霏々

音楽や小説など

適応障害と診断されまして… vol.2

適応障害と診断されて2日目の朝です。10月16日ですね。

前回は適応障害と診断されるに至るまでの話を書きました。

どのような経緯を経て私が精神の安定を欠き、会社から逃げ、病気を受け入れるに至ったかということについて、かなり私の個人的なエピソードを書き連ねました。今日これから書こうと思うのは、この数日間で私が身に着けたうつ病適応障害に関する基本的な知識と、実際に薬を飲んでみての感想です。

それから、適応障害と診断されて1日目(10月15日)と、2日目(10月16日)の触り部分について書きます。

 

eishiminato.hatenablog.com

 

 

1.光トポグラフィー検査について/うつ病のメカニズムについて

光トポグラフィー検査とは、近赤外線を用いて前頭葉の血流を測定する検査です。血流=活動状況ということなので、この検査によって前頭葉がどれだけ正常に活動しているかがわかるとのことでした。検査の意味をお伝えするためにも、まずはうつ病の症状のメカニズムについて、私がクリニックで受けた説明を軸にご説明します。

まず、私自身が苦しんだ症状は前回の記事でも書き連ねましたが、中でも1番きつかったのは「不安感・緊張感」です。どのような状態か喩えると、「自分はいまベッドの上で横になっています。でも、ベッドから降りた先には蛇が何匹もいて、天井からは気色の悪い蜘蛛がぶら下がっていて、いつ落ちて来るかわからない」みたいな感じです。まぁ、実際に蛇や蜘蛛を感じているわけではなくて、あくまでそういった状況に想定される「不安感・緊張感」が拭えないという感じです。そのため、常に気を張っていて、息苦しく、その状態が長く続けば当然精神的に摩耗し、「ここから逃げ出したい!」と泣き喚いてしまうわけです。

前回の記事で書いた通り、私は新しい環境で早く認められるために、自ら進んで「蛇や蜘蛛がいる緊張感」を自分に与え続けました。その結果、休日のベッドの上でも同じ緊張感が続き、結果的に心と体がおかしくなりました。そして、何よりも酷いのは、緊張感の原因である仕事を離れても、その症状が消えなかったということです。この理由について、クリニックでは次のような説明を受けました。

 

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前頭葉の機能

上の図にまとめたように、緊張感を発生させる器官(正式名称は勉強不足です…)が脳にはあり、この緊張感や不安感といったものを前頭葉が緩和し、抑制しているそうです。不正確かもしれませんが、前頭葉は思考や判断を司る器官なので、絶えず発生する様々な緊張感や不安感を、周囲の状況に合わせて「本当に緊張感を持つべき?」と考えてくれているわけです。私はこの機能を自らの意思で殺し、「緊張感を持て!」「集中し続けろ!」とやってしまったのかなと思っています。結果的に前頭葉の働きは弱められ、緊張感や不安感にやりたい放題されてしまうというのが、言わば「うつ病」なのだというような説明を受けました。

光トポグラフィー検査では、実際に近赤外線を使用して、前頭葉の活動状況を見ることができるそうです。近似式的に、「前頭葉の活動が衰弱≒うつ病」と診断をするわけですね。もちろん、別の病気で前頭葉の活動が弱まっている可能性もあるため、この近似式は万能でない部分もありますが、往々にしてうつ病のような症状が出るため、これを改善すれば不安障害のようなものからは脱せるということになりそうです。光トポグラフィー検査について、ネットで簡単に調べましたが、頭皮の血流による誤差も見込んで数値の整理をしているそうなので、結果には一定の信頼がおけるとのことです。

 

実際に光トポグラフィー検査で私たち患者がやることですが、とても簡単な内容でした。一言で言えば、「頭に血流を測定する装置をつけたまま、『あ・い・う・え・お』と繰り返し発音し、その後に指定された頭文字から始まる言葉をできるだけたくさん口に出すということを何回か繰り返し、最後にまた長時間『あ・い・う・え・お』と繰り返す」という感じです。全然一言じゃなかったですね(笑)。練習も用意されており、練習含め15分くらいで終わったでしょうか。ただ、血流を測定する検査なので、発音の時にもあまり身体を動かしたり、大きな声を出し過ぎたりしないのが、正確な測定結果を出すコツとのことです。私が受けた所では、基本的に音声ガイドに従って、検査を進めました。静かな部屋の中には装置を操作する人が1人だけなので、あまり恥ずかしいということもありませんでしたね。

