伝説のインタビューですね。研修生という身分の自分を応援し続けてくれたファンの方々へやっと恩返しができる、と泣きじゃくっていた佳林ちゃん。インタビューの中では、私たちの新グループが活動を成功させることで、次の研修生たちにも希望を作ると宣言し、それを実行してきた佳林ちゃん。私たちが感謝することこそあれ、佳林ちゃんの方から感謝されるなんてとんでもない、という気持ちになってしまいます。

金朋からの言葉では、佳林ちゃんが「ライブが好きだから、ちゃんとライブを以って卒業したい」と言っていたことが明かされました。本当にパフォーマンスに対して一途な人だと感じ、とても感動させられました。

 

と、そんな感じでせっかく会場が湿っぽい雰囲気になりました。が、着替えを済ませた佳林ちゃんが再びステージに戻って来るわけですが、何故か腰が低く、コミカルな感じに。会場が笑いに包まれ、一気にぱっと明るい雰囲気に。「これからの私とJ=Jをよろしくね」と元気に呼びかける姿はとても健気で、本当に素敵なアイドルだなぁと思わされました。続く「Magic of Love」では、それまで涙を堪えていたメンバーも全員が精一杯の笑顔でパフォーマンスをしていたので、佳林ちゃんの人の気持ちを動かす力の強さを改めて感じました。当然、ファンも皆笑顔になっていたことと思います。少なくとも、私はとても笑顔にしてもらいました。

ラストの「Wonderful World」では、本当に幸福な気持ちにさせてくれました。改めて歌詞をしっかり聴いていると、この楽曲には卒業する佳林ちゃんの様々な想いが込められているように感じられました。まさにパフォーマンスを通して、佳林ちゃんのJ=Jとしての最後の言葉を聴いているような気持ちになりました。何と言うか、「ありがとう」以外の言葉が見つかりませんでしたね。

お疲れさまでしたという想いもありますが、何よりもまずは「ありがとう!」とお伝えしたいです。

 

個人評

井上玲音ちゃんから。

れいれいは新しいグループに入って、きっと覚えることがたくさんあってとても大変だったと思いますが、そこはさすがにこれまでのこぶしファクトリーでの経験を生かして、しっかりと自分の色も出しながらJ=Jとしてパフォーマンスをしておりました。特技のボイスパーカッションを披露する機会もあったり、重要なパートを任されたり、周囲からの期待が大きいことも感じられたステージでした。おそらくはこぶしファクトリーの時とはちょっと発声の仕方が違う部分もあると思うので、これから少しずつよりJ=Jの歌声に馴染んでいくのかなぁと思います。とは言え、せっかくこぶしファクトリーで積み上げたものもあるわけですから、個性を失うことなく、これからも新しい環境で頑張ってほしいです。J=Jをよろしくお願いします。

 

次は松永里愛ちゃん。

本当に里愛ちゃんからは大器の予感を感じますね。まだ中学生とは思えないステージングでした。特に「背伸び」での佳林ちゃんとのデュエットでは、今の全力の里愛ちゃんが観られて、鳥肌が立ちました。きっとまだ里愛ちゃん自身、自分のポテンシャルを最大限に発揮することが、常にはできない成長段階なんでしょう。今回、佳林ちゃんに引き出された「全力」をこれからのステージでも見せてくれることを期待しております(偉そうで申し訳ありませんが)。そして、おそらく誰よりも佳林ちゃんのために泣いてくれましたね。俯いてショートボブの髪で顔を隠している姿がとても印象的でした。そのピュアさも大切にこれからも頑張ってください。

 

次は工藤由愛ちゃん。

誰よりも全力で踊る姿にまずは目を惹かれます。歌声も力強く、大事なパートを任される場面も増えてきたように思います。きっととても緊張することだとは思いますが、タコちゃんの敵はこの世界には1人もいないと思うので、伸び伸びとパフォーマンスして欲しいと思います。里愛ちゃんと並んでパフォーマンスしているときはリラックスしているような雰囲気もありました。これからも同期は大切に、そして先輩にももっともっと頼りながら健やかに成長していってくれればと思います。ともすれば、大人過ぎるJ=Jメンバーを持ち前の元気で刺激して、佳林ちゃんの後継者として「アイドルJ=J」を作り上げていってくれると期待しております。

