霏々

音楽や小説など

適応障害と診断されまして… vol.16

適応障害と診断されて21日目(11月4日)の夜にこの記事を書いています。

今日は診断されて20日目(11月3日)と21日目(11月4日)のことについて、ざっと書いていきます。前回の内容はなかなか酷いものでしたが、今回はだいぶマシな内容になっているものと思います。まぁ、その分面白みには欠けるでしょうが(笑)

 

前回

eishiminato.hatenablog.com

 

 

 

1.適応障害と診断されて20日目~休息・有線ピヤホン購入~

19日目に自殺未遂をしでかしてしまい、それを受けて20日は静かに過ごすことにしました。1日過ぎたことでだいぶ気持ちも安定してきましたが、それでもまだ心の中は揺れていて、さざ波で転がる浜辺の空き缶のような感じがあります。とは言え、寮の中にいても昨日の「死」の匂いが残っているため、体が動けるようになったらとりあえず外に出ようと漠然と考えていました。

 

※注意! この日は適応障害とは全く関係ない日常の日記が続きます。

 

あまり色々なことは考えないようにして、とりあえず「有線ピヤホン」を買いに行くという目的を自分に与えることにしました。

※有線ピヤホン:凛として時雨というバンドのドラマーであるピエール中野さんが監修した有線イヤホンで、1500円程度の価格でかなり高品質ということでTwitterなどで結構評判になっています。

これはちゃんとした自慢ですが、いま私は4万円のイヤホンに1万円のリケーブルを行った計5万円のイヤホンを使用しています。サブ機には5000円くらいのイヤホンもあるのですが、これは右耳側のケーブルが悪くなっているのか、ときどき調子が悪くなって聴こえなくなります。

このブログで何度かお話しているように、現在私が住んでいる寮は騒音が酷く、夜寝るときにはイヤホンが欠かせない状況ですが、5万円もするイヤホンを寝ながら使用するのはあまりにもリスクが高い。これまでも寝ながらイヤホンのせいで、何台もイヤホンを壊してきました。なので、ちょっと申し訳ない感じもありますが、「安価」なサブ機が欲しかったのですね。それでずっと「有線ピヤホン」には目を付けていたのですが、なかなか「購入する」という行動まで起こせずにいました。

そういうわけで、とりあえず何らかの外に出る目的が欲しかった私は「有線ピヤホン」をゲットするための旅を計画しました。私の住んでいる寮から最寄りのタワレコ(TOWER RECORD)まで歩いて30分なので、散歩好きの私として割に丁度良い距離です。10時半くらいに寮を出ます。

外は生憎の曇り空。散歩しながら風景の写真をスマホで撮るのが好きなのですが、曇りのせいもあってかあまり素敵な景色には出会えませんでした。感性が衰えているのか、都会の騒々しい感じあまり惹かれないだけなのか。まぁ、その辺はよくわかりませんが、とりあえず久しぶりのお散歩。音楽が体の中を通り抜けていきます。有線ピヤホンはコンビニにも売っているというようは話をどこかで耳にしたので、冒険もかねて道中のコンビニに何軒も立ち寄ってみましたが、残念ながら私の行動範囲のお店には置いていないようでした。まぁ、どうせタワレコまで行くことは決めていたので、それはそれで全然構わないんですけれどね。

特に素敵な発見や出会いもなく、タワレコが入っている商業施設に辿り着きます。灼けに人が多いなぁ、と思ったら11月3日は休日だったのですね。後になって知りました。私が言うのもなんですが、昼間っからこんなに出歩いて皆いったいどうやって生計を立てているんだよ、って勝手に心配になっていました。これ見よがしに手を繋いで歩いてるカップルを何組も見かけて悲しい気持ちになりましたが、休日ならば仕方がない。休日に人が集まる所へやってきた私が悪いのです。地球は確かに絶望ではなく、幸福を糧にして自転を続けているようです。摩擦の無い真空の宇宙を。

 

タワレコのイヤホンコーナーで有線ピヤホンを発見。すぐに手に取り、ついでに色んなコーナーを冷やかして回ります。

アイドルコーナーをざっと見て、気になっていたCDを手に取ります。まぁ、でもCDで買うほどでもないか。私は基本的にCDを買う派ではあるのですが、故にあまり気に入った楽曲でないと、好きなアイドルであっても買わないことが往々にしてあります。アイドルヲタクとしては褒められたものではないことはわかっているのですが、もともとあまり物を増やしたくない人間なので何にせよ物を買う時は慎重になってしまうのです。でも、かと言って、サブスクやデータ購入という方法は避けがちです。好きだからこそ物で持っておきたい。でも、物が増えるのは嫌。だからこそ、厳選させていただきますよ。というとても面倒くさい人間なんだと、今こうして文章を書きながら思い至っている次第です。