検査の結果はまたお医者様にフィードバックされ、お医者様によって結果の説明が為されます。

 

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光トポグラフィー検査の測定結果

このようなグラフが出され、健常者であれば青線のように前頭葉の血流が一気に増大するような波形が得られるそうです。対して、私のようにうつ病を患っている人は赤線のようになり、血流が増大せず、前頭葉が衰弱している結果になるそうです。私はずっと気分が落ち込む、一般的なうつ病(単極性障害)ですが、波形から躁鬱(双極性障害)も見分けられるとのことです。そのクリニックでは、光トポグラフィー検査の結果をもとに、治療内容を判断していくという手法を取っているようでした。

この検査に関する個人的な心象ですが、患者の言葉だけでない数値的な裏付けができるという点で有用だと思いました。他人に説明する上で、こういったデータがあるというのは、非常に根拠がはっきりしていてわかりやすいと思います。何より、自分に対しても、きっちりデータで示してくれるので、結果を受け入れやすいです。

ただし、単に疲れているだけであったり、極端な言い方をすればあえて頭を働かせないようにすることで、うつ病と誤診される可能性もある気がしますね。要は、「あ・い・う・え・お」と単調な作業をしているときと、頭文字から単語を探しているときの脳の活動レベルを一定に保てば、「うつ病」となるわけなので。その辺を見抜かれてしまうと、「おまえ、わざとそうしたんじゃないの?」と疑われかねないなぁ、という恐怖心も感じました。本当に辛くて頭を働かせられなかったとしても…

 

私としては、この検査を受けてみて、その結果の信憑性には一定の懐疑心もありながらも、うつ病のメカニズムと少なからず前頭葉の活動が衰弱しているという、現在の身体的な症状の因果関係がある程度分かり、良かったと思っています。問診だけではやはり患者の個人的な主観に頼り過ぎなため、他人を納得させる以前に自分を納得させられなかったと思うので。

そして、メカニズムがわかるということは、対処法も想定できることになります。「前頭葉の活動が衰弱してるなら、前頭葉の活動を元に戻せば良いじゃない」というわけですね。それだけでなく、「今は前頭葉のバリアが弱まっているから、不安に囚われやすい。できるだけ刺激のない穏当な生活環境を作るべき」という判断もできます。治療や療養の方針が決められるとそれだけでもかなり安心できるものです。

また、少し話は変わりますが、仕事を休むと決めてからは、不思議と私は人と会話している時間の方がとても落ち着くのです。こうして文章を書いているときも同じく落ち着きます。おそらくこれは前頭葉が刺激を受けて、一時的にでもその機能を取り戻しているからなのかなぁ、と考えています。ただ、沢山喋ったりしたその後とかは、また強い不安に襲われるので、あまり前頭葉君を酷使してもいけないのかなぁ、とも考えたりします。

 

2.磁気刺激治療(TMS)について

光トポグラフィー検査を受けた後、クリニックで勧められたのが「磁気刺激治療(以下、TMS)」です。薬と違って副作用が無く、また回復率も高いというのが売りの治療法だそうです。私はこれを受けたわけではないので、その効能についてはよくわからないところがあります。ただ、先の光トポグラフィー検査の結果を踏まえると、前頭葉のどの部分が弱っているかわかるそうで、お医者様の技術にも寄りますが、弱っているところを中心に磁気で的確に刺激してあげることで前頭葉の活動を回復することができるようです。ただし、お金は結構高いですよ、と。

薬物治療については私もまだまだよくわかっていないところがありますが、何となく巷の噂で、「5年も10年も薬を飲み続けているけれど、なかなか止めることができず辛い」ということを聞いたことがあります。副作用も結構きついみたいですし、あまり良い印象がありませんでした。私が最初に行ったクリニックでは、それらの点を再度説明してくださり、「それよりかは多少高くてもTMSにしてしまった方が、短期で治る可能性が高いし、早く社会復帰できればそれだけかかる費用・時間も少なくて済むのでは」と提案してくださいました。