 

次は段原瑠々ちゃん。

るーちゃんには特に何も言うことはありません。いつも通り、素晴らしい歌声と飛びっきりの笑顔、そしてキレのあるダンスで会場全体を魅了してくれました。MCでもその持ち前の妹感で、ファンだけでなくメンバーでさえもメロメロにしてしまうのも魅力の1つですよね。これからのJ=Jの中核を担う存在だと思いますので、ぜひともるーちゃんの色でJ=Jを染め上げてください。どんなJ=Jになるのか、とても楽しみにしています。もっと言えば、ハロプロ全体をも引っ張っていって欲しいです。ハロプロの希望です。

 

次は稲場愛香ちゃん。

本当に申し訳ないんですけど、1番双眼鏡で長いこと見てしまったのがまなかんだったように思います。もうね、なんか可愛いのはもちろんなんですけど、可愛すぎて色気さえだだ洩れているんですよ。まぁ、それもこれもひとえにダンスが魅力的だからと言えるでしょう(と、自分には言い聞かせています)。一挙手一投足が魅力的で、1度まなかんに焦点を当てるとしばらく逸らせなくなってしまうんですよね。動くまなかん、最強でした。さて、変態から脱して、パフォーマンスについてもちょっと話しますが、まなかんはダンスだけでなく、もはやJ=Jには欠かせない歌唱メンです。ゆかにゃを彷彿させる甘い歌声は今ではJ=Jに必要不可欠なフックとなっています。そして、フェイクまで担当する場面があったり、本当に歌を頑張ったんだなぁというのが伝わって来て、泣いてしまいそうになります。

 

次は植村あかりちゃん。

何て言うか、あーりーを観ていると「そんなに楽しそうにしてくれてありがとう!」と毎回思ってしまいます。個人的にはJ=J結成当初のあーりーはパフォーマンスに対して不安も大きかったのかなぁと思っているので、そんなあーりーが練習を積み重ねて、今ではライブを心底楽しんでいる姿を見るととても嬉しくなってしまいます。あーりーの強みは、透き通ってはいるけれど力強い歌声、そして女性らしいしなやかなダンスだと思いますので、それはJ=Jのパフォーマンスの1つの強みとしてさらに発揮していってほしいと思います。ハロプロ屈指の特殊技能とも言える気がするので、その魅力がより磨かれていくことを切に願っております。でも、やっぱりただただ楽しそうにパフォーマンスするあーりーが1番素敵です。

 

次は高木紗友希ちゃん。

泣いて歌えなくなる場面もあったさゆべえ。でも、佳林ちゃんがあまりにもあっけらかんとしているので、それにつられてすぐに笑顔になっていましたね。そこにさゆべえのピュアな心根が見られて、素敵な人だよなぁと改めて思いました。佳林ちゃんの背中を任せられるのはさゆべえしかいませんでしたし、逆にさゆべえの背中を任せられるのも佳林ちゃんしかいなかったのかと思うと、今後の活動の中で寂しさを感じる場面も出て来るのかと思います。でも、なんと言っても高木紗友希と言えば「歌」ですからね。これからもその圧倒的な「歌」で、アイドル界全体を震撼させ続けてください。そして、会場に足を運んだファンをその「歌」の虜に。今回の卒業コンサートのように「自分のため」だけでなく、「他人のため」に歌うさゆべえは本当に素敵でした。佳林ちゃんのために歌っていること、ちゃんと伝わってきましたよ!(私の思い違いでなければ!)