それから色々なコーナーを流していき、「何か心惹かれるものはないかなぁ」とポップを見たりしながら、久しぶりのCDショップを楽しみます。友人に勧められたアーティストを見つけ、たっぷり悩んだ後、やっぱりその場を離れます(ごめんね)。遊びに行ったり、何かを観賞しに行ったり、そういう一過性の楽しみについては私はだいぶフットワークが軽いつもりでいるんですが、他人に勧められたからと言って簡単に自分のiPodに音楽を入れるほど私は心の広い人間じゃあないのです。でも、教えてくれたアーティストたちは割と記憶には残っているし、「3回出会ったものは取り入れる」という自分ルールがあるので、いつかその「3回」を達成する時を気長に待っていてください。ちなみに私が大好きなJ.Dサリンジャーという小説家も、「村上春樹」、「山田亮一」、「攻殻機動隊」という3つの出会いがあったから自分の中に取り込むことになりました。私はそういう運命、というか偶然が好きなんです。ロマンチストなんです。

J-POPからクラシックまで一通りのコーナーを見て回った後、最近興味が出始めているLo-Fi HIP-HOPの泰斗「Nujabes」のCDを探すことにします。適応障害になってから環境音楽的に1枚しか持っていないNujabesのアルバムをリピートで流していることが多かったので、もう1枚くらいあってもいいかなぁ、と思ったのです。残念ながらそこのタワレコにはコンピレーションアルバムのようなものしかなかったのですが、とりあえず買ってみました。開封するのが面倒なので、まだPCに取り込んですらいませんが、まぁ、気が向いたときに聴いてみようと思います。

 

商業施設のレストランはどこも混んでいたため、外に出て「やよい軒」で昼食。チーズハンバーグ定食がなかなか美味しかったです。それからかなり遠回りをしながら、だいたい1時間半くらいかけて寮に戻ります。

途中、川べりで泣いているような女の子を発見。泣いているように見えるけど、なんかパンみたいなのを食べているようにも見えるなぁ。でも、もし泣いているんだとしたら励ましてやりたい。「どうしたの? 大丈夫? 実は僕、昨日死のうとして失敗したんだよね」そんな声掛けの一言目を頭の中でぐるぐるさせながら、橋の上から彼女をしばらく観察していました。結局、私には見知らぬ人に声をかけられるような図太い神経がないため、声掛けは断念します。せめて泣いているという確信が持てたのなら…でも、目の悪い私には遠目から判断をつけることができません。言うても私はおっさん。彼女はジャージ姿で、もしかしたら高校生くらいでしょうか。リスクを考えるとどうしても行動は起こせませんでした。なんて情けない……彼女が元気であることを祈っています。

ふと現れた横断歩道で立ち止まると、そこの横断歩道は10分くらい赤信号のまま私たち数人の通行者を足止めしていました。両隣の交差点は青信号なのに、どうしてここだけ赤信号なのだろう。でも、そんなことを気にしているのは私だけのようです。私の隣で自転車に跨った若い女性はじっとアスファルトを見つめており、私の視線に気が付くとあからさまに怪訝そうな表情を浮かべました。私が視線を逸らして大通りの向こう側を眺めると、スマホの画面を見つめた人たちが2,3人、律儀に信号が変わるのを立ち尽くして待っていました。その向こうには何かの施設の警備員が、欠伸一つせず、当てのない専守防衛に努めていました。これは別に私が用意した比喩ではなく、れきとした事実です。でも、何だか不思議な暗喩に私は思わず頬を緩めてしまいます。

明らかに就活生という出で立ちの女の子と狭い道ですれ違います。マスクの下の表情は少し疲れているようで、時期を考えると何かしらの終活セミナーのようなものにでも参加してきたのかもしれません。思えば、私もそれなりに厳しい就職活動を切り抜けてきました。表立っては言えないですが明白な人数枠……顔見知りを蹴落としました。「第1志望です」と言い続け、特別にとても早い段階で内々定を出してくれた会社を蹴りました。私だけのために無理を言って工場見学を開いてくれた会社も蹴りました。エントリーシートの添削など細かくやってくれたOBの方々との口約束を反故にしました。そんな風にして、いくつもの純粋な想いや、善意を踏みにじって今の会社に私は入社しました。にもかかわらず、私はこんな状態です。ステレオタイプな真っ黒なスーツに身を包み、陰鬱な表情を浮かべる女の子。素敵な縁が巡って来ることを祈っています。

そんなことを考えながら、死んだような顔で散歩を続けました。寮の部屋に帰って来た私は疲れ切って、すぐに眠りに落ちます。

 

2.有線ピヤホンのレビュー

思いのほか白熱したので、別記事として投稿することにしました…(笑)

 

eishiminato.hatenablog.com

 

3.適応障害と診断されて21日目~予告~

2章の有線ピヤホンの記事のせいで、もう今日は疲れたので予告だけにしたいと思います。

 

【予告】

自殺未遂を経て、会社へ正式に休職を願い届けるための闘いへと向かう私。

「もう有休消化なんてちまちましたことなんてやってらんねぇ。オイラはちゃんと休んで、病気を治したいんだよ!」

薬の副作用から来る頭痛に、眉間の皺を寄せ、サンドリ(有吉のラジオ)を聴きながら、いざ戦場へ。

「安田(さん)、お前も大変だったみてぇじゃねぇか。でもなぁ、オイラもオイラで大変なんだぜ!」

 

次回、上司の提案してきた奇策にあっさりと丸め込まれる私。乞うご期待。