しかし、何度も言うように私は「休みたい!」、「復帰なんてしたくない!」と思っていたのです。そのクリニックに行ったときに私の頭の中にあったのは、「うつ病と診断してくれ!そしたらそれを上司に見せつけ、実家に一刻も早く逃げ帰るんだ!」ということだけでした。ですから、「治ってたまるか!」という想いもあり、TMSの治療は一旦見送らせていただくことにしました。

あと、これは少しそのクリニックの批判になってしまうかもしれないのですが、その「光トポグラフィー検査を踏まえ、メカニズムを分かりやすく示した上で、TMSへ導く」動線があまりにも整理され過ぎていたことが、頭に引っかかりました。極端な話、光トポグラフィー検査の結果のグラフなんていくらでも改ざんできるし、典型的なマッチポンプ商法ができるじゃないか、という精神疾患患者ならではの危機察知がビビっと働いたわけです。まぁ、絶対に余計な心配だったんでしょうけれど。ただ、全体を通して、本当に無駄がなくTMSへと導かれたことにはいささかの不安があり、それぞれの検査結果や効能を疑うわけではありませんが、もっと個人個人の容態を詳細に踏まえた上で治療方法を検討してほしいなと思ってしまったわけです。酷い言葉を使えば、チープなフローチャートに乗せられている感があったわけですね。

そういうわけで、TMSを勧めてくれたそこのクリニックには、「色々な人に話を聞いた上で、TMSが自分に必要だと思ったとき、また来ればいいか」と自分の中で整理をすることになりました。

 

3.実家へ逃避2日目/適応障害と診断されて1日目

内容があっちに行ったり、こっちに行ったりしてしまって、申し訳ございませんが少し日記的なフェーズに戻ります。前回の記事では、前述の東京のクリニックで光トポグラフィー検査を受け、うつ病と診断され、会社の上司にしばしのお暇を頂き、実家に逃げ帰ったところまでを話しました。

夜日付が変わる前くらいまで、ちびちびとお酒を飲みながら、両親に話を聞いてもらい、少し安心した気持ちで眠りにつきました。

そして、次の日の朝。久しぶりに夜中に目覚めることが無く、朝まで眠ることができました。そのことに私は少し感動を覚えたのですが、それ以上に私はとてつもない身体の疲労感を感じていました。もう起き上がれない…という感じだったのですが、15分くらいかけて何とか身体を起こし、自室からリビングへと向かいます。父と妹は既に出社しており、この間退職した母だけがリビングにはいました。朝ご飯の準備をしようとしてくれたものの、食欲が全くなかったので一度それを断り、テレビの前のソファに座ります。疲労感は取れていなかったものの、とりあえずテレビ見ながら身体の目が覚めるまで待とうと思っていたのですが、テレビの音が酷く耳障りで落ち着きません。身体の怠さも相まって、気分が沈んできます。起きてからわずか10分足らずで、1回目の泣き(涙ぽろぽろ程度)。もうリビングにいることができなくなり、私は母に謝って、もう一度自室に引きこもりました。

自室に戻って布団を被ってももう眠れません。しかし、音楽を聴いたり、ちょっとネットサーフィンをしたりしているうちに、少しずつ気分が持ち直してきます。30分くらいそうやって気持ちを落ち着かせた後で、もう一度リビングに戻ると、もうあまりテレビの音が気にならなくなっています。けれど、気分は落ち込んだままで、やはり息苦しい。でも、昨日、一昨日の酷い時よりは幾分かマシです。食欲はなく、用意してもらった朝食も半分以上残してしまい、母には悪いなと思いながらも、昨晩両親と探した心療内科に予約の電話を入れます。

そう言えば、実家へ逃避1日目に両親と話した内容について、ちゃんと書いていませんでした。また話が前後して申し訳ありませんが、簡単に説明させていただきます。

まず私は再度自分がおかしくなった経緯と、1つ目のクリニックでの診断結果について説明しました。そして、上司からかけてもらった言葉や、自分の中での振り返った根本的な原因についても説明しました。