 

そして、最後は金澤朋子ちゃん。

よくJ=Jの「お父さん」と例えられますが、本当にいつもJ=Jの大黒柱として頑張ってくれてありがとうございます。今回の卒業コンサートでも、メンバーを代表してメッセージを伝えるなど(しかも手紙=カンペ無しで)、本当に頼りになる存在です。唯一無二の歌声で、J=Jブランドを確立している金朋。はっきり言って、宮本佳林なき今、金朋の歌声のもとにJ=Jというグループを打ち立てるべきだとさえ思いますけれど、年齢的なものや立場など、総合的に考えるとなかなか難しいかもしれませんね。でも、私は金朋がJ=Jのエースとして、そのグループコンセプトの体現者となる世界線もとても見てみたかったです。そして、デュエットの「香水」は、金朋にしかできない最高のはなむけだったと思います。佳林ちゃんが卒業した今、金朋が中心となって作り上げていく新しいJ=Jをとても楽しみにしています。同時に、自分の将来も大切にしてくださいね。今回のコンサートとは全く関係ないですけど、またソロコンサートをしてくださることを密かに楽しみにしております。

 

宮本佳林ちゃんについては既に語り尽くしているので、ここでは一言。

あんたは最高のアイドルだったよ、J=Jをありがとう!

 

最後に…

卒業メッセージの辺りではだいぶ涙腺が緩くなってしまいましたが、佳林ちゃんがステージに出て来ると自然と会場全体が笑顔になっていたように思います。そういう意味では天性のアイドルだったなぁと。そして、涙腺よりも感情を直接揺さぶって来るステージングは圧巻でした。最後まで、アイドル、そしてパフォーマー宮本佳林をJ=Jというパッケージで見せつけてくれました。

いつだったか「なんで宮本佳林モー娘。に加入させなかったんだ」というTwitter上でのヲタクの不条理な問いに、つんく♂さんは「だってJ=Jが組めなくなるやん」と返していたと思います。当時は「だよねぇ。つんく♂さすが」くらいにしか思っていませんでしたが、改めて思うのは「宮本佳林なしではJ=Jは出来上がらなかった」ということです。

デビュー前から「ハロプロの最終兵器」、「アイドルサイボーグ」なんて言われ方をしてきた佳林ちゃんですが、もうそうやって呼ぶことができなくなると思うと、ちょっと寂しい感じもありますね。単純なスキルや個性では、色々な魅力を楽しむことができるハロー!プロジェクトという一大組織の中でも、確かに佳林ちゃんは「最終兵器」で「アイドルサイボーグ」だったと思います。でも、そういう風に皆が思っていたのは、必ずしもパフォーマンスの出来の問題だけでなく、アイドルというものとの向き合い方に痺れさせられたからだと思います。アイドルというか、もはや「人生」そのものですね。佳林ちゃんの「人生」に私たちは魅了されてきました。

そして、その「人生」はJ=Jというグループを生み、作り上げたように思います。佳林ちゃんだけのおかげではないですけれど、それでもJ=Jというグループの魂は間違いなく佳林ちゃんの「パフォーマンスを楽しむ!」という気持ちが乗り移ったものであるように思うのです。でなければ、寂しい卒業コンサートで、涙が流れそうになる場面でさえも、佳林ちゃんが笑うだけで皆が笑ってしまうなんてことは起こり得るはずがありません。佳林ちゃんが笑顔で力いっぱいパフォーマンスをする姿に引っ張られ、メンバーも涙を拭い払って、伸び伸びとパフォーマンスをする。そんな素敵な瞬間を私は目の当たりにしました。

本当に沢山の感動をありがとうございます。

 

 

個人的なこと。

適応障害という精神病にかかって、現在休職中の私ですが、だいぶ回復してようやく復職が見えてきました。でも、復職が見えてくると、また戻って上手くやっていけるのか、と不安にもなってきます。

そんな私に今回の卒業コンサートは一歩踏み出す勇気をくれたように思います。

佳林ちゃんやJ=Jのメンバーみたいな素敵な人間にはなれる気は全くしませんけれど、それでもこんな虫けらみたいな人間でも、何とか生きていこうと思わされますね。これってとても凄いことだと思います。思想や心身を超えて、何か重要な部分に訴えかけてくるものがあるんだと、改めて実感させられました。

やっぱりハロヲタで良かったです。こんな私で良かったら、Juice=Juiceファミリーと呼んでください。