そもそもの原因は、転勤前後の慢性的な緊張感と不安感にあり、そこに対して、さらに自分で自分を追い込むような方法を取ってしまったことにあります。とりあえず焦り過ぎたのが1番の原因であり、高いプライドや強い自信、そしてそれを守り抜かなければいけないという強迫観念によって、ストレスが限界を超えてしまったのだというところまで、私は自分なりに整理をつけることができていました。だから、誰が悪いというのでもなく、単純に自分で自分の制御を誤った(制御しようとし過ぎた)せいなのだ、と両親には説明し、ある程度同意もしてもらいました。そして、それだけ考えが整理できていて、反省していても、実際に今は前頭葉の活動が落ちているらしいし、それによって常に不安感があるので、まずはその機能を戻さなきゃいけない。それは普通の風邪にかかったときと同じで、機能が戻るまでは心も体も辛いので、早くお医者様にかかり、それを治療したいということで話はまとまっていました。

そういうわけで、逃避2日目に朝一で実家近くの心療内科に予約の電話をかけました。

11時までに来ていただければ大丈夫です。ただし、初診の方は待ち時間が長いかもしれません。通院されている方を優先的に診療していきますので。

そうは言われたものの、10時前にはその心療内科に行きました。もともとは1人でいくつもりでしたが、朝起きてからの私の気分の滅入り様を見ていたので、母が同行してくれました。クリニックに着くと、まず番号札が渡され、「今日はこの番号で全てご案内します」と言ってくれました。書き忘れましたが、東京のクリニックでも同様のプライバシー対策(メンタルへの配慮)が取られていましたね。そこでまず私は紙4枚分の問診票を書き、提出しました。その後、別室に案内され、看護士の方とその問診票の読み合わせを行いました。そこでは、前日の夜に両親に説明したような、これまでの経緯についての説明を行いました(前回の記事をかいつまんで説明した感じです。何回も同じ説明をしていたので、前回の記事はわりとスムーズに書けました)。

そして、また待合室に戻ると、今度はタブレットによるより詳細な問診回答がありました。よく就職活動のときにやるSPIや、性格診断みたいなもので、「最近イライラすることが多い:1~5段階で選択」という感じです。だいたい10分くらいの量、それらを行い、提出すると自分の番まで待たされることになりました。事前に電話口で説明されていた通り、11時くらいまでずっと通院患者の方々が来ていたので、私は早めにクリニックに来ていたもののずっと順番を抜かされ続け、だいたい1時間半近く待たされることになりました。

そして、この待ち時間がとても辛かったのです。何回もお話している通り、誰かと喋っていると私は落ち着くことができました。なので、母が同行してくれたおかげで、かなりの時間は私も落ち着いていられることができました。しかし、やはり1時間半も話し続ける元気はないので、途中で会話は途切れます。すると、次第に不安と緊張がまた私を襲ってくるのです。貧乏ゆすりをやめようと思ってもやめられません。身体のどこかを強く握っていないと落ち着きません。喉が渇いてきます。落ち着こうと思っても、少しずつ息苦しくなってきます。身体も疲れ始め、次第にまともでいられなくなってくるような不安感が芽生えだします。しかし、また良きところで母が話し始めてくれ、何とか自分の診察まで耐えることができました。

そして、ようやくお医者様とお話ができ、前日の東京のクリニックでの光トポグラフィー検査の診断結果を伝えたり、再度ざっくりとこれに至った経緯を説明して、そのお医者様からは「適応障害」という診断をしていただきました。私はその「適応障害」という病気についてあまり知らなかったのですが、簡単に言うと、急な環境の変化で発生するうつ病のような症状を伴う疾患ということです。もし、この症状が何か月か続くようであれば、適応障害からうつ病へと症名が変わっていくそうですが、とりあえずは「適応障害」という症名に当てはまるとの説明を受けました。「適応障害」であれば、服薬により辛い症状を和らげつつ、静養していれば1か月程度でかなり回復する可能性も高いとの説明を受け、お医者様はその場で「適応障害」の診断書(1か月の休養が必要である旨が記載)と処方箋を出してくれました。

少しぶっきらぼうな雰囲気の先生でしたが、ある程度私の経緯を踏まえた上で判断してくれたので、割と信頼がおけました。父が勤める会社の方もかかったことがあるクリニックということもあって、その安心感もありました。そして、何よりも前日に東京のクリニックで、うつ病のメカニズムや今の私の状態を数値的に把握できていたことも、そのぶっきらぼうなお医者様の診断結果を受け入れる上で、かなり役立ちました。

診察料を支払う前にも、もう一度看護士の方と別室でお話をさせていただき、そこでは家での過ごし方や休養の取り方、特に「会社のことはがんばって忘れてくださいね」と声をかけてくださったのが嬉しかったです。「治りそうだから、会社のことを考えなくては」とまた焦りそうになっていた自分に対して、時間をかけることの大切さをもう一度話してくれたのは、とても心が落ち着きました。職業復帰のデイケアサービスもあるそうですし、とりあえず時間をかけて1つひとつクリアしていこうと思えたのは大きかったです。

クリニックのすぐ隣の薬局で薬をもらって帰宅。母は午後から「失業保険を貰うんだ」と意気込んで、昼食もそこそこにハローワークへ急いで出て行きました。忙しいのに悪いことしたなぁ、と思いながらも、作った即席ラーメンを完食することができ、久しぶりに前向きな気持ちになれました。

 

しかしながら、昼食を終えると激しい疲労感に襲われ、そのまま自室に籠り眠るしかありませんでした。深い眠りではなく、また起きたり眠ったりという感じで苦しい部分もありましたが、それでも眠っている間は不安症状に悩まされることもないので、とりあえず救いのある時間ではあります。

夕食の時間前にようやくベッドから起き出しますが、朝と同じく激しい抑うつ感と疲労感に悩まされ、再度ベッドへ。しかし、そこで朝のようにゆっくりと動画を見たりしながら身体を覚醒させていくと、何とかまたリビングに戻ることができるようになりました。夕食を家族と食べ、それまですれ違いになっていた妹にも、「適応障害になりました」と伝えることができました。妹は教育系の大学を出ていることもあり、「あぁ、知ってる知ってる」という感じで理解を示してくれたので、それも私にとっては幸いでしたね。

夕飯を食べた後には、待ちに待ったお薬の時間。お医者様からは不安症状を取り除くことができるということで、「これさえ飲めば、息苦しさから解放される!」という期待を持って服用しました。まぁ、当然そうすぐには効能は出ないものの、わずかばかり気分は落ち着いた気がします。何年かぶりくらいにテレビでVS嵐を見て、「まだあの種目やってるんだ」とかを思ったり、ちょっと笑ったりもできました。その後、アンビリバボーも続けて見て、下半身不随の方々の社会復帰に人生を捧げた中村裕医師の話に感動したりしました。健康でなくなった人たちの社会に復帰したいという想いや、そういう人たちを救いたいという想いを、今の自分に少しダブらせたりしながら、「前までの自分だったらただの美談だったけれど、割に芯に迫るなぁ」ということを感じたりもしました。時系列が前後しますが、実家に逃げ帰る新幹線の中で、川崎フロンターレ中村憲剛選手が39歳で前十字靭帯断裂の大けがを負い、そこから復帰するまでのドキュメンタリー映像を見ていたのですが、そういうのにはとても勇気づけられますね。中でも中村憲剛選手が言っていた、「自分がこうなった(39歳という年齢で大けがをした)ことにも何か意味があるのかな。というか、意味があると思ってやるしかない」という言葉にはかなり私も考え方を改めさせられました。

ともかく、薬が効いたおかげなのか、割と落ち着いて長時間テレビを見られていることにも、1つの達成感がありましたね。そして、風呂に入りながら、「自分がこうなったことにも意味があるのでは」ということや、「自分でも何かしら自己療養をしなくちゃな」、「しかもそれがまた自分のような人のためにもなれば」というベタなことを考え、この一連の出来事をブログに書こうという閃きを得たわけです。まぁ、当然の帰結と言えば当然の帰結なのですが、それでも少なくとも完全に参ってしまっていた時の自分には寸分も思いつきはしなかったことです。

そして、風呂上がり、すぐに私は記事の執筆に取り掛かりました。

久しぶりに文章を書いたわけですし、精神もぐちゃぐちゃでしたらから上手く書けるかなぁ、という不安もありました。が、いざ書き始めてみれば、お馴染みの饒舌が止まりません。あぁ、書くっていいなぁ、と思いました。でも、無理はしちゃダメ、無理はしちゃダメと言い聞かせつつ。ま、気がつけば日付が変わっていましたが(笑)。

記事を書いているうちに、もっと色んな人を頼ってみようと思って、地方で仕事をしていたときの仲の良かった先輩にも今の状態を打ち明けてみたり、同期にも素直に細かい病状を話してみたりしました。同じ会社に就職した、大学時代の研究室の先輩とも電話をしたり、とにかく色んな人に今の自分の状況を知ってもらい、温かい言葉をかけていただきました。その温かさもとても嬉しかったのですが、特に「打ち明ける」ということで、「隠さなくて良いんだ」と思えたことがでかいです。隠す必要がなくなると、今の自分の状況も素直に受け止められるようになってきます。自分の状況を素直に受け止め、誰かに頼るということができるようにならないとまた同じことを繰り返してしまいます。そういう想いから、積極的に打ち明けるようにしてみました。もちろん、無理をしてはダメだけど。誤解を生むような人には直接話さないように気をつけ、本当に信頼している人にだけ、正直に、カッコつけることなく。

もし新しい環境でうまく行っていたら、忘れていたであろうかもしれない絆を思い出せ、また中村憲剛選手の言葉を借りるのであれば、これだけでも「自分がこうなったことに意味はあった」と思えました。

そして、有吉弘行のラジオ(サンドリ)で紹介されていた「コブラ会」を少し見て、眠りました。

これが適応障害と診断されて1日目の私でした。

 

4.適応障害と診断されて2日目~薬の副作用~

私が処方してもらったお薬は、「メイラックス」というお薬のジェネリック医薬品である「ロフラゼプ酸エチル錠」というものでした。抑うつ・不安・不眠等に効き、総じて気持ちを落ち着かせる効能があるとのことです。副作用としては、眠気・ふらつき・倦怠感・頭がぼーっとする・口渇・痺れ・ろれつが回らなくなる等があるそうです。詳しいメカニズムはわかりませんが、これまで私が得てきた知識と合わせて考えると、

 

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うつ病のメカニズム

上述もしたこの図における「左側の黄土色のやつ」の働きを押さえ込む薬なのかなと思いました。つまり、現在弱っている「前頭葉:右側のオレンジ色のやつ」に対して、「左側の黄土色のやつ」が優勢の状態なので、薬で「左側」も弱体化させてしまおうという手法なのかなと思っているわけです。緊張感や不安感を作れないということは、つまり身体からきびきびとした機能を取り除くということなので、結果的に倦怠感や行動の鈍化が発生するのかもしれません。簡単に言えば、だらーっとした状態になるということですね。

私はこの薬を毎日夕食後に1錠飲むことになっているのですが、それを服用した翌日の朝、なかなか厳しい倦怠感に悩まされた。どうも私はこの薬を飲むと、身体がとても重くなってしまうようです。ただ、気分が必要以上に滅入ったり、不安から息苦しくなったりはしないので、随分と楽にはなった気がします。まぁ、それまで以上の倦怠感があるため、それはそれでかなり辛くもあったのですが。

ただ嬉しかったのは、少しだけ食欲が戻ったことでした。朝食こそ完食できなかったものの、外食に挑戦してみた昼食は割と人並みに食べることができました。ともかく多少なりとも薬が効いているという実感を得られたのは嬉しかったですね。もちろん、「薬がない!どうしよう!」みたいな依存が始まると困ってしまうわけですが…うまく付き合っていきたいものですね。

 

と、かなり長くなってしまったので、今日の記事はこんなところにしたいと思います。明日もがんばって書いていきたいと思います。本当に「書く」という自由が私に残されていることには感謝しないとですね。

 

次回